1 日本の雑誌で初めて表紙を飾ったSPUR2023年3月号。10ページにわたる特集でグループ名にちなんだデニムルックを着こなした
Yumi(以下Y) よく覚えています! 桃子さんには本当に感謝しているんです。入念に準備してもらったおかげで素敵な撮影ができて。あの機会を経て、SPUR編集部とも桃子さんともよいおつき合いをさせてもらえていてうれしい。
M あれからYumiさんのサポートとしてNewJeansのスタイリングにもいくつか携わらせていただき、楽しかったです。それだけでなくYumiさんとは友達になり、今日までいい刺激をもらっているので、改めてお礼を伝えたいです! ライブにイベントに、世界各国を飛び回りながらとっても多忙な2023年でしたよね。振り返って印象的だったスタイリングはありますか?
Y まずはNewJeans 2nd EPGet Up‘に収録された「Super Shy」のスタイル(2)。
2 「Super Shy」の衣装のひとつ。ボトムスは揃え、デザイン違いのトップスで魅せた
Y 「Super Shy」を聴いたときにまず、ユニークなチアリーダーのユニホームを作りたい!と思って。衣装製作とイラスト(3)も依頼して、ディテールにこだわってデザインディレクションをしました。完成した服を受け取ったとき、NewJeansならではのユニホームが誕生したようで、今でもお気に入り。
3 YumiさんがディレクションしたTシャツのイラストはNewJeans 2nd EP Get Up’のカバーにも登場
M とても可愛かったです。プリーツスカートにゴールドのレッグウェアの合わせ(4)も新鮮でした! MVやステージには、たくさんのダンサーの方々が登場しますよね。Yumiさんが全体のスタイリングをしていると知ったとき、そ、そこまで!と驚愕……。
4 こちらも「Super Shy」の別衣装。ゴールドカラーを、ショーツやタイツ、トップスにちりばめて。ヘアアクセサリーやメイクアップでビジューをあしらい、シンプルな装いにポイントも加えた
Y そうですね(笑)。全体が調和するように考えています。
M 個人的には、「OMG」(5)のバギーなパンツとウサギ耳のキャップの組み合わせが大好きです。「Super Shy」にも通じますが、異なるスタイルで違いを出すというより、あえて制服のように揃えることで、それぞれの個性が浮き出てくる。とてもアイコニックだなと。
5・6 2023年1月にリリースされたNewJeans 'OMG'。タイトなTシャツとワイドなカーゴパンツを軸に。ボリュームシューズもポイント!
Y 曲を初めて聴いたとき、5匹のHIPHOPトッキ(ウサギ)が思い浮かんだんです。オーバーフィットのパンツにウサギの耳の形をした帽子や、ウサギのカバンを合わせたら……と想像が広がって。2023年が卯年ということもあり、バリエーション豊かなウサギのアイテムがゲットできました。
M Yumiさんを象徴していました!
Y 桃子さんがおっしゃる通り、タイトフィットなTシャツとワイドボトムスは揃えて、メンバーごとにディテールを変えたのがポイント。いたずらで自由なニュアンスを添えたくて、ここでもイラストを依頼して準備しました。最終的に、落書きのような愛らしいウサギが加わって(6)、描いていたコンセプトの完成度が高まって大満足! あとは、「ASAP」(9)のMVの仕上がりもよかったです。花をかたどったヘアピースと妖精の耳。幻想的な“バレエコア”が、NewJeansならではのムードにマッチしたようで。
9 「ASAP」ではHYEIN SEOのドレスを中心に、フェアリーライクに味つけ。幻想的で儚いムード
M ティザーでいち早く流れた映像を見て、あまりの可愛さにすぐさまYumiさんに連絡しましたよね(笑)。ロマンティックで不思議なコンセプトとエルフの彼女たちがとてもフィットしていて、曲の魅力をここまで引き出せる衣装はYumiさんにしかできないと感じました。
Y 足にくくりつけて結んだリボンが撮影時に何度もほどけて落ちてしまって。テープで貼ったりなど、ハプニングもありました。
M 映像の撮影は大変ですよね。ほかには「ETA」(7)のスタイルも繰り返し見てしまいます。
7 「ETA」の衣装。HANNIさん(写真右端)のピンクのウィングは、アナ スイのもの
Yumiさんのバックグラウンドとスタイリングの気になるところ
M Yumiさんがどうやってそのセンスを磨いてきたか、改めて聞いてもいいですか?
Y 10代の頃は美術を学んでいました。20代になってからファッションに関心を持つようになって。ハ・サンベグさんのデザインチームで本格的に仕事するようになり、その過程で自然と勉強してきたかも。スタイリストとして自身で活動を始めてからも、日々学びがあります。
M 映画や音楽は、どんなものに影響を受けましたか?
Y 実は幼い頃からスリラーやホラー映画、アニメーション作品に興味があって、よく親しんでいたんです。今でも時間さえあれば、家にいるときや移動中に映画を観ていますね。私の趣味でもあり、ストレス解消にもなります。クラシックな名作も定期的に見返したり、新しい作品もよくチェックするほうだと思います。
M スケジュールがいっぱいななか、すごいです。ファッションでいうと、最近のブランドだと、キコ コスタディノフ(8)の名前がよく挙がりますよね。
8 キコ コスタディノフの2024年春夏コレクション。パッチワークや"アップサイドダウン"な意匠に注目
Y 大好きです! キコと、ウィメンズを率いるローラ&ディアナ・ファニング(10)の作品にはいつも驚かされます。先日のパリファッションウィークでは彼らのショーに招待してもらい、ランウェイを見られたのもうれしい思い出。
10 フィナーレに現れたローラ&ディアナ・ファニング
M Yumiさんは世界のカルチャーから、ストリートやメンズファッション、オルタナティブなブランドまで詳しいですよね。関心の幅が広いのが、スタイリングに落とし込むときにも感じられます。でもバラバラではなくて、さまざまなインスピレーションがうまく融合しているというか。
Y 本当に? ありがとうございます! NewJeansらしいスタイルを意識して選んでいますが、一方で、あまり“NewJeansらしさ”に縛られて視野を狭めないように心がけているかもしれません。
M さらに、アクセサリーの使い方もいつも可愛いです。何か意識しているポイントはありますか?
Y ほかにはないような新鮮な使い方を意図する、というよりは、自分が素敵だなと感じるポイントでアクセサリーを使っています。
M 服の組み合わせも、同じようにフィーリングを重視していますか?
Y はい。スタイリングにおいて、すごくこだわっている具体的なポイントというと、正直あまりないんです。ただトゥーマッチにならないように、クールなポイントを入れることは、自分なりに意識しています。
これからも、型にとらわれず新たなスタイルを構築していく
M キコのほかにもYumiさんが注目しているブランドがあれば知りたいです。
Y Fidan Novruzova(11・12)、Paolina Russo(13・14)、Paula Canovas del Vas(15・16)なども好き。共通項は、型にはまらずに、新しいスタイルを見せてくれるところ。次にどんな提案があるのか、“ネクスト”に期待してしまうんですよね。
11・12 Fidan Novruzovaはセントラル・セント・マーチンズ出身のデザイナーにより、2020年にスタートした。アイキャッチなディテールが視線を集める
13・14 ニットウェアに定評があるPaolina Russo。初めてコペンハーゲンでショーを開催。民族的な装飾を、コンテンポラリーに落とし込んでいる。どこか近未来的なニュアンスも
15・16 日本でも人気のPaula Canovas del Vas。造形的でユニークな服作りに定評があり、つま先が二股に尖った靴はシグネチャー。今季、パリでプレゼンテーションを発表した
M “ネクスト”な何かは、いつもどのように探しているんですか?
Y 自分が好むブランドをシーズンごとに注目して追いかけることが多いかもしれません。素敵だなと思ったルックを中心にリサーチすることもあります。Instagramでも新しいブランドを見つけていますね。大事なのは実際に手に取ってみて、素材やディテールに直接触れること。どれかひとつではなく、さまざまなムードのブランドが好きなことがスタイリストとして役に立っているんだと思う。
M 個人的には授賞式やステージでの装いもとても楽しみ。2023年のアメリカの代表的な音楽フェスティバル、『ロラパルーザ』のステージ衣装が好きでした(17)。お揃いのアイコニックなウサギのネックレスやディッキーズのミニスカート。ルーズソックスにティンバーランドのブーツを合わせて。キラキラと歌って踊る5人とこの夏の熱狂は、90年代に青春を生きたたくさんの人の心に刺さったと思います……(涙)。
17 バンドセットとともに披露した『ロラパルーザ』での公演。アメリカでも多くの歓声とともに迎えられ、話題に! アクティブな装いにそれぞれの個性が光る
Y MVはトータルでムードを見せられるので、多様なスタイルを試すことができます。一方、授賞式やステージでは、フルショットやダンサー、舞台装飾など、全体的な構成とうまく融合していなければならないですよね。そのため、メンバー間でバランスを取ることも考えますが、それよりもステージの要素と調和させることが大事です!
M 2023年12月2日の『MMA2023』も素晴らしかったです! 前年のステージ衣装とリンクしたアイテムもあって、映像を見比べるファンにもうれしい。そして、どんな格好も着こなすNewJeansのメンバーの皆さんの力もあってこそ。
Y 本当にそう思います。デビュー前からメンバーたちを見てきましたが、当時も今も変わらない純粋な姿や、いつも努力する姿を見て、私ももっと力を注いで自分に任された仕事で最善を尽くしたいと思うんです。
M NewJeansで次にトライしてみたいテイストはありますか? 韓国では’90sやY2Kの流れもありましたが、この次にどんなムーブメントが来るか注目しています。
Y 個人的にはフューチャリスティックでガーリーなムードや、HIPHOP、パンクスタイルにもっと挑戦してみたいですね。
M 2024年にどんなクリエーションが見られるか、今からワクワクします。そしてまた日本か韓国で会いましょう!
nibgnus
Instagram: @nibgnus
センシュアリティと楽しさにフォーカスして、自由な着方のできる服を提案するnibgnus。韓国生まれのホン・サンビンにより2019年にデビューした。ブランド名は自身の名前"Sungbin"を逆さ読みしたもの。パーソンズとセントラル・セント・マーチンズで学び、ザ・ロウ、マーク ジェイコブス、セオリーでインターン、フリーランスデザイナーとして経験を積み、設立。「一着取り入れるだけで"今"感があって可愛いです。スターの着用も多く、推しとお揃いがかなうのもうれしいポイント」(桃子さん)。ハートのディテールや自由に結べるデザインなど、エッジのきいた意匠もキャッチー!
NOTHINGEVERYTHING
Instagram: @_nothingeverything
クリエイティブディレクターのアン・ジヨンさんが2018年に設立したブランド。"素材の多様性を実験する"ことをステートメントに掲げ、マテリアルを活かすためあえてシンプルな無地を中心に。作り込まれた洗練と、計算していないラフな要素をミックス。ひとさじのツイストがきいたデザインだ。「ミニマルななかにエッジがあり、それでいて着やすそう。モード好きの心をくすぐります。アイテムを単体で見たとき、一枚でさまざまな着こなしが浮かぶのも好きなポイント」(桃子さん)。日本ではエイチ ビューティー&ユース、ビューティー&ユース、リ・スタイルTOKYOに並ぶ。ぜひ直接触れてみて。
FROM ARLES
Instagram: @arles.official
2019年に始動したメンズウェアブランド。ボヘミアン、ロマンス、コーヒー&シガレットなどのキーワードを掲げている。チェット・ベイカーなどのクラシカルなアイコンも着想源にあり、どこかレトロな空気が漂う。「ヴィンテージライクなトーンのプリントや色使いがとっても可愛い! 刺しゅうなども主張しすぎないバランスが絶妙でいいですね。それぞれのアイテムにインパクトがあるのに、古めかしくはならないのが素敵」(桃子さん)。シンプルなカーディガンから総柄のフーディまで、シックでほどよいあんばいが大人にもうれしい。オンラインストアのMUSINSAや29CMで購入できる。
coor
Instagram: @coor_official
ソウルの聖水(ソンス)エリアにフラッグシップストアを構える、2017年設立のブランド。シンプルで調和の取れた美しさを追求する。「1点1点はベーシックなので、日常のあらゆるシーンで活躍しそうです。シーズンビジュアルなどではメンズ、ウィメンズの境界がない打ち出し方が魅力ですね。お気に入りのアイテムを誰かとシェアする想像が広がります」(桃子さん)。オーガニックコットンのシャツやデニムジャケットなど、要素をそぎ落としつつも気負いなく着られるリラクシングなムードがうれしい。旗艦店のほか、現代百貨店に店舗があり、オンラインではMUSINSAや29CMなどでもチェックできる。