SPUR8月号の特別企画「モードを着た『おそ松さん』」を描き下ろしてくださったシタラマサコ先生への特別インタビュー、第2弾。今回は、「おそ松さん」のコミック化が決定した時の裏話について、話を伺った。
──コミック化の経緯について教えてください。
最初にお話をいただいたのは、テレビアニメの放送が始まる前でした。その時はまだ6人の設定も相当ざっくりしていて、「ニートで童貞」ということ以外は、年齢すら分からないような状態だったんです。私は勝手に30代だと思い込んでいたので、ニートで童貞で30代の6つ子って、もうホラーでしかないなと思いました(笑)。とにかく、嬉しい反面とても不安でした。
──二つ返事というわけではなかったんですね?
お話をいただいた時に、すごく興味があることは伝えましたけど、けっこう考えました。いろんな人に相談もしましたし。自分の中でやらないという選択肢はなかったのですが、やっぱり原作(『おそ松くん』)が大きいですから、本当に私にできるのかなというのが一番大きかったです。それに、自分の描く漫画のテイストが原作(『おそ松くん』)と合うのかというところも不安でした。
──描くと決めてからテレビアニメをご覧になって、どう思われましたか?
どえらい仕事を引き受けてしまったなと(笑)。自分だったらどう描こうかなというワクワク感もありましたけど、それよりもまずは、どうしよう!という気持ちになりました。最初から愛され具合もすごかったので、プレッシャーでした。
実は、最初はトト子ちゃんを主人公にしようかなと思っていたんです。でも、テレビアニメの第3話の先行上映会を観に行った時に、ファンの方がすでにみんなパーカーを着ていて、推し松もちゃんと決まっていて、その時にやっぱり主役は6人だと認識しました。
──6つ子が主人公というのは、描いてみてどうでしたか?
正直まだ迷うところもあるんですけど、6人のキャラがすごくはっきりしていて、設定さえ作ってしまえば動いてくれるので、その辺はやりやすいです。ちなみにSPUR8月号の作中では、モード誌の編集部を舞台に全く血のつながりのない関係性の6人を描きました。そういった、普段の6つ子とは違う設定で描くのは楽しいですね。今後も、どんどん挑戦したいです。
──コミックのストーリーは毎回一話完結ですが、話のネタはどこから思いつくのでしょうか?
日常をベースにした話が多いので、自分の体験から話が広がりそうなネタを持ってくるようにしています。例えば最近描いたものだと、6つ子全員でコーンスープを綺麗に溶かす話があるんですけど、それなんかはまさに自分の体験で、6つ子だったらどうするんだろう、というところからストーリーを展開させました。
今、連載中の『月刊YOU』で考えている話だと、6つ子たちが暑い夏を涼しく過ごす方法というのがあります。この6人なら、まっとうな方法で涼しくなったりはしないだろうから、誰を巻き込んでどんな方法をとるかを想像したり。それに対する6つ子の反応も全員バラバラなので面白いです。
──6つ子以外で推しサブキャラはいますか?
私はやっぱりトト子ちゃんが好きですね。年齢的にも自分と近いし、女の子だから親近感もあります。ビジュアルも可愛いので、描いてて楽しいですね。
──最後に、ファンの皆さんにひと言お願いします。
今回は、血のつながりのない6人ということで、いつもと全く違う雰囲気の6つ子たちを描くことができました。全ページカラーで内容も豪華なので、楽しんでいただけたら嬉しいです。
text & photography: Eimi Hayashi