祖母のハンドメイド服 ― 家族が着ていた服 ―

 私の祖母は裁縫が得意で、独身時代は仕立て屋で働き、自分で着る服も作っていました。スカートやワンピース、スーツなどをお気に入りの生地やボタンで自分のジャストサイズに合わせて作るなど、おしゃれにこだわりをもっていた祖母。私は小さい頃からそんな祖母が大好きで、いつも隣で裁縫をする姿を見ていたため、ファッションにも自然と興味をもちました。改めて祖母の作った服をひっぱりだしてみると、デザインやディテールがかわいく、よく見ると、ニットは今季トレンドのボリューム袖だったり、モヘアを使っていたり、スカートのツイード生地も昔っぽさが逆に新鮮で、おしゃれな感じにビビッときました。私が祖母に「かわいい これ着たい」と言うと、祖母は「私はもう着られないから、着てくれたら嬉しいよ」と笑い、その服を作った当時の思い出を話してくれました。

 他に同じものはない、祖母にしか作れない、祖母の思い出がつまった一点もの。私にとって最高のヴィンテージです。これを着こなした時に「それかわいい どこの」と聞かれ、「これ祖母のハンドメイドなの」と答える時、とても誇らしくて嬉しくなる。私の大好きな祖母の洋服をこれからも大事に、おしゃれに着ていきたいと思います。

(NK 27歳 愛知県)

※この企画は毎週日曜日20時に公開していきます。次回は1月8日(日)20時公開予定です

日本発のモード誌『SPUR』は参加型の新企画「SPUR ナショナル・ファッションストーリー・プロジェクト」を2016年4月より始動しました。このプロジェクトは、皆様のファッションにまつわるエピソードを、SPURが物語としてまとめていくものです。お寄せいただいたエピソードのうち、こちらのコーナーでご紹介させていただいた方には、同時に掲載する描き下ろしイラストをポストカードにしたものと、iTunesギフト1,500円分を差し上げます。性別や年齢は問いません。‪あなたのファッションとのエピソードを応募してみませんか?  詳しくは特設ページにて。