パリ・クチュール週間、7月3日。ディオールのオートクチュールのショーの会場には、パリを初めて訪れた畠山千明さんの姿があった。彼女はこの後、クリスチャン・ディオールとその後継者たちによる作品の数々を一堂に集めた展覧会へ。メゾンのヘリテージを見た感動を、シュプールだけに語ってくれた。
パリ装飾芸術美術館で、「ディオール」70周年を記念する壮大な展覧会が開かれている。オートクチュールのショーを見たばかりの興奮もさめやらぬまま、7月3日夜、畠山さんは展覧会のプレビューへと足を向けた。入口の人混みをかき分け、広い階段をワクワクしながら上がった畠山さん。クチュリエとなる以前のムッシュ・ディオールを語る「ディオール、ギャラリスト」のセクションでは、彼が蒐集していた芸術品の数々に夢中になった。「初めて知ることがたくさんありました。アートを見る目があり、感性の鋭い人だったんですね。後に絵からヒントを得てドレスを作ってしまうなんて、とても素晴らしい!」。彼女は、興奮気味にこう語る。
アートとモードに見る類似性を分析した「芸術との絆」のセクションで、絵画にちなんだアルルカンのルック2点。左はジャンフランコ・フェレ、右はジョン・ガリアーノ作。
この後も、歴代の後継者たちの作品をテーマ別に見せた各セクションで、彼女はとてもインスパイアされたようだ。コロラマ(色調別)のセクションでは、「赤が印象的ですね。ちょうど今、ディオールの赤のシューズが欲しいと思っていたところで」。「トリアノン」のセクションでは、「わあ、本物のロココの世界!」。そして「ディオールに見る世界」のセクションでは、「どのドレスからも、各国の文化が伝わってきます。ジョン・ガリアーノのドレスを見たら、アフリカに行ってみたくなりました!」最後にトワルが並んだセクションでは「アトリエ職人から『ディオールを着てるのね。私の同僚がそのトワルを作ったのよ』と言われて、感無量でした」。と、畠山さんの気持ちはクライマックスに。
本展の締めを飾る「ディオールの舞踏会」のセクションにて。「ジャドール」の広告でシャーリーズ・セロンが着た衣装も含め、3段に渡ってずらりと並んだドレスの数々を見上げる畠山さん。
畠山千明さんが見た
「クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」展を写真ギャラリーで
Photography: Virginie de Clausade interview&text:Minako Norimatsu