いま気になる、【ユニクロ:シー(UNIQLO : C)】とは? クレア・ワイト・ケラー自身が新プロジェクトを語る

ユニクロに、モダンなLifeWearを提案する新たなコレクションが仲間入り。錚々たるラグジュアリーブランドで功績を残してきたクレア・ワイト・ケラーが手がける注目のアイテムと彼女のインタビューから気になる全貌を探る

ユニクロ:シー(UNIQLO : C)とは?

英国人デザイナーのクレア・ワイト・ケラーを迎えて立ち上げた新しいコレクション。クレアの頭文字でもある「C」には、シティ、クリエイティビティ、シック、カラーなど、さまざまな意味が込められている。場所やシーンを問わず心地よくまとえる、現代女性のためのモダンなアイテムが揃う。

軽やかなブラウスで装いに華を添えて

UNIQLO : Cのブラウス
ブラウス¥3,990/UNIQLO(UNIQLO : C)

スタイリングを盛り上げる、小粋なオレンジがまぶしい。緻密なギャザーが流麗なドレープを生み、エレガントなムードを加速させる。レイヤードはもちろん、さらりと一枚でまとっても様になるアイテムだ。繊細なシボが入った素材はシワが気になりにくく、日常から旅先まで重宝する。

着こなしの幅を広げるコンパクトなセーター

UNIQLO : Cのセーター
セーター各¥4,990(一部店舗のみで販売)/UNIQLO(UNIQLO : C)

上質なウールをふっくらと編み上げ、肉厚な仕上がりに。スポーティな趣を加えるハーフジップをあしらい、カジュアルかつシックな一着に昇華した。さまざまなボトムスと好相性な、ショート丈もうれしい。バリエーション豊かな全4色で展開。

一挙手一投足をドラマティックに演出

UNIQLO : Cのスカート
スカート¥5,990(一部店舗のみで販売)・セーター¥3,990・ブーツ¥4,990/UNIQLO(UNIQLO : C)

ピッチの細い緻密なプリーツを、ヒートプレス加工でサテンに施して。シーズンのキーカラーであるレモンイエローと白のグラフィカルな切り替えが、奥行きのある表情を生み出す。歩くたび大胆に翻る様は、すれ違う人の視線を釘づけに。プリーツを取り入れたクリエーションが得意な、クレア・ワイト・ケラーの真骨頂となっている。

細部にまでこだわった上質なアウター

UNIQLO : Cのアウター
トレンチコート¥12,900・ボアコート¥6,990(ともに一部店舗のみで販売)/UNIQLO(UNIQLO : C)

クレア自身がお気に入りと語るトレンチコートは、彼女のルーツであるブリティッシュなエッセンスを加えた本格仕様。ハリのあるコットンツイルで、スマートなシルエットを描き出している。ライニングにはオリジナルのチェック柄を配した。一方、思わずさわりたくなるボアコートの内側には、マイクロフリースを採用。驚くほどの軽量感と、抜群の暖かさを同時にかなえる。

大人のカジュアルをパンツで表現したら

UNIQLO : Cのパンツ
パンツ¥4,990・ジャケット¥7,990・セーター¥6,990・カーディガン¥10,900(すべて一部店舗のみで販売)・ローファー¥4,990/UNIQLO(UNIQLO : C)

肌ざわりの優しいコーデュロイパンツは、ゆったりとはけるミドルライズ。ワイドなストレートシルエットが、まとう人をこなれた佇まいへと導く。イージーなアイテムに、甘いピンクを掛け合わせる絶妙なバランス感も魅力的。同じトーンのカシミヤニットと合わせて、洗練された装いを楽しみたい。

【クレア・ワイト・ケラー インタビュー】ユニクロとシェアするのは、私自身のワードローブ

組み合わせは40通り以上。自由に重ね着を楽しめるコレクション

クレア・ワイト・ケラー

クレア・ワイト・ケラーが、帰って来た! クロエで自由な女性のワードローブを刷新し、ジバンシィではウィメンズ、メンズ、オートクチュールのすべてで幅広いクリエーションを見せた彼女が〝メゾン〟を後にしたのは、3年半前。ヨーロッパが、コロナ禍によるロックダウンに入った頃だ。デザイナーの座を退くと虚無感に悩まされるものと聞くが、彼女はこの時期をリフレッシュの好機に変えた。クレアはこう回想する。

「突然ファッション界を外から眺めることになったわけですが、当面のプロジェクトを持たず、自由を満喫して結果的にはとても素晴らしいリチャージの時期でした。ものごとを熟考し、インスピレーションの吸収力が高まったんです」。こうして行き着いたのが、彼女が〝偽りのない装い〟と呼ぶ概念だ。

「服はステータスやトレンドを表す媒介ではなく、まっすぐな気持ちで着る女性に、自信と喜びを与えるものでなければ、と考えるようになりました」。この間、フリーの彼女にはいくつかの仕事のオファーが来たが、どれも最適とは思えずに断り続けた。そしてアプローチされたのが、ユニクロだったのだ。

「それまでまったく縁がなく、漠然とした概念しか持てなかったこの価格帯。これは私にとって新しい視点での新しい試みを意味していました。しかも私は自分のブランドを持ちませんから、名前を出してこれだけ大規模なプロジェクトを受け持つことは、大きな〝挑戦〟だったんです」

クレア・ワイト・ケラー

折しも〝ルックのおさらい〟をしていたというクレア。自身の写真を整理して過去のルックを振り返り、クローゼットを見直すと、驚くほどの一貫性があった。カシミヤのセーター、ナイロンのロングコート、しなやかなシルエットのドレス、柔らかなブラウス……。彼女のクローゼットにいくつかバージョン違いで並ぶこれらのアイテムを基本に、UNIQLO:C ファーストコレクションの輪郭は、自然と描かれていった。軽やかで、何枚もの重ね着が可能な、〝ワードローブ・エッセンシャル〟である。

「最初は一人で、今度はユニクロのチームと一緒に私自身の定番を再考するのは、とても興味深い仕事でした。リアリティよりもビジョン、つまり現実からはかけ離れた世界を見せるハイエンド・ブランドと違って、ユニクロは日々のワードローブへの解決策。どのアイテムも、デザイン、フィット、そして長持ちする素材のすべてにおいて、真の意味でグローバルでないといけません。それで、誰にも似合うタイムレスで実用的なキーアイテムに、フォーカスしたんです」

コンセプトをこうまとめるクレアが、コレクションの立ち上げにあたり具体的な着想源としたのはロンドン郊外、ハックニー・ウィックの建築や雰囲気だ。

「再開発が進み、若い世代でにぎわっているこの地区はクールで、常に動きがあります。特に好きなのは駅の銅と新しいビルのコンクリートと空とのコントラスト。今回のカラーパレットは、ここの風景からとったんですよ。以前、私のコレクションづくりの出発点は歴史やミューズでしたが、今はリアルな場所や人々。それをモダンなやり方で、モダンな女性たちのために、実際のファブリックや形に落とし込んでいく。今私はとても現実とつながっていると感じるんです」

またメンズウェア・デザイナーとしての経験から特にこだわったのは、コートやジャケットのカッティング。特に、定番アイテムであるトレンチコートが象徴的だ。イージー・フィットで、肩はややルーズ。クレアいわく、クラシックながらちょっとだけエッジがきいている。

「一つ大きめのサイズだと、クールに着られます。逆に小さめなら、スリークでスタイリッシュに。ロゴは使わないものの目印としたのは1940年代のブラウンのチェックのライニング。とても長いベルトで、結んだり巻いたり、自由な着方が楽しめるんですよ」と、クレア。

ちなみに彼女がユニクロに興味を持ち始めたのは、10年以上も前のこと。
「2009年秋にジル・サンダー氏とのコラボレーションについて知って、ユニクロ+Jのローンチと同時にブティックに駆け込んだのを覚えています。それ以来ユニクロのシンプルさと洗練、機能性が好きで、今日もメンズの定番Vネックセーターを着てるんですよ」

そして’21 年末、UNIQLO:Cのためにコロナ禍の規制をクリアにして日本に行き、チームと働き始めてからは、さらにブランドへの信頼感が高まった。
「人々の気遣い、そして何よりも仕事上での細かさと完璧主義。これは日本の特徴でしょうね。しかもここではブランドのDNAという型にはめられず、自由にパーソナリティを表現できます」

ユニクロでの仕事自体を、日々のエネルギー源とするクレア。自身のデザインを世界中でたくさんの人に着てもらうのが本当に楽しみだ、と言う。

プロフィール画像
クレア・ワイト・ケラー

イギリス生まれ。ロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・アートでニットを学び、カルバン・クライン、ラルフ ローレン、そしてトム・フォード率いるグッチで経験を積む。その後プリングル・オブ・スコットランド、クロエ(2011年より6年間)、ジバンシィ(2017年より3年間)と3メゾンでアーティスティック・ディレクターを務める。2018年にはメーガン妃のウェディングドレスを手がけた。

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