衣服をまとう人の生き方や、芯のある姿勢が垣間見えるからこそコーディネートの魅力は輝く。3人のスタイリストが装いの手本に選んだのは唯一無二の才能を持つ、男性アーティストたち。自身のクリエーションに影響を与えた、彼らのファッションには、ヒントが詰まっている
時代に合わせたものづくりは必要ない。長く残るのは、〝芯の強い″もの
「ビリーは1970年代から幅広いジャンルで活躍しているアーティストですが、いつの時代もスタイルが変わらない。ワークウェアやミリタリー調のヴィンテージアイテムが軸にあるから、いつ見ても古臭く感じないんです。彼自身のアートワークにも通じますが、信念があって、ブレない姿勢があるからカッコいい。そこにパワーをもらいますね」(吉田さん)。
1959年イギリス、ケント州生まれ。16歳で中等学校を中退後、地元の海軍造船所で石工見習いとして働く。その傍らで何百枚ものデッサンを描き、ロンドンのセント・マーチンズに入学。中退したのちにガレージバンドを結成し、現在は150枚以上のLPを発表。そのほかにも演劇や小説、詩の創作などあらゆる方向の表現を模索している。
グッドテイスト、時々遊び心。パリジャンの粋を取り入れるには?
「クリストファーのようにニッチでしゃれたパリの空気を表現するのは、難易度が高いですよね。細身の彼はぴったりとフィットした服を選んでいますが、女性の装いに落とし込むならビッグサイズのものを選ぶのもおすすめです」(清水さん)。
スポーティな軽やかさと、トラディショナルな小物選びは女性でも取り入れやすいポイント。一見、紙袋に見えるレザートートなど、ラグジュアリーな遊び心のあるアイテムを選べば、シックで洗練された着こなしが完成。
編集者、作家、スタイリスト。パリを拠点に活動中。カール・ラガーフェルドや、クリスチャン・ラクロワの下で働いた経験もあり、パリやニューヨークのファッションコミュニティのキーパーソン。現在は自身が編集長を務める『STUDY MAGAZINE』の編集に携わる。清水さんも彼のスタイルブック『CN by Christopher Niquet』(左上)を愛読している。
圧倒的なカリスマ性とユーモアを掛け合わせた逸材
尊敬するアーティストのフェイバリットとして興味を持ってから、浜田さんもダムドが大好きに。デイヴの一貫した漆黒のスタイルには実はポップさも重要。「彼のナルシシズムは、唯一無二のカリスマ性とつながります。楽曲に『Neat Neat Neat』(※Neatは素敵の意)と名づけてしまうバランス感覚もおしゃれ。今となっては当たり前となった男性のメイクアップも、この頃から自然と取り入れていて。先見性がありますよね。今季トレンドであるタイの装いは、彼が着想源なのでは?と想像していました」(浜田さん)。
1976年に結成されたイギリスのパンクバンド「ダムド」のボーカル。同世代のパンクバンドと比較されることも多いが、ひとつのジャンルにとどまらず、活動を続ける。ロックの文脈で語られることも多い。2018年には10年ぶりとなるアルバム『イーヴル・スピリッツ』を発表するなど、今なお現役で活動中。