芝田さんが異国の地で手に入れた唯一無二のアイテムには、忘れられないエピソードも付き物。並々ならぬ道のりを経て手に入れた運命の一着をその物語とともにお届け
重なりの数が、豊かさの証し
ハニのジャケット/中国
少しずつサイズの異なる9枚のジャケットが重ねて縫い合わされているため、腕を入れる部分などは見た目よりもずいぶん細身。重ねられた枚数が多ければ多いほど、豊かであることの証しになる。表面のコーティングは、こちらも卵白や豚の血液などによるもの。レザーのような光沢から高貴な印象を受ける。「東京のとある展示会で初めて見て感激した一着。ディーラーの家で運よく同じ作りのこの服に出会うことができ、再び感激したので持ち帰ることに」
ピンチヒッターは店主の妹!? 執念で射止めたドレス
パシュトゥンのケミス/アフガニスタン
パキスタン〜アフガニスタン周辺に暮らすパシュトゥンのドレス「ケミス」は、胸のあたりに切り替えがあり、細かな刺しゅうにコインやビーズがたくさんあしらわれているのが特徴。インドの骨董店で、手を尽くした末に購入した。「ひと目見て気に入ったものの、まだ日があったので後日改めてその店に足を運ぶことに。再び足を運ぶと、昼過ぎになっても店が開かず、看板に書いてあった番号に電話をしたら、店主は隣町にいることがわかりました。その日が移動日だったため『今日どうしても欲しい!』とせがむと、店主の妹が代わりに来てくれることに。彼女がなかなか到着せず、店主にしつこく確認の電話を入れました(笑)。会えたときはホッとしましたね」