タイやボウブラウス、ドレスなどのフォーマルなアイテムに現代的なツイストをきかせた着こなしが今季ブレイクの兆し。1973年に熱海で開業し、2021年に閉館を余儀なくされた「ホテルニューアカオ」の再スタートに重ねて、現代の「エレガンス」をよみがえらせる
紳士服のルールをパンクマインドで打ち崩す
＂ブラックタイ＂の定義を鮮やかに転換させたのがヴァレンティノ。エンブロイダリーが施された肉厚のシャツと黒タイのコンビネーションはマスキュリンな要素がありながら、ドレスのような華も持ち合わせている。パンキッシュな小物使いで相反する要素をブリッジすれば現代的なスタイルが完成する。
堂々たるパワーショルダーが放つパワフルな存在感
繊細なプリーツ×百合のプリントというエレガントなブラウスは、工芸品のような佇まい。卓越したアルチザンでショルダーコンシャスなシルエットに昇華している。同柄のスカートは、実はレザー。異素材のコンビネーションもパワフルな着こなしの秘訣だ。優雅さと力強さを兼ね備えた、モダンな女性像が魅力的。
50年代のエレガンスは軽やかに時代を超越する
メゾンの歴史を解き明かし、ゆかりのある50年代の女性たちを着想源にしたディオールの秋冬コレクション。ブランドらしいフィット＆フレアのシルエットは、あえてテクスチャーを残したシャツやアブストラクトなフラワープリントでモダンなツイストを加えている。思わずダンスしたくなるような軽やかさをまとったルックが新鮮。
洗練されたシェイプがモードな緊張感を生む
オーセンティックなタイと白シャツのスタイルを胸もとで切り取るようなアイデアに眼を奪われる。アレキサンダー・マックイーンの秋冬は解剖学に基づいており、人間の体をより美しく見せる服について考え抜かれたコレクション。テーラリングの技術を取り入れたビスチェジャンプスーツは削ぎ落とされたシルエットが美しく、着る人をスタイリッシュに格上げする。
透けて、重ねて、モダンなセンシュアリティの現在地
＂官能性＂をテーマに掲げたドルチェ＆ガッバーナの秋冬。タイにカマーバンド、大きなラペルのジャケットコートをシアーな素材で仕立てたセットアップはさりげなくセクシーさを醸し出す。紳士的なスタイルコードに則りながらも、どこか軽やかなムードもまとっているのが今年流。
ほのかなロマンティックさがニューエレガンスのスパイス
スキンタイトなリブニットにベルベットのペンシルスカートを合わせたミニマルなルック。あえてタイトなアイテム同士を合わせることで生まれる絶妙なバランスが、今年らしいムードに導いてくれる。パープルの編みタイツをきかせるなど、色鮮やかな小物使いがエレガンスに刺激を添える。
日常に優美さをまとうのが究極のエレガンス
プラダの秋冬は、さまざまなものへの愛がこめられた優しいコレクション。ウェディングドレスに見られるクチュール的なスカートに、リラックス感のあるニットを合わせたノンシャランな着こなしが象徴的なルックだ。オーガンザにちりばめられたハンドクラフトのクロシェ編みの花々は、どこまでも可憐な印象。そこにプレーンなニットがモダンな対比を生む。
エクストリームなボウタイがスタイルにドラマを生む
80年代のパワーショルダーとクラシックなアイテムが交差したサンローラン。狙いたいのはタータンチェックのボウブラウスだ。ウルトラロングなボウはくるりと巻いてバックに流したり、大きなリボンを作ったりとスタイリングを自由に楽しめるデザイン。ボトムは、カシミヤニットのレギンスでタイトにまとめたい。
