今転生する、60年代のスピリット。気分はスウィンギング・ロンドン

政治やカルチャー、すべて新しく生まれ変わった60年代。若者は社会の制約を打ち壊し、ロンドンの街は自由な空気に満ちていた。混沌とした今の時代こそ、彼らの姿は私たちを勇気づける。そんな"スウィンギング・ロンドン"の精神を、2023年にアップデートする。

ヤァヤァヤァ!クールな彼らがやってくる

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[右から・Mia]ジャケット¥462,000・パンツ¥181,500・イヤカフ¥126,500・サングラス¥74,800/グッチ ジャパン(グッチ) 「BIBA」のヴィンテージブラウス¥28,000/アヌーシュカ 靴¥150,700/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)  [Harry]ジャケット¥638,000・シャツ¥88,000・パンツ¥165,000・タイ¥63,800・ベルト¥74,800・靴¥143,000/グッチ ジャパン(グッチ) ヴィンテージネックレス¥5,800/アヌーシュカ ソックス¥3,410/真下商事(パンセレラ)  [Zora]ジャケット¥495,000/グッチ ジャパン(グッチ) ボディスーツ¥78,100・スカート¥110,000/エドストローム オフィス(クレージュ) 黒のフープピアス¥2,750/ナディア フローレス エン エル コラソン タイツ¥1,100/ぽこ・あ・ぽこ(セシリア デ ラファエル) 靴¥113,300/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ) その他/モデル私物

[右から・Mia]ホースビットパターンのセットアップと、フリルがたっぷりあしらわれたブラウスで気分を盛り上げて。

[Harry]ファーつきのジャケットの胸もとはタイドアップで、ロックスターを気取る。

[Zora]ボリュームフォルムのジャケットにマイクロミニ。足もとは鮮やかなイエローのタイツで、旬な’60sスタイルが完成する。

ブルーベルベットの夢を見て

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ドレス¥88,000/コーチ・カスタマーサービス・ジャパン(コーチ) ヴィンテージピアス¥15,400/ジャンティーク その他/モデル私物

レトロなブルーのベルベットに、白いレースとリボンがロマンティックなミニドレス。グラフィカルなアイメイクアップに揺れるピアスでモダンに。

待ち合わせは真紅のテレフォンボックスで

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[写真上、右から・Harry]オーダースーツ¥88,000/洋服の並木 シャツ¥47,300/ヴァルカナイズ・ロンドン(ターンブル&アッサー) ブーツ¥187,000/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン)  [Mia]コート¥614,900/ステラ マッカートニー カスタマーサービス(ステラ マッカートニー) トップス¥36,300/リーミルズ エージェンシー(ジョン スメドレー) 「オリバー ゴールドスミス」のヴィンテージサングラス¥440,000/GIGLAMPS タイツ¥6,820/stella(ステッラ)ピエールマントゥー事業部(ピエールマントゥー) ブーツ¥185,900/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ)  [Zora]ドレス(コルセットベルトつき)¥484,000/ヴェルサーチェ ジャパン(ヴェルサーチェ) ヴィンテージハット¥7,800・ヴィンテージイヤリング¥4,800/アヌーシュカ タイツ¥4,840/キワンダキワンダ(キワンダ) 靴¥179,300/JIMMY CHOO

[右から・Harry]モッズスーツにはマッシュヘアがお約束。

[Mia]エコファーのガウンコートにトンボメガネで気分はマリアンヌ・フェイスフル!

[Zora]パワーショルダーの真っ赤なミニドレスは、白いタイツを合わせることで’60sムードに。

モノクロームのドレスでお散歩日和

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ドレス¥566,500(ヴァレンティノ)・靴¥116,600(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)/ヴァレンティノ インフォメーションデスク タイツ¥4,840/キワンダキワンダ(キワンダ)

シフォンのブラウスにジャンパースカートを重ねたような、トロンプルイユのミニドレスを主役にスタイリング。黒いエナメルのストラップシューズがよく似合う。白いタイツで脚を覆うこともお忘れなく。

グルーヴあふれる、伝説のコズミックガールズ

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[右・Mia]コート¥236,500・ミニドレス¥110,000/エドストローム オフィス(クレージュ) タートルトップス¥13,200/サンスペル 表参道店(サンスペル) 帽子¥24,200/エントワフェイン ヴィンテージグローブ¥3,190/リトル トリップ トゥ ヘブン 高円寺店 タイツ¥3,410/ぽこ・あ・ぽこ(エミリオ カヴァリーニ) 靴¥126,500/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)  [左・Zora]コート¥536,800/ジルサンダージャパン(ジル サンダー バイ ルーシー アンド ルーク・メイヤー) タートルトップス¥36,300/リーミルズ エージェンシー(ジョン スメドレー) ヴィンテージイヤリング¥18,700/ジャンティーク グローブ¥3,300(ミュージック レッグス)・タイツ¥3,080(エミリオ カヴァリーニ)/ぽこ・あ・ぽこ 靴¥102,300/ロジェ・ヴィヴィエ・ジャパン(ロジェ ヴィヴィエ)

[右・Mia]コクーンシルエットのコートを主役にしたレトロフューチャーな装いは、モノトーンでまとめてシックに。

[左・Zora]パフスリーブのコートをミニドレスとして着るアイデアが新鮮! ストライプのタイツ、エナメルのパンプスがスウィンギングなムードを加速させる。

現代に舞い降りた’60sなヴィーナス

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コート¥495,000/ドルチェ&ガッバーナ ジャパン(ドルチェ&ガッバーナ) ボディスーツ¥143,000(予定価格)/バーバリー・ジャパン(バーバリー) 帽子¥16,500/CA4 LA プレスルーム(カシラ) ブーツ¥214,500/セルジオ ロッシ カスタマーサービス(セルジオ ロッシ)

ストーンをあしらったボディスーツに、毛足の長いエコファーコートをオン。キャスケットやニーハイブーツの小物使いが決め手!

映画と展覧会がやってくる! 今ふたたび、マリー・クワント

ドキュメンタリー映画の監督を務めたサディ・フロストの肉声とともに、彼女のクリエーションと時代背景を考える。

Interview with Sadie Frost

マリーは社会的な制約をなくそうとしたし、
まさにそういう時代に出てきた人

60年代マリー・クワントの精神が現代に蘇る

若者たちが親たちの生き方、古い価値観を揺るがし、次々に新たなカルチャーを生んだスウィンギング・ロンドン。その爆発の真ん中にいた女性デザイナー、マリー・クワントを再評価し、ワクワクするようなドキュメンタリーに仕立てたのは、なんと俳優でファッショニスタのサディ・フロストだった。しかもこの映画は彼女の監督デビュー作になる。

「きっかけは知り合いの製作会社に誘われたこと。私自身戸惑って、『どこから始めよう?』と思ったくらいです。でも、とにかくリサーチに着手して、ドキュメンタリーのコースで勉強して。そのうち、自分にはこの映画を作るスキルがあるんじゃないか、って。それに、私はマリー・クワントを理解していると思った。繊細なバランスというか、ひとりの人を慎重に描く必要を感じました。だから徹底的に調べて、分析して、そのうえでフェミニンで美しい映画を作ろうと思ったの」

 コロナ禍もあり、マリー本人へのインタビューはかなわなかったが、構成を考え抜き、ケイト・モスら知人からも証言を集め、再現映像を加えた。前半では特に60年代ロンドンの記録映像が楽しめる。若者がコーヒーバーに集まり、踊りに出かけ、バンドが観客の服を真似て……そんな磁場からマリー・クワントとミニスカートが飛び出してくるのだ。

「マリーは社会的な制約をなくそうとしたし、まさにそういう時代に出てきた人。彼女はアートスクールで夫となるアレキサンダーと出会い、上流階級出身の彼が彼女の着想源になった。男性的な服を女性のために作ったり。女性も走ってバスに乗れるようにしたい、という想いも芽生えたり。そういう全部がベビー・ステップ、小さな一歩となって、社会における女性像を変えていったんです。同時に性革命も起きて、避妊ピルが流通すると、みんながミニスカートをはき始めた。いろんなことが連動することで、ムーヴメントが生まれるんだと思います。政治的な動き、ファッションや写真、全部がばちんとハマって、変化を起こして。私はあの時代そのもの、そこから出てきたカルチャーに魅了されているんです。次はモデルのツイッギーのドキュメンタリーを撮る予定」

本作はあの時代を振り返って、マリーが男性社会で企業を経営したことや彼女のワークライフバランスなど、現代的な視点から検証しているところも興味深い。

「突然時代の寵児になって、巨大な影響力を持つようになって。でも難しいのは迎合せずに、常に時代に先駆けること。ビジネス面にも注意を払わなければならないし。彼女は本当に偉業をやり遂げたと思います。夫の病気やつらいことを乗り越え、自分を再定義し、社会のシステムに挑んだんです。40年、50年前に彼女がやっていたことは今でも意味がある。日本ではずっと人気なのよね?」

マリー・クワントによる「セクシー」の解釈が人気の秘密だと思う、と答えると、サディ自身が80年代、日本に滞在した体験について語ってくれた。

「マリー・クワントの服ってキュートでアンドロジナスだから、そこが日本の感覚にアピールするんじゃないかな。私は16歳の頃、2カ月日本にいました。モデルとして雑誌の仕事で引っ張りだこになって!まだ子どもっぽくて、黒髪のボブカットで、中性的な感じが気に入られた。私が好きなピースは“バナナ・スプリット・ドレス”。可愛くてアンドロジナスで、体を包み込むのにセクシーでしょう。展覧会を見るとわかるけど、どれも今でも着たくなる服なんです。タイツや靴もコンビネーションになってて」

サディから見て、マリー・クワントが残した最大のレガシーは何なのだろう。

「女性に自信を与えたこと。自分を表現し、解放するための自信ね。マリーは女性が自由になるムーヴメントを始めました。彼女がいなかったら、ほかの人がやったかもしれない。でも彼女があの時代、あそこにいて、当事者になった。それが以後何十年も社会全体に波及したの。真に女性を解放した人だと思うんです」

Sadie Frost
1965年ロンドン生まれ。俳優として『ドラキュラ』(’92)などの映画、舞台に出演。プロデューサーとしては数々の映画を製作、自身のファッションブランドも立ち上げた。ジュード・ロウとの間に生まれた娘、アイリス・ロウとともに日本を再訪したいそう。

『マリー・クワント スウィンギング・ロンドンの伝説』
1960年代ロンドン。マリー・クワントが作り、ツイッギーがはくミニスカートは若者たちの革命=ユースクエイクの象徴に。その時代背景と、彼女の人物像を鮮やかに描くドキュメンタリー。(11月26日公開)


Exhibition その軌跡を追いかける

2019年、ロンドンのV&A(ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館)にて催された展覧会が、日本に初上陸。1955年に25歳という若さでオープンしたブティック「バザー」から60〜70年代にかけて大きなうねりを巻き起こしたマリー・クワントの軌跡を、6章立てでたどる仕立てに。約100点の衣服と、雑誌や写真など貴重な資料からは、当時の若者たちの熱狂がうかがえるよう。「誰にでも手が届くおしゃれな服を作ること、それがファッションの使命」と語った彼女の言葉の通り、広く深く熱狂を生んだミニドレスやタイツなど、象徴的なルックも数多くラインナップ。


(右)ベストとスカートを組み合わせた「コール・ヒーバー(石炭担ぎ)」を着るセリア・ハモンド(写真左)とジーン・シュリンプトン
© Ronald Dumont/Daily Express/Hulton Archive/Getty Images

(左)マリー・クワントと、ヘアスタイリングを担当していたヴィダル・サスーン(1964年)
photograph by John French © John French / Victoria and Albert Museum, London

『マリー・クワント展』
「スウィンギング・ロンドン」を牽引したマリー・クワントの日本初の回顧展。2023年1月29日まで、Bunkamura ザ・ミュージアムにて開催。
開:(月〜木・日)10時〜18時 ※最終入館17時30分 (金・土)〜21時 ※最終入館20時30分 休:12月6日、2023年1月1日

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