丸山佑香さんが考えるシックの定義は、「シルエットのバランスや色遊びでさりげなく自分のスタイルやキャラクターを引き立てること」。決して無難や没個性ではない、彼女流の8つのスタイリングメソッドをお届け
rules1 Vネックは″深さ”を追求する

「シックなアイテムの象徴として、かつてマルタン・マルジェラがクリエイティブ・ディレクターを務めたエルメスの"ヴァルーズ"が今も忘れられないんです」と話す丸山さん。主役に選んだのは、あの鋭角なカッティングを彷彿とさせるディープVネックのニットベスト。さらにベストとポロシャツをインしたのは、「開き具合の違うVを差し込むことで、よりコントラストが強調される」から。シンプルなアイテム選びとミニマムな配色のなかで、異なるネックデザインを重ねた巧みなテクニックが光る。
rules2 ユニフォームはワントーンでまとめる

ややもすればコスプレチックに見えてしまう、難易度高めのセーラートップス。丸山さんなりの正解は「全身をワントーンでまとめること」。空気をまとったようなやわらかなシルエットを描くセーラーニットをはじめ、インナーのハイネックニット、デニムパンツ、靴下、ローファーまでのすべてをブラウンで統一。「ワントーンと言えどベージュなどは混ぜずに、潔く一色で通すこと!」というワンポイントアドバイスも忘れずに。

「着るだけでコーディネートが完成するオールインワンこそ、シックなスタイルの近道!」と丸山さんは断言する。シャープなシルエットを選べばワーク色がほどよく中和され、あとは合わせのアイテムを決めるだけ。「襟元からはポインテッドカラーの白シャツ、足もとからはヒールパンプスをのぞかせ、ワークとは対極にあるシャープなエッセンスをきかせて」。
rules4 永遠のお手本はダイアナ妃

ダイアナ妃こそ、丸山さんにとってのシックを体現する存在。「いつもオーセンティックな英国スタイルに身を包んでいたけれど、彼女が着ると野暮ったくならずに品が出るから不思議。ポイントは服のサイズとバランスですね」とその理由を挙げた。お気に入りは、ダブルブレストジャケットをロゴトップスとブルーデニム、キャップで思いきりカジュアルダウンしたルック。体にフィットするサイズ感を意識するだけで誰でもまねできるのも理想的。
rules5 ブラウンレザーという新たな選択肢

レザー小物はブラックではなく、意外にもブラウンを提案。ポイントは①上質な革を使っていて、②トーンが明るく、③ヨーロッパブランドであること。「ダークトーンの着こなしにブラウンの革靴をひとつ取り入れるだけで、ぐっと新鮮さと品が増すことに気がついて」と言うように、丸山さんも最近ブラウンの魅力にハマっている模様。「さまざまな製品に触れますが、特にヨーロッパブランドのものは、伝統技術にのっとった丁寧なつくりの上質なものが多い。洗練されたモダンな印象も手に入ります。ぜひ取り入れてみて」。
rules6 異素材ミックスでクセありアイテムを着こなす

シックといえど、ベーシックなワードローブのみならず、クセのあるアイテムもほどよい遊びとして取り入れたい。そんなときのコツを丸山さんは、「異素材をミックスすること」だと教えてくれた。「メインの一点を決めたら、それに近しいトーンでテクスチャーの異なるアイテムを加えて全体のバランスを整えていきます」。
(右)小花柄がちりばめられたツーピースのノーカラージャケットには、太畝コーデュロイのショートパンツを忍ばせてボーイッシュなエッセンスをプラス。
ジャケット¥145,200・ベスト¥88,000〈ともに別注〉/TOMORROWLAND 渋谷本店(リアー) 中に着たポロニット¥41,800/ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店(ユナイテッドアローズ) ハーフパンツ¥25,300/ロンハーマン(RH ヴィンテージ) 靴下¥2,090/ビューティ&ユース ユナイテッドアローズ 丸の内店(ビューティ&ユース) ローファー¥126,500/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン)
(左)スポーティなジャージパンツに合わせたのは、ふわふわとした質感がリュクスなモヘアのニットポロ。足もとはウェスタンブーツのレザーでツヤ感を。
ニット¥25,300/DES PRÉS パンツ¥31,900/アマン(アンスクリア) ネックレス¥28,600(参考価格)/THE WALL SHOWROOM(ジュスティーヌ クランケ) ブーツ¥75,900/ベーリーストックマン(リオス オブ メルセデス)
rules7 シンプルなアイテムこそ色で遊ぶ

ニットのアイスグリーン、カットソーのカナリアイエロー、カードケースのピスタチオグリーン。「きれいな色を取り入れるには、過度なデザインやオーバーサイズを避け、アイテム自体はベーシックなものを選ぶとうまくいきます」と丸山さんが太鼓判を押すカラーレイヤードは「派手」とは一線を画す上品さがある。さりげなく合わせるからこそ、配色の妙が際立つ。
rules8 デニムは肌見せでセンシュアルに

カジュアルアイテムの代表ともいえるデニムパンツを、丸山さんはいかにシックに着こなすのか? 答えはズバリ"色気"だ。「こなれ感のあるウォッシュドデニムには肌を足すのがマスト! 体にフィットするサイズ感とデコルテが大きく開いたヌードカラーのトップスによる、ほどよい露出がセンシュアルなエッセンスに」。