国内外のファッションプロが実際に見て、愛用していると噂のブランドを調査。独自のものづくりを掲げ、グローバルな視点を感じさせる逸品をピックアップした

世界が恋する【東京ブランド】。推されるブのタイトルイメージ

世界が恋する【東京ブランド】。推されるブランドには、理由がある!

国内外のファッションプロが実際に見て、愛用していると噂のブランドを調査。独自のものづくりを掲げ、グローバルな視点を感じさせる逸品をピックアップした

ssstein(シュタイン)

ssstein(シュタイン)

ジャケット¥107,800・ニットベスト¥74,800・シャツ¥35,200・パンツ¥52,800/エンケル(シュタイン)

俳優ウィル・シャープが新作映画のプレミアでトータルルックを着用するなど、海外での知名度が上昇中のシュタイン。今季は繊細なグレーの色みをさまざまな素材で表現した。オーバーサイズジャケットはレザーの細いインナーベルトを両脇のホールから出して、外側からウエストマークすることもできる。細い糸で織った極薄のサマーウールは、インにニットを重ねたりとレイヤリングを楽しめるのもうれしい。

乗松美奈子さん
ファッションジャーナリスト

「6月には2026SSコレクションでパリで2度目のショーを開き、展示会も4回目。毎回デザイナーの浅川喜一朗さんから直接話を聞いています。もともとメンズのみの展開でしたが、女性のファンが増えたので小さいサイズも作り、ユニセックスブランドとなったそう。既存品に納得できないときはオリジナルで開発することもあるという、彼の生地への知識と情熱に圧倒されます。さらに、ヴィンテージの解体やジーンズの作り替えなど、独学で習得したというテーラリング技術も素晴らしい。一見シンプルなコートやジャケットにも、よく見ると絶妙な工夫が。たとえばインナーのロングベストと外側のコートが裾でつながった”ドッキング”アウター。遊び心がありながら、シックな仕上がりです」

AURALEE(オーラリー)

AURALEE(オーラリー)

カーディガン¥44,000・プルオーバー¥44,000・Tシャツ¥24,200・パンツ¥63,800・ブーツ¥132,000/オーラリー

デザイナーの友人が着想源となった秋冬。その人が昔から長く着続けているアイテムが醸す存在感から、服がその人の個性や歴史を紡ぐことに感銘を受けたそう。アルパカの糸を用いた上質なニットは、シグネチャーともいえるアイテム。ノスタルジックなシャーベットカラーを重ねて、ブランドが得意とする繊細な色の美しさを堪能したい。サラさんは端正なラインのパンツも絶賛。着ていると「どこの?」と聞かれることも多いのだとか。

サラ・ド・マヴァレさん
スタイリスト

「パリのPRがオーラリーのショーに私を招待してくれたのが、ブランドを知ったきっかけです。メンズとウィメンズ合同のショーはほかとは違うとてもリラックスした雰囲気で、すぐに自分も着てみたくなりました。私は素材や仕上げへのこだわりが強いタイプなのですが、実際に見て手に取り、その丁寧なものづくりに驚きました。レイヤリングの可能性が無限大で、男女で共有できるという点も、私のスタイリングへのアプローチと似ていると思います。デザイナーの岩井良太さんのクリエーションは生地が出発点と聞いていますが、そこから発する感情を見て取れます。彼ら特有の定番色も、シーズンごとの新しい色調も、独特ですね」

cobble du(コブルドゥ)

cobble du(コブルドゥ)

ジャケット¥99,000・スカート¥69,300・靴(参考商品)・(右耳)イヤカフ¥24,200/コブルドゥ ストッキング/スタイリスト私物

デザイナーの森りこが手がけている異色のファッションブランドが海外でも注目の的。今季は「抑圧」をテーマに、ボンデージやモヒカンのディテールなどを組み合わせた。マーメイドシルエットのタイトスカートは上質なウール生地にストリングスを巻きつけたようなデザイン。縛り方でサイズ調整できるところもユニーク。

栗山愛以さん
ライター

「2024-’25年秋冬シーズンからスタートしたコブルドゥ。パリ・ファッションウィークに足を運んでいて思うのは、昨今、ほかにはない発想やスタイル、こだわりがないと世界の舞台では存在感を出せないということ。一方で、ひとりよがりになるのではなく、時代の空気を読み取ってクリエーションに生かすことも必要。このブランドはダークなムードが持ち味ですが、デザイナー森りこさんの個人的な関心をテーマに、ウェアラブルなデザインに落とし込んでいるんです。個人的に好みだったのは今季のトレンドでもあるパワーショルダーのジャケット。ファーのあしらい方でインパクトを出しているので、今のムードにも合っていると思います」

世界が恋する【東京ブランド】。推されるブの画像_4

SHINYAKOZUKA(シンヤコヅカ)

SHINYAKOZUKA(シンヤコヅカ)

コート¥129,800・ジャケット¥92,400・デニムパンツ¥39,600・スニーカー¥19,800/THE WALL SHOWROOM(シンヤコヅカ)

今季はデザイナー小塚信哉が10年を超えるキャリアでたびたび表現した「鳥」と「額縁」にフォーカス。飛べない鳥=ペンギンに想いを寄せる物語が背景にある。ワークやミリタリーの要素に、アーティな要素を掛け合わせている。ウルトラバギーのシルエットのデニムは、たっぷりと生地を使ったボリュームが魅力的。ジャケットをシャツのように羽織りコートを重ねて、モダンなムードを醸す。

澤畠雄弥さん
「Anonymousism」スタッフ

「私が勤めるショップにはアート関係者やスタイリストがよく訪れるのですが、『シンヤコヅカはどういうブランドなの?』と聞かれることが多いです。店頭で私が着ていると、シルエットや色使いを褒められることも。海外で生活していると、周囲の日本ブランドへの信頼が厚いと感じます。ヨーロッパのメゾンブランドとは異なる美意識をもつ存在として受け止められ、クラフツマンシップに強いこだわりがある点も評価が高い。シンヤコヅカはパターンが美しいパンツが特に人気。ワイドシルエットでありながらルーズすぎないバランスが絶妙です。シンプルなトップスを格上げし、カリフォルニアのスタイルともマッチします」