人の数だけ「いい!」と思うアイテムがある。スタイリストやエディターなどファッションプロが個人的な感情全開で語った、十人十色のコメントに耳を傾けて

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「とにかく欲しい!」ファッションプロの指名買いアイテム10選【2025年秋冬】

人の数だけ「いい!」と思うアイテムがある。スタイリストやエディターなどファッションプロが個人的な感情全開で語った、十人十色のコメントに耳を傾けて

セリーヌのデニムジャケット

セリーヌのデニムジャケット

ジャケット(メンズ)¥198,000(予定価格)/セリーヌ ジャパン(セリーヌ)

「セリーヌのメンズがとにかく欲しい!」

スタイリスト 飯島朋子さん

「実は、私のワードローブはほとんどがメンズアイテムなんです。マイケル・ライダーが手がけたセリーヌのデビューコレクションは、本当に着たいと思う服が多かった! ポロ ラルフ ローレンで経験を積んだ彼らしいアメリカン・カジュアルのミックススタイルを、デザイナーチームが手がけたウィンターラインのデニムジャケットでひと足早く楽しみたいです。一枚で着ても絵になるシルエットと、開襟デザインが素敵。私はあえてジャケットやコートのインナーにしたいと着こなしの妄想を膨らませています。懐かしさのあるきれいな装いに仕上げるのが気分です」。

アライアのニットセットアップ

アライアのニットセットアップ

トップス¥471,900・スカート¥255,200/リシュモン ジャパン アライア(アライア)

「これぞ、ボディ礼賛服」

エディター 中馬あかねさん

「"あなたの身体はあなた自身のもの"。デザイナー、ピーター・ミュリエからのシンプルで力強いメッセージを胸に、ボディ礼賛なおしゃれを楽しみたい! マーク・マンダースの彫刻に着想を得た新作のセットアップは、繊細かつ構築的なフォルムから誰も真似のできないエレガンスが漂います。女性のボディラインを知り尽くした唯一無二のシルエットは、見た目よりずっとフレキシブルで、着用すると抱きしめられている感覚に。アライアのニットウェアは、私にとっての究極のタイムレスです」。立体的なラッフルショルダーは、女性の普遍的なタフネスを象徴。

ジバンシィのテーラードジャケット

ジバンシィのテーラードジャケット

ジャケット¥660,000/ジバンシィ ジャパン(ジバンシィ by サラ・バートン)

「美シルエットとは、このことか」

スタイリスト 矢内麻友さん

「サラ・バートンによる新生ジバンシィを見たとき、あまりの美しさに感動! ブラックジャケットなのにやけに華やかなのは、そぎ落とされたテーラリングに理由があると思います。サイドにはカッティングがあしらわれ、パンクの精神を感じるハズシも絶妙。スタイリングで盛り上げなくとも、服そのものに圧倒的な強さがあるんです。わかりやすい装飾を加えることなく鮮やかな存在感を放つ姿に、素直に『あぁ素敵』と感じました」。素材にはグレインドプードル製のウールを採用。マスキュリンなテーラードスーツに、絞られたウエストがフェミニンなエッセンスを加える。

ジェイエムウエストンのゴルフ

ジェイエムウエストンのゴルフ

靴¥176,000/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン)

「揺るぎないワードローブの重鎮」

エディター 菅野麻子さん

「姉からサイズが合わないからと、ジェイエムウエストンのウィングチップシューズを譲り受けたのが数十年前。当時はヒール一辺倒だったので、寝かしてしまいました。時代と心境の変化を経て取り出したら、積年の眠りから覚めてもなお造形は美しく、履きやすい! 老舗シューズメゾンの底力と、物作りへのプライドを感じました。時を経ても揺るがないクラシックアイテムは、自分の気分やファッションの変化を見守る羅針盤であり、変わりゆくトレンドの波の中で錨になります。だからこそ永遠の定番は、ワードローブの重鎮として必要なんだと再認識。2足目はほかのモデルを狙っていて、〝ゴルフ"のキルトタンがあしらわれたデザインが欲しいです」。

リトコフスカのデザインカットソー

リトコフスカのデザインカットソー

トップス¥81,400/ミラベラ(リトコフスカ)

「意思ある服を広めたい」

SPURSHOPバイヤー 永嶋真理さん

「約3年前、オランダ在住の日本セールス担当・奥山真実子さんに教えてもらったのがリトコフスカとの出合い。困難な状況でも創造をやめない姿勢と、常にファッションを楽しもうとする思いが心に響きました。こういうブランドこそ、日本でもっと広まってほしい! SPURSHOPが入っているECサイト『ミラベラ』での取り扱いが今季から始まり、長年の応援が実った気分。注目はカットソーとシャツを組み合わせたトップス。襟ぐりが2カ所あり、首の通し方で印象が変わるユニークな一枚です」。2009年に設立されたウクライナ発のブランド。戦禍の続くキーウに生産拠点を置き、前向きなメッセージを発信する。

ヘルノのエコファーブルゾン

ヘルノのエコファーブルゾン

ブルゾン¥169,400/ヘルノ・ジャパン(ヘルノ)

「正直、脱ぎたくないです」

SPUR編集部 衣笠

「ライフスタイルブランドとして拡張を続けるヘルノ。ダウンアウターへの信頼は絶大ですが、数年前から登場しているカーリーエコファーのブルゾンが私的にはイチ押しで、ぜひ皆さんに試着してみてほしい! ぬいぐるみのようなクリクリした素材がとっても気持ちよく、見た目以上に軽やかで、ふわっと包まれる感覚が最高です。一度羽織ってみると『もう脱ぎたくない……』と思うはず。価格高騰が続くアウター界の中ではかなり良心的なプライスというのも、大声で伝えたいポイントです!」。首もとにレザーベルトを飾った新作が登場。柔らかな質感にクールな味つけを加え、装いの幅を広げる。

タムのハイウエストパンツ

タムのハイウエストパンツ

パンツ¥97,900/サカス ピーアール(タム)

「タムを知ってほしいんだ!」

スタイリスト 小川夢乃さん

「私にとって買い物は推し活。流行ではなく、運命を感じたときに購入します。最近では、タムの2025-’26年秋冬コレクションがあまりにも素晴らしくて! スタイリング、ヘアメイク、モデル選びまで見事に抜けがなかった。デザイナーの玉田達也さんのセンスのよさと、いいチームで製作している雰囲気が表れていました。近くで服を見たいと展示会にも伺い、このパンツを購入。メンズアイテムが多い中、これなら自分でも、再構築されたウエストコート部分をアレンジして着られる。最近は資産価値や転売価格ばかりが語られがちですが、やっぱり感情が動く買い物こそ豊か。そして若手のデザイナーさんの服を広く届けるのもスタイリストの仕事。タムは『みんな、こんないい服があるよ!』と伝えたくなるブランドです」。

バウトのビッグシャツ

バウトのビッグシャツ

シャツ¥48,400/BOWTE

「どこをとっても完璧。素材、色、形!」

エディター 小倉倫乃さん

「普段からメンズアイテムを愛用しているのですが、シャツだけは選ぶのが難しいんですよね。バウトのシャツは、マニッシュな襟や袖の仕立てが好み。着てみると、軽くてしなやかなのに端正に見える優れもので、ガウンのように羽織れるのもうれしい。マニッシュなのにピンクというギャップもツボ。デザイナーの靱江千草さんと話す機会があり、細部にまでこだわった物作りに感銘を受けたのもこのシャツが好きな理由です」。シャツ生地の老舗トーマス メイソンの細番手ブロードを表地に採用。両サイドの深いスリットと、裾にかけてすぼまるテールラインによって、パンツインしやすく、アウトでも決まる。

プラダのバケットバッグ

プラダのバケットバッグ

バッグ「プラダ プチ サック ノワール」〈H19×W15×D6〉¥341,000(予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ)

「出合いました、理想のバッグに」

スタイリスト 中澤咲希さん

「軽く丈夫なうえに、深みのあるブラックが端正なRe-Nylonが大好き。今季は、愛嬌がある巾着シェイプに、メタルアクセサリーを飾ったミニバッグにひと目惚れしました。チェーンはゴールドトーン、球体モチーフはシルバートーン、というダブルカラーは、合わせるジュエリーを選びません。ニットにペンシルスカート、そしてヒールというスタイルが長年変わらないミウッチャ・プラダを敬愛しており、このバッグからも流行とは一線を画した普遍性を感じます」。レザーハンドルが質感のコントラストを加え、奥行きのある表情に。

メゾン マルジェラのドレス

メゾン マルジェラのドレス

ドレス¥1,267,200/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(メゾン マルジェラ)

「手のかかる子ほど可愛い」

スタイリスト 権藤千絵さん

「壊れたものを修繕したり、リメイクして長く使うことが好き。このドレスはまさしくそんな"手をかけるほどに深まる愛着"を表現しているような洋服だと思います。シャツ、パンツ、シルクドレスをドッキングしたブランドのDNAがぎゅっと詰まった仕立てなのですが、使用されている3ピースの中で自分が普段よく着るものといえば開襟シャツくらい。それでもテーラードパンツも好きだし、ドレスにも憧れている。組み合わさることで着慣れないアイテムにチャレンジしたいと思わせてくれる、物語性あふれる一着です」。今季のテーマ"English Heritage"を体現する。

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