素材選びや製作過程、購入後のアフターケアまで、背景を知るとさらに欲しくなる国内のブランド。中でも太鼓判を押したい定番アイテムを厳選。世界に誇れる質のよさと着心地に酔いしれて
服好きが推す、あのブランドの逸品
たくさんの服を試してきたからこそわかる、細部へのこだわり。ファッションプロ6人が本気ですすめる服とは?
オーラリーのトレンチコート
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スタイリスト 高橋茉優さん
この企画を通じて数々のアイテムを目にする中で、日本ブランドの服は上質でシンプル、細部まで手が込んでいると感じました。特に計算されたサイズ感とシルエットが美しいのがオーラリーのトレンチコート。羽織ったときの優しく包まれるような軽い着心地は唯一無二。シチュエーションを選ばず、着る人の生活に寄り添う一品です
エポレットなどディテールを省き、ミニマルに仕上げている。袖を通せばわかる、ロング丈のきれいな落ち感とゆとりのある身幅のあんばいが見事。シルクコットンを使ったシャンブレーギャバジンの質感で上品に。
クーキーズーのデニムパンツ
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スタイリスト 鈴木美智恵さん
自分の体型に合うものが見つからず、断念してばかりでしたが、コーディネートを考えるのが楽しくなるデニムについに出合えました。これは遊び心のある大きめのサイジングを堪能できる一本。「それどこの?」と聞かれることも多いです。トップスは古着のTシャツやきれいめのシャツ、足もとは丸みのあるフォルムのシューズが鉄板スタイルになっています
アメリカンヴィンテージウェアをベースに、ひとさじのアレンジを施して、ほかにはないユニークな服を作っているブランド。子ども服をそのまま巨大化して、ディテールごと大きくしたような遊び心のあるデザインが特徴的。重厚感のあるセットアップに、帯のような極太ベルトをきかせて。
ウメダのニット
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スタイリスト 小川夢乃さん
ニットデザイナーとして働いていたので、ニットには一家言あり(笑)。ハイゲージは素材と型重視ですが、これは光沢がある上品な質感とラフに着られるシルエットのバランスが見事。穴開きなどのトラブルがあっても、リペアに出して長く着られる"10年ニット"のコンセプトも素敵。トレンドより、作り手の想いやストーリーで物を買う私のスタイルにも合っています
新潟県で生まれ、60年以上続く歴史を誇るニットファクトリー。種類はプルオーバー、カーディガンの2型、厚みは3タイプ、色は2色のみ。サイズはユニセックスで展開しており、XS〜XLから選べる。スーパーハイゲージの16GGは、上品でコンパクトなシルエットにこだわっている。
ビューティフルピープルのスラックスパンツ
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エディター Sakuraba
出張でスラックスが必要になり、インポートではサイズが合わず。小柄なので日本ブランドがいいのでは?と思い立ち試着すると、ぴったりフィット。パンツはシルエットが大事ですが、豊富なサイズ展開なのでしっくりくるものが見つかります。ちょっとだけきちんとしたい、そんなシーンに頼れる一本です
美しい細身なラインながら、腰回りには安心感がある作り。ほどよく詰まりとハリがある生地は、強撚で織ることでしなやかな風合いとドライな肌ざわりを実現している。オールシーズン、幅広い場面で活躍する、きれいめパンツの代表格。
アンスクリアのトラックパンツ
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ミラベラバイヤー 岡田裕希さん
毎シーズン新色が登場するトラックパンツはとてもはきやすく、シルエットもきれいで秀逸です。バイヤーやプレスからの人気も高く、私も毎シーズン買いつけをしています。ラフにスニーカーもいいですが、ジャケットやシャツに合わせ、足もとをヒールにすることで、モードなスタイリングに落とし込んでいます
スポーティながらセンタープレス入りの上品なシルエット。表は落ち感の出るポリエステル、裏地は肌ざわりのよいパイルのオリジナル生地を使用。2022-’23年秋冬シーズンからスタートし、カラーを変えて継続して登場している。
ペレックのオールインワン
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エディター 福永晃子さん
早朝のロケ撮影など、スタイリングを考える余裕がないときの味方になる私的ワークウェア。体のラインは拾わないけれど大きすぎず、さりげなくスタイルがきれいに見えるシルエットも理想的。デザイナーの大野京子さんによる等身大の服作りから、絶妙なバランスが生み出されているのかなと、着るたびに感心します
デザイナーの好きが高じて、毎シーズン素材や型を変えて新作を展開しているというオールインワン。今季は縦と横でネイビーとブラックの2色の糸を採用し、表情をプラス。複数の柄を織り込んだオリジナルのジャカード生地がユニーク。ウエストのストリングを調節して、着こなしに変化をつけて。
もっと知りたい、長く愛せる日本の宝
定番品には、ブランドの哲学やレガシーが宿っている。こだわり抜いた服に袖を通し、肌で体感して
ハイクのジャケット
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00年代に圧倒的人気を誇ったブランド「green」のデザイナー、吉原秀明氏と大出由紀子氏の二人が、2013-’14年秋冬シーズンからスタート。テーマは設けずに、素材やディテールをアウトドアやミリタリー、古着などに着想を得たクリエーションは、幅広いファンを獲得している。ザ・ノース・フェイス、チャコリ、キーンなど、さまざまなブランドとのコラボアイテムは毎回完売!
日本でも有数のテーラーで仕立てられたジャケットは、生地やデザイン、型をアップデートしながら毎シーズン作り続けている。上品な光沢とハリ感のある生地は、柔らかさもあり快適な着心地。袖口に入った深いスリットの開閉で表情を変えられる。
コモリのリネンブルゾン
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2011年に小森啓二郎氏が立ち上げた。「すべての洋服の原型は欧米から生まれ、ある目的のために作られたものである」という考えのもと、現代に向けた日常着を展開する。一見、シンプルなデザインながら、着心地や絶妙なサイジングへのこだわりは、着用すれば一目瞭然。抜け感のあるクリエーションを特徴とし、通気性のよい素材、ストレスフリーな縫製など細部まで気がきいている。
二重織のリネンを使用したジップアップブルゾンは、メンズのアイテム。 昨年に引き続き、今季はより身幅にボリュームを加え、ジップの色を変更して登場。ミニマルなデザインと丸みのあるシルエットは、女性が着ることでより際立つ。
シーエフシーエルのワンピース
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3Dコンピューター・ニッティングによる、立体的なフォルムが持ち味。ストレッチがきいた快適な着心地に加え、洗濯可能で速乾性にも優れ、機能面も追求した洋服を展開。同時に日本のアパレルブランド初となるBコープ認証を取得し、最適な国産素材の選択、サプライチェーンの透明性にも配慮。ブランド名は「Clothing For Contemporary Life」の頭文字をとって名付けられている。
デビュー時から続くPOTTERYシリーズにオフショルダードレスが仲間入り。陶器を想起させるボリュームはそのままに、フィットしたウエストと大きく開いた襟もとがデコルテを美しく強調する。
カナコ サカイのシャツ
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日本の伝統技術に新たな解釈を加え、現代的に再構築したアイテムを中心に展開している。クリーンなカッティングと、ユニークな色や質感の組み合わせを得意とし、静謐で力強い女性像を打ち出している。デザイナーのサカイカナコ氏は、ニューヨークや日本国内のデザイナーズブランドで経験を積んだのちに独立。2022年春夏シーズンよりスタートした気鋭のブランドだ。
シーズンごとに異なる素材やカラーで作られる定番型シャツ。今季は穏やかなブルーの上品な光沢を放つサテン生地を使用し、よりエレガントに。長めの袖や裾と、対照的にスッキリしたボディのコントラストが、シルエットにメリハリを生み出す。
ポステレガントのキャミドレス
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コレクションやシーズンテーマを設けず、国内生産のオリジナル生地にこだわり、製作。時代や場所にとらわれない洋服は、着る人を選ばない汎用性の高さが魅力だ。繊細で上質な素材の表情を引き出し、要素をそぎ落としたミニマルなデザインが特徴的。ワンピースやスカート以外はほぼユニセックスで展開。丁寧に縫製することで、エレガントなムードを作り上げている。
高密度に織り上げた、ドライなタッチのコットンを採用。全体に贅沢に入ったフレアはしなやかな落ち感があり、ショルダーストラップは極限まで細く仕上げてきゃしゃに引き締めて。大人にフィットするマキシ丈。
シオタのデニムパンツ
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岡山に拠点を構える工場と会社が立ち上げたブランド。素材選びからデザイン、縫製、仕上げまで、洋服作りにおけるほとんどの工程を自社で行なっている。長く愛されるデザインを得意とし、素材を生かしたベーシックなコレクションを製作している。看板商品であるデニムをはじめとして、アウターやトップス、小物まで幅広く展開し、ファッションプロからの支持も熱い。
1940年代のハイウエストジーンズがモチーフ。ヒップを強調しすぎないストレート型が、体型を選ばずはきやすい。なめらかで柔らかさに定評があるスビンコットンを用い、旧式力織機でセルビッチデニムに仕上げている。優しい肌ざわりと経年変化を楽しめる名品。
ビューティフル・シューズのサイドゴアブーツ
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2010年に立ち上がった、オーセンティック・シュー&コーを手がけるデザイナー竹ヶ原敏之介氏によるレディースシューズブランド。女性の足をより美しく見せるよう設計されたソリッドなシェイプが目を引く。細身ながら、履き心地のよさも兼ね備える。シーンを選ばず使い勝手のよいレザーシューズをはじめ、サンダルやスニーカーなど多くの型を作っている。
くるぶし丈でカットし、すっきりとした印象に仕上げたミドルカットサイドゴア。グリップ性と耐摩耗性を兼ね備えたヒール、履くほどになじんでいくグッドイヤーウエルト製法など、足を預ければ、見た目以上の機能性を堪能できる。
マメ クロゴウチ ベーシックスのワンピース
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10年間におよぶマメ クロゴウチの歴史から得たノウハウを生かし、「タイムレス」をテーマに取り揃えたベーシックスコレクションは、2021年に誕生。上質な素材を用い、フェミニニティが宿るミニマルなデザインで展開する。シーズンは設けず随時追加されていくため、通年で販売される。クラシカルで優美なディテールはそのままに、黒を基調としたアイテムがラインナップ。
厳選されたシルク素材で、肌の上でとろけるような質感と深みのある黒を実現。くるみボタンや袖のカフス、胸もとで揺れるタッセルなど、ブランドらしいあしらいをちりばめて。
アエタのバッグ
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日本語の「逢えた」に由来する名前の通り、さまざまな国や地域に赴き、現地での一期一会を形にすることをコンセプトにしている。レザーを用いたデイリーバッグからリュック、トート、かごバッグ、さらには小物類まで取り揃える。素材・製法の異なるいくつものラインで、大小さまざまな型を生み出している。手頃な価格帯とアノニマスなデザインは世代を問わず人気だ。
日本製のディアレザーは、肉厚でふっくらとした風合いを楽しめるように表面に加工を施しておらず、ギャザーやタックも入れない特殊な技法で仕上げている。卵のような丸いフォルムのミニバッグは、小ぶりながらも内ポケットつきで気がきいている。柔らかい手ざわりはやみつきに。
パンのブラウス
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何か思いついたとき、手を叩くなど、日常の中の気持ちが動くときの音の響きから名付けられた。少女のような遊び心と、凛とした優雅さを併せ持つ大人の女性のクローゼットがコンセプト。シャツやコートなどの普遍的なアイテムを、 フェミニンに再構築し、やわらかい世界観に落とし込んでいる。ガーリーになりすぎず、大人が着やすい絶妙な甘さを表現している。
1stシーズンから作っている、民族衣装をベースとしたブラウス。日常生活から神道儀礼まで、古くから使われていたヘンプを用いており、どこか神秘的な印象。美しくしっかりとした生地がアーム部分をよりデコラティブに仕上げている。
インテリムのステンカラーコート
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「仮の、暫定的な、臨時の」という意味を持つブランド名で2019年からスタート。世界中から厳選した素材を用い、日本の職人と形にすることをモットーに、普遍的で長く着られる洋服を提案している。どこか懐かしいヴィンテージライクな質感も。デザイナーは非公開だが、アイテムそれぞれの製作背景やストーリー、込めた想いを綴っているSNS公式アカウントも必見。
ヴィンテージのシングルラグランコートをベースにした仕立て。芯までしっかりと染め上げられた毛羽の少ない生地が、体のラインにほどよく沿ってストンと落ちる。贅沢なドレープが優美。
ヨー ビオトープのランジェリー
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ビオトープのランジェリーラインという位置づけで2021年春夏シーズンにデビュー。その後、インナーアイテム、アパレルから小物まで、展開するジャンルを増やし続けている。着心地のよさとファッション性を兼ね備えたアイテムが特徴。価格やカラーバリエーション、手入れのしやすさなどのリアルな使い心地にも目を向けた製品は、ファッション好きからもラブコールが絶えない。
ベーシックでしゃれ感もある、ブランドの代名詞ともいえるランジェリー。マットな質感のスポーティなブラは、スクエアラインのカッティングで背中の見え方が美しい。ウエストに細身のゴムを使用したショーツは、ストレスフリーな着用感。
エントワフェインのハット
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2022年春夏シーズンよりハットブランド「Shinonagumo」から派生したプレタポルテライン。ベーシックなハットにレースなどのドレッシーな要素をプラスし、日常の装いを格上げしてくれる。象徴的なレザーのコードは取りはずしできる。
波をイメージしたレース模様の陰影が美しいバケットハット。高級感のあるオーガンジー生地を採用しており、涼しげな印象を与える。折り畳めるのでデイリーにも使える。
コールムーンのカフ
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デザイナーの桑畑ちひろ氏は、4年間金工を学んだあと、2017年にコールムーンをスタートした。銀細工の伝統技法とコンテンポラリーな作風を融合させたデザインが魅力。うねるような独特のフォルムは体の曲線や人間の動きから着想を得ている。
ブラジルの建築家オスカー・ニーマイヤーのモダニズム建築に影響を受けた有機的なカーブを描いたカフ。ボリュームを保ちつつも手の動きにフィットするようにデザインされている。
アイヴァンのメガネ
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1972年、日本初のファッションアイウェアブランドとして誕生。LAで人気に火がつき世界的に有名になるも、2003年に一時休止。2018年に再スタートを切った。確かな伝統に裏打ちされた技術に、世代や国籍を超えてファンが多い。
逆台形のボストンウェリントン型は、ブランドを代表するモデル。クラシックカーからインスパイアされた柄を表裏に彫り込んだオリジナル芯を採用。顔の形を選ばず似合う万能な一本だ。
フェティコのトップス
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透け感や光沢のある素材を用い、女性の体を美しく引き立てる服が多い。センシュアルな世界観はファッション業界からの人気も高い。日本国内の繊維産地や職人と手を組み、丁寧に生産されている。縫製のクオリティの高さも強みとなっている。
ソフィ・カルの写真集『THE HOTEL』より、壁紙や家具の柄を生地に落とし込んだ。胸もとのカッティングや繊細なレースがブランドの女性像を想起させる。
サボラミのジャケット
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結婚式のプロデュースからドレス販売までを手がける。サボラミのウェディングドレスは、式が終わったあと黒く染め直したり丈を短くして、リメイクすることが可能。感動の記憶をとどめた一着を、その先の人生の節目でも着られるように。
ラウンドネックのケープジャケット。大胆に背中が開いたデザインや脇や袖の深めのスリットが特徴。インナーで色を差してレイヤードも楽しめる。漂白していないシルクが、肌なじみのよい色合いに。
カチムのメリージェーン
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日本人の足を年代別に分析・解析し、データをもとに完全オリジナルの木型を作製。型紙は、動きに伴う形状変化による負担まで配慮して作る。細部まで足のことを考え、熟練した職人の手仕事によって作り上げているフットウェアブランド。
甲部分をくり抜いたアッパーをリボンで留める変形メリージェーン。型押ししたカウレザーの質感にときめく。シューレースはグログランリボンとレザーコードタイプの2種類が付属。何シーズンも続く人気の定番型。