脱マッチョイズムともいうべき、可愛さを感じさせるメンズブランドがモード界を牽引している。ジェンダーイメージを拡張するクリエーションの潮流を知るとともに、リアルにまといたいブランドにフォーカスする。
マスイユウが考察する、メンズモードの現在地
ソフトテーラリングもフリルもスカートも。「好きなものを好きなように着る!」が、今の時代の合言葉。
ウィメンズウェアの要素を引用するブランドが増えている
昨今のメンズコレクションを見ていると、ソフトテーラリングに代表されるやわらかいクリエーションを強調するブランドが増えましたね。あのディオール(1)ですら、ムッシュ ディオールのニュールックにインスパイアされたジャケットを今季初めて披露したくらい。フェンディ(2)が今季の秋冬コレクションで裾をバッサリとカットしたクロップドジャケットを提案したように、肌の露出度も高くなっています。これまでウィメンズウェアで用いられることが主だったレースやオーガンジーのような素材を多くのメンズブランドが積極的に使うようにも。服そのものがフェミニンなムードに向かっているというよりは、一部にウィメンズに由来するディテールを取り入れることで、表現のあり方を広げている印象です。
今マークすべきブランドとは?
最近惹かれたのはアイレイ(7)。2022年度のLVMHプライズでセミファイナリストに選出されたLA発のブランドなのですが、透けるほどに繊細なオープンニットに見られる細やかな作り込みはどこか日本のクリエーションに通じるものを感じます。昨年のLVMHプライズでカール・ラガーフェルド賞を受賞したキッドスーパー(8)も面白いし、ソフトテーラリングを軸にロマンティックな色使いを得意とするフェデリコ・チナ(9)やマリアーノ(10)も好きなんですよね。そう考えると若いデザイナーたちの間では固定観念にとらわれない物作りの流れはより顕著。さらに次の世代を担うセントラル・セント・マーチンズの学生たちが当たり前のようにメンズモデルにドレスを着せていることを考慮すれば、このムーブメントが止まることはないと断言できます。
ときめく、メンズウェア
デザインからファブリック、ディテールにまで見られる、肩肘張らないアティチュードの表現。世界中のブランドから胸躍る一着をチョイス。








