角界とファッション界による夢の取組が実現。相撲を愛する"スー女"たちが東西に分かれ、秋のトレンドをまとい正々堂々の五番勝負!

【モード大相撲秋場所】秋のトレンドを高砂のタイトルイメージ

【モード大相撲秋場所】秋のトレンドを高砂部屋からお届け!

角界とファッション界による夢の取組が実現。相撲を愛する"スー女"たちが東西に分かれ、秋のトレンドをまとい正々堂々の五番勝負!

取組五番の一

はっきよい!
名門部屋メゾンで磨く伝統と革新

東・麗人のディオール、西・貴婦人のグッチ。アーカイブスへのリスペクトを忘れず、新たな解釈で意思ある美しさを生み出す東西の両雄が対峙する。

【モード大相撲秋場所】秋のトレンドを高砂の画像_1

トップス¥320,000・パンツ¥1,100,000・帽子¥150,000・ピアス¥85,000・ソックス¥71,000/クリスチャン ディオール(ディオール)

ヴィクトリアンなレースを華麗にTシャツにあしらい、エッジィに再構築したディオール。19世紀末といえば、明治維新を境に相撲が近代スポーツとして現代の形に移行してゆく時期と重なる。

【モード大相撲秋場所】秋のトレンドを高砂の画像_2

ミニドレス¥517,000・キャップ¥75,900・スカーフ¥77,000・タイツ¥35,200/グッチ クライアントサービス(グッチ)

クラシカルなレディスタイルに、スポーティなキャップをしのばせたグッチ。伝統的な「四股」が相撲の強さの地盤となるように、積み重ねてきた歴史がスタイルに強度を与える。

飯塚さきの相撲コラム

横綱、大関を輩出する角界の名門〝高砂部屋″

力士や親方、行司、呼出などの日本相撲協会の協会員は皆、45あるうちいずれかの相撲部屋に所属している。今回の撮影の舞台、高砂部屋は、明治初期に創設された歴史ある部屋。元大関である4代朝潮は、2000〜’10年代に横綱・朝青龍らを育てた。2020年、現師匠であるモンゴル出身の元関脇・朝赤龍が部屋を継承。今年2月、墨田区本所から石原の新居に引っ越し、心機一転、26名の力士たちが日々稽古を積んでいる。撮影のためお邪魔したのは、土俵を構える稽古場で汗と泥まみれになりながら力をつける朝稽古の時間。この9月、高砂部屋からは3人の力士が、十両に「トリプル昇進」。晴れて関取と呼ばれる地位になった。同部屋から3人同時の十両昇進は、46年ぶりの出来事。いま最も波に乗る相撲部屋。それが高砂部屋なのだ。

取組五番の二

自分らしいジャケットで「ごっちゃんです」

東・パフィーでソフトなシルエット、西・深紅の貫禄コンパクト。ムードを左右するキーアイテムのジャケットが揃い踏み。

プラダ レザージャケットとスカート

ジャケット¥1,056,000・スカート¥445,500・ピアス¥126,500(すべて予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)

ふっくら丸いボディの力士を指す「あんこ型」(ちなみにやせ型力士は、ちゃんこスープが語源の「ソップ型」)。ふくよかなプラダのレザージャケット同様、思わず見惚れる福々しさと軽やかさ。

ヴァレンティノ ガラヴァーニのショートジャケット

ジャケット¥676,500・パンツ¥313,500・ソックス¥71,500(すべて参考価格)・レーストップ¥484,000(すべてヴァレンティノ)・ヘッドバンド¥70,400・靴¥240,900・椅子にかけたバッグ¥682,000(すべてヴァレンティノ ガラヴァーニ)/ヴァレンティノ インフォメーションデスク

片や、リボンをあしらい色気と品を併せ持つショートジャケットは、数々の伝説を打ち立ててきた"親方"の貫禄。解説席での赤い上着がよく似合った名横綱、北の富士さんに想いを馳せ、小粋に一献傾ける。

飯塚さきの相撲コラム

「おすもうさん」=力士たちの生活とは

入門すると、力士は皆、所属する部屋で生活する。幕下までは給料が出ないが、衣食住は確保されるのだ。その代わり、日々の掃除や洗濯といった雑用も行う修行の日々。解放されてプライベートの時間をもらうには、強くなって関取に上がるしかない。部屋では、起床後すぐに朝稽古。力士の食事を意味する「ちゃんこ」は、昼と夜の2食。交代でちゃんこ番をして、健康的な食事を作ることも力士の修行の一つ。稽古で体力と精神力を鍛えたあとは、ちゃんこでより大きく丈夫な体づくりに励むのだ。昼のちゃんこの片づけをしたら、午後は昼寝の時間。部屋の掃除や洗濯などの用事をすませ、夜のちゃんこの準備に取りかかる。すべては強くなるため――力士たちは皆、一日を必死に生きている。

取組五番の三

「心技体」を備えるシルエット

東・柔のタイト、西・誇張のペプラム。ボディコンシャスの解釈では、実力派ががっぷり4つ! 相撲道の要でもある「心技体」を兼ね備えたそれぞれのクリエーションを堪能すべし。

フィービー ファイロ アライア

(右)華麗なる経歴のクリエイティブ・ディレクター、フィービー・ファイロ復活の大一番は、彼女らしさあふれるタイトシルエットのドレスで勝負。ボディラインに沿いながらエフォートレスな着心地に喝采!
ロングドレス¥160,000・靴¥135,000・バッグ¥370,000・サングラス¥62,000/フィービー ファイロ

(左)構築的なペプラムディテールで、身体美を際立たせたのはアライア。メリハリを利かせたカッティングは技能賞もの!
トップス¥884,400・スカート¥609,400・タイツ¥29,700・靴¥269,500(すべて参考価格)・ピアス¥143,000/リシュモン ジャパン アライア(アライア)

取組五番の四

日々の精進で培われる土俵の華

東・揺れるタッセル、西・きらめく刺しゅうで、クラフトの同部屋対決! 力士たちの和装や行司の装束をはじめ、手仕事のディテールは角界にとって身近なもの。なかでも特別なのは、関取だけが土俵入りで締めることを許される、個性豊かな装飾が施された「化粧まわし」だ。その華やかさに憧れて、日々の稽古と地道な体づくりに力が入る。伝統を支える職人技に敬意を表してまといたい。

ドリス ヴァン ノッテン

(右)カラフルなタッセルを下げたスカートでウエストマーク。まさに化粧まわし風。
コート¥409,200・ベルトにしたスカート¥409,200

(左)金糸、銀糸やビジューを刺しゅうしたノースリーブジャケット。格子柄の着物地にも通じる、チェック柄のロングスカートに合わせて。
ジャケット¥585,200・スカート¥183,700・イヤリング¥82,500/ドリス ヴァン ノッテン

取組五番の五

強さとフェミニニティ、それぞれの道を極めて

東・奔流の勢いの新十両、朝翠龍関、西・怪我による雌伏の時期を経て十両に復活した朝乃山関。最注目の両力士と並び立つ「結びの一番」には、今シーズンを象徴する両ルックで。

ミュウミュウ ランジェリールック

カーディガン¥385,000・スカート¥324,500・キャミソール¥181,500・ブラ¥152,900・ソックス¥335,500・靴¥¥181,500(すべて予定価格)/ミュウミュウ クライアントサービス(ミュウミュウ)

ピュアな魅力と芯の強さを併せ持つミュウミュウのランジェリールック。フレッシュで礼儀正しい角界のホープ朝翠龍関と一緒に、江戸の下町を散歩。

ジバンシィ ジャケット

コート¥638,000・靴¥160,600/ジバンシィ ジャパン(ジバンシィ by サラ・バートン)

歴戦を重ね、今も努力を続ける朝乃山関と並ぶなら、構築的なテーラーリングでしなやかなフォルムを描いたジバンシィをまとって。内面からにじみ出る強さと品格に自ずと背すじが伸びる。

飯塚さきの相撲コラム

Let’s go! 大相撲、もっと間近に触れ合うなら

本場所は奇数月の年6回、各15日間にわたって開催される。幕内・十両の力士たちは、15日間毎日相撲を取り、幕下以下の力士は1場所7番。日によって前後するが、開場は朝9時頃で、番付下位の力士たちから順番に相撲を取り、結びの一番(最後の取組)は18時までに終了する。館内にはちゃんこをはじめたくさんのグルメや、ここでしか楽しめないグッズやフォトスポットにあふれ、朝から行っても飽きることがない。昨今の大相撲人気によってチケットは毎場所プレミア化しているが(うれしい悲鳴です)、ぜひ一度は生で大相撲を観戦していただきたい。土俵上の力士たちの息遣い、頭と頭でぶつかり合う鈍い音。現地でしか感じられない迫力は、体の奥に響いていく。本場所の間に年4回行われる地方巡業で近隣の開催地に訪れるのもおすすめ。巡業では、力士たちはリラックスモードなので、写真撮影やサインを頼みやすい。相撲部屋や部屋の宿舎に赴けば、朝稽古見学ができる場合も。各部屋のホームページやSNSをチェックしてみよう。

スポーツライター・相撲ライタープロフィール画像
飯塚さきスポーツライター・相撲ライター

いいづか さき●著書『日本で力士になるということ 外国出身力士の魂』『おすもうさん直伝!かんたん家ちゃんこ』など多数。

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