登山用品店が軒を連ねる「山の街」としても知られる神保町。アウトドアとファッションを愛する4人が快適でおしゃれな山支度を整えるべく個性豊かなお店へ突撃。気になるウェアやギアを実際に試してみた。

【神保町】アウトドアショップの聖地で、本のタイトルイメージ

【神保町】アウトドアショップの聖地で、本気のお買い物! モードな山歩きグッズを探しに

登山用品店が軒を連ねる「山の街」としても知られる神保町。アウトドアとファッションを愛する4人が快適でおしゃれな山支度を整えるべく個性豊かなお店へ突撃。気になるウェアやギアを実際に試してみた。

都内近郊の日帰り登山へ 初・中級者編

森宗えりこさん 三井千晶さん

15年来の仕事仲間が山フレンドに

スタイリストアシスタント時代から親交があった森宗&三井ペア。幼い頃から自然に親しんできた三井さんが、登山未経験だった森宗さんを5年前に誘ってから、定期的に山へ行くように。都内近郊の低山からスタートし、経験値を上げている。体を動かすことが好きだった森宗さんはすっかりハマり情報収集に余念がない。そんな二人のこだわりは?

「街では全身黒い服装でいることが多いのですが、山に行くときは気分を変えて色のあるウェアを楽しんでいます。着るものはジャストサイズを選び、アイテムやギアは可能な限りライトウェイトなものにしています」(森宗)。

「お店でプロの意見をよく聞き、安全面や機能性を考慮した上で、自分らしいデザインやトレンドをTPOに合わせて可能な範囲で取り入れています。山での装いと普段の服装の感覚は、あまり変わらないかもしれません」(三井)。

そんな真逆なコンビによるアウトドアショップ巡りの道中をレポート!

石井スポーツ 登山本店

石井スポーツ 登山本店

計測とフィッティングの専門家が常駐するシューズコーナー。「ずっと気になっていた『LA SPORTIVA』を履いてみました」(森宗)。「大好きな『SALOMON』の別のモデルを試し履き」(三井)

アウトドアショップの総本山へ

ウェアからシューズ、テントやギアまで充実の品揃えを誇る登山用品専門店。専門書やガイドブックを取り揃える書籍コーナーも充実している。名だたる大手メーカーの逸品はもちろんのこと、ブレイクしたてのインディペンデント系アウトドアブランドも並び、購買意欲を刺激する見ごたえのあるフロア構成。

モードな山歩きグッズ

1 三井さん愛用の「SEA TO SUMMIT」の超軽量タオル(¥2,860) 
2 イギリスで急成長中のアウトドアブランド「Rab」のジャケット(¥15,400)も発見 
3 足の計測は長さ以外に幅や高さも測る 
4 「body glide」の靴擦れ防止バーム(¥1,760)は植物由来の優しい処方

石井スポーツ 登山本店

●東京都千代田区神田神保町1の6の1 タキイ東京ビル2F
☎03−3295−0622
◯営10時〜20時30分 無休

グラビティ 神田

グラビティ 神田

「『Goldwin』のパンツはどれもデザインが凝っている。シルエットにもたくさんの選択肢があるのでこだわりを感じます」(森宗)

山から街まで網羅する複合店

ひときわ洗練されたムードが漂う「THE NORTH FACE」と「Goldwin」の複合店「グラビティ 神田」。スキーを原点とした高機能ウェアをはじめ、スポーツからライフスタイルまで多彩なシーンに対応する快適で利便性の高いプロダクトを展開。

グラビティ 神田

1 「icebreaker」のトップス(¥18,150)はネイチャーダイの季節限定色が毎年出るので二人とも楽しみにしているアイテム 
2 「『icebreaker』のメリノウール製トップス(¥16,500)は通気性がよく、夏でも冬でも山で着ています」(森宗) 
3 「『SUNSKI』のピンクのレンズのサングラス(¥14,300)は着こなしのハズシに使えそう」(三井) 

グラビティ 神田

●東京都千代田区神田小川町3の6 大栄堂ビル 1・2F
☎03-3291-0770
◯営11時〜19時 不定休

ムーンライトギア 東京店

ムーンライトギア 東京店

山㟢店長がウルトラライトの考えに準じたウェア選びを指南。グラム単位で調整していく。服はかさばるため、防臭速乾の素材を活用し着替えは少量に。

ウルトラライトの開祖的ショップ

登山やアウトドアの装備を軽量化することで、より身軽に活動する"ウルトラライト"の概念を2010年から提案してきた名店。マニアックなブランドを発見し、森宗&三井ペアも大興奮。軽量の基本となるザックやウェアだけでなく、気の利いた小物もラインナップ。

ムーンライトギア 東京店

1 耐水性に優れ、丈夫で軽いスタッフバッグは色やサイズが充実している
2 軽量化のためザックはバックパネルなし
3 「CNOC Vesica」のボトル(¥4,070)は高い耐久性ながらわずか60g 

ムーンライトギア 東京店

1 「HYPERLITE MOUNTAIN GEAR」の風に負けない切り込みがある日傘(¥12,100)
2 トレランで活躍する「Pa’lante」の揺れ防止ハーネスつきサコッシュ(¥12,100)。「タグまで可愛い!」(三井)
3 袋麺用の「EVERNEW」のカップは極薄チタン製(¥2,420)
4 「SUNSHINE JUICE」の免疫を高めるウコンやスギナの粉末(¥350)

ムーンライトギア 東京店

●東京都千代田区岩本町2の8の10
☎03−6884−8143
◯営12時〜20時、12時〜18時(日) ㊡月〜水曜

AirFly Tokyo

AirFly Tokyo

店内に並ぶサングラスは数十種類。店頭ではレンズの交換も相談できる

日本発スポーツサングラスの最高峰

福井県鯖江市で誕生したスポーツアイウェアブランド「AirFly」。多くのスポーツ競技者に支持される秘密は、独自のノーズパッドレス設計。「目を紫外線から守るため愛用中。頰骨でホールドするので激しく動いてもずれにくく、メイクアップにも影響がないので快適です」(森宗)

AirFly Tokyo

1 ノーズパッドレス仕様で、街でも使いやすいデザインの新作も登場
2 フレームがないブルーピンクミラーのレンズが美しいサングラス(¥26,400)

AirFly Tokyo

●東京都千代田区神田神保町2の4 1F
☎03−6261−0344
◯営12時〜19時、10時〜18時(土・日・祝) 無休

これがMYモードな山支度だ!

三井Select

三井Select

サングラス¥11,550(SUNSKI)・ヘッドライト¥10,230(Black Diamond)・パンツ¥14,300(THE NORTH FACE)/グラビティ 神田 シェル¥31,900・キャップ¥4,950(ともにRab)・グローブ¥4,950(AXESQUIN)・靴¥35,200(SALOMON)/石井スポーツ 登山本店 フーディ¥20,900(OMM)・キルト寝袋¥45,100(Mountain Laurel Designs)・空き缶クッカー¥9,350(Batchstovez)・シートつきザック(30L)¥60,500(Zpacks)/ムーンライトギア 東京店

寒色とグレーを駆使し遊びのあるレイヤリングを楽しむ

「差し色を取り入れた登山スタイルが好き。シェルとパンツ、キャップはグレー系でまとめ、フーディのレモンイエローを引き立たせました。中綿キルトの寝袋は腰に巻いたり、肌寒い休憩時はポンチョ風に着たり、いろいろな着方で楽しみたい。目もとは白いレクタングルフレームのサングラスで、ヒップなムードをプラスしました」(三井)。

森宗Select

森宗Select

サングラス¥22,000/エアフライ東京(AirFly) ウインドシェルジャケット¥12,100(Patagonia)・シェルジャケット¥68,200(Haglöfs)・パンツ¥25,300(ARC’TERYX)・グローブ¥4,950(AXESQUIN)・「スカイテラFXカーボン110」ポール¥29,920(LEKI)・靴¥25,300(LA SPORTIVA)/石井スポーツ 登山本店 中に着たロングTシャツ¥16,500/グラビティ 神田(icebreaker) ザック(32L)¥44,000(Pa’lante)/ムーンライトギア 東京店

オレンジとホワイトをきかせたスリムフィットスタイル

「こだわりは、サングラスとグローブ、ポールなどの小物を白系で統一したこと。ジャケットはベージュ、中に着たベースレイヤーは深いオレンジ、ウインドシェルは蛍光オレンジというように、三井さんと反対で暖色多めです(笑)。ウェアは見た目と動きやすさを考慮した、すっきりしたシルエットが好き。どのアイテムも、ジャストサイズで選んでいます。パンツはレギュラーフィットや細すぎないスリムフィットが気に入っています」(森宗)。

キャンプや野営もこなす 上級者編

根本絵梨子さん 道木マヤさん

海外でのロングトレイルも経験ずみ

友達の紹介で知り合い、数日後にはアイススケートをしに行って仲よくなった生粋のアウトドア派、根本&道木ペア。旅の風景や山岳関連の撮影をする写真家の根本さんが、幼い頃から外遊びをしてきたモデルの道木さんを誘い、登山や旅をともにするように。昨年は念願の海外遠征も敢行。アイスランドとノルウェーのロングトレイルを約1カ月かけて歩いたとか。

「北欧の旅は忘れられないですね。根本さんは道中に出会う人たちと仲よくなるのがとても上手なんです」(道木)。

「ともに旅することで、帰ってきてからも現地での反省や持参すべきだったアイテムを確認し合えるのがいいですね。お互いに成長してもっと旅上手になれたら」(根本)。

普段の山支度は、軽さとデザインを重視する道木さんと、少しいなたいムードや色使いを好む根本さんで異なる。山へ行く回数も多いからこそ、長く使える耐久性も重要なポイント。今回は専門店だからこそできる、普段のスタイルとはひと味違うコーディネートを考えたいという二人。果たして結果は?

ゼインアーツ 神保町

ゼインアーツ 神保町

次の旅に向け寝袋をチェック

質実剛健、安心価格の信頼感

キャンプギアクリエイター界のカリスマ、小杉敬さんがデザインする「ZANE ARTS」。抑えた色みと無駄のない設計が人気の理由だ。「テントが有名だと思っていたけれど寝袋もすごい。クモ(雲)という名前もいい! とても小さくなるのにふかふか。想像より低価格でびっくり」(道木)

ゼインアーツ 神保町

1 「テントのディテールに優しさを感じる。空気穴(ベンチレーション)のデザインが素敵」(根本) 
2 ロープの配色にも美意識が
3 折りたたみ式フォークもミニマルなデザイン
4 発売前のアパレルラインを試着。「ユニセックスならではの身幅の広さとワイドなラインが好み」(道木)。「パンツはアウトドアブランドでは珍しいストレートシルエットがうれしい」(根本)
5 高い保冷&保温能力なのに、最軽量クラスのステンレスで195g(!)の真空ボトル(¥2,970)は日常使いにも

ゼインアーツ 神保町

●東京都千代田区神田神保町1の8の1 神保町HYビル2F
☎0263−87−2954
◯営13時〜19時 ㊡火〜木曜

クレッタルムーセン 東京

クレッタルムーセン 東京

見たかったシェルやウェアを試着中。グレーがかった白などニュアンスカラーが充実している

北欧発、スタイリッシュで環境に優しい

根本さんのリクエストで、スウェーデン生まれのアウトドアブランド、「クレッタルムーセン」のオンリーショップへ。ブランド名は山ネズミという意味で、ロゴはネズミの横顔がモチーフ。北欧らしい凛としたデザインと優しい配色のアイテムに、すぐさま試着タイムがスタート。

クレッタルムーセン 東京

気になるザックは試着して、背面の肌あたりを検証。「クラシックなデザインでかっこいい」(根本)

クレッタルムーセン 東京

1 「スカーフ(¥7,700)はループつきで、結ばなくても長さを調整しやすそう」(根本)
2 浅いかぶりで広い視野が確保できるキャップ(¥9,900)も試着「パネルの配色がおしゃれで気分が上がります」(道木)
3 気になるザックは試着して、背面の肌あたりを検証。「クラシックなデザインでかっこいい」(根本)

クレッタルムーセン 東京

●東京都千代田区神田神保町2の20の17
☎03−6380−9200
◯営12時〜18時 ㊡火・水曜 

さかいやスポーツ

さかいやスポーツ

学びに訪れたい頼れる名店

神保町に店を構えて70年の登山アウトドア専門店。町内にウェア館、ギア館、シューズ館が揃うが、中でもシューズ館(写真)は圧巻の品数で人気。二人で北欧旅へ行く前にも4時間ほど滞在してシューズ選びをした。夏に向けてサンダルとグッドルッキングなシューズにトライ。

さかいやスポーツ

1 発見するなり背負っていたひと目惚れの「GRANITE GEAR」のザック(¥36,300)。「背中とバックパネルとの相性もよさそう。長時間歩く上では大事なポイント」(道木) 
2 根本さんは大のシェラカップ好き。「家に大量にあるけど、つい欲しくなる(笑)。『ベルモント』のこれは中に目盛りつき。(¥2,530)」 
3 カナダ発のフットウェアブランド「norda」。世界一軽いトレランシューズ(¥42,900)が世界で大ヒット中
4 靴選びと一緒にすませたい靴と好相性なソックス探し。「『drymax』のソックス(¥6,050)はウルトラマラソン走者にも愛用者が多いとか。水ぶくれやマメを防ぐ摩擦が少ないタイプをゲット」(道木) 
5 寝袋も複数所有する根本さん。今回も気になるものがちらほら。「たくさん持っているのですが、店員さんに新作の開発秘話をお伺いしているうちに追加で欲しくなってしまうことも」

さかいやスポーツ

●東京都千代田区神田神保町2の30 昭和ビル1F
☎03−3262−0583
◯営11時〜20時 無休

これがMYモードな山支度だ!

道木Select

道木Select

キャップ¥9,900・スカーフ¥7,700・Tシャツ¥17,600・パンツ ¥38,500/クレッタルムーセン 東京(クレッタルムーセン) ソックス¥6,050(drymax)・ヘッドライト¥5,830(Petzl)・ポール¥28,930(Black Diamond)・ザック(40L)¥36,300(GRANITE GEAR)・ボトル(1L)¥2,860(nalgene)・靴¥42,900(norda)/さかいやスポーツ 本店 ステンレスボトル(0.5L)¥2,970・レインジャケット¥19,800・携帯用フォーク¥880/ゼインアーツ 神保町(ZANEARTS)

ボーイッシュながら洗練されたグッドバランス

「アクセサリー使いと差し色を意識しました! ウェアは色みを抑えつつ、小物で自分が好きなパープルや水色をプラスして完成したスタイリングです。マルチカラーのキャップとザックがポイント。よく山でスカーフを頭に巻くのですが、『クレッタルムーセン』に山用のスカーフがあって感激。速乾性に優れたテンセル製で、汗も気にせず使えます」(道木)。

根本Select

根本Select

ジャケット¥79,200・ショーツ¥27,500・ザック(40L)¥77,000/クレッタルムーセン 東京(クレッタルムーセン) レインパンツ¥12,800・PPロープ(10m)¥660・「ヤール1」テント¥37,800・「クモ450」寝袋¥29,980/ゼインアーツ 神保町(ZANEARTS) サンダル¥12,980(ルナサンダル)・カップ(上)¥2,420(エバニュー)・カップ(下)¥2,530(ベルモント)・日傘¥6,380(mont-bell)・靴¥25,300(ALTRA)/さかいやスポーツ 本店

プロダクトデザインの際立つ無彩色コーディネート

「普段は色のあるアイテムを取り入れた、ノスタルジックな装いで山へ行くのが好き。ですが今回は、色を抑えたテックモード系に挑戦。無彩色でまとめました。ザックだけはデザインが気に入ったクラシックなアイテムを選んでいます」(根本)。

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