寒い季節は、着心地や暖かさを重視しながらも、一辺倒にならない着こなしを目指したい。シンプルなベーシックカラーからアクセントに最適なビビッドカラーまで、注目の7色を使ったオフランウェイのスナップを厳選。アウターや小物など、冬らしいアイテムを楽しみながら、どのように色を差すべきか、スタイリストの山﨑静香さんが詳しく解説する。
2021年に独立し、現在は雑誌やweb媒体、広告のスタイリングを担当。2022年冬から「ヤエ」のディレクターとしても活躍している。普段から個性的な柄ドレスを取り入れたり、全身黒スタイルに鮮やかな色を一点投入したりと、リアルに参考になるカラーコーディネートを自身のInstagramにて発信中。
確かな品格を感じさせながら、黒よりもカジュアルなムードでまとえる「ネイビー」。コートやジャケットなど、スタイリングの要となるアイテムを選ぶファッションラバーが大勢を占めた。
いつだって頼りになる濃紺ジャケット
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デニムのハーフパンツにはオーバーサイズのジャケットを合わせ、カジュアルな印象を軽減。「深いネイビーと鮮やかなインディゴブルーが絶妙なグラデーションに。トップスの下からちらりとレースのインナーをのぞかせて、ダークカラー中心の着こなしに程よい抜け感を与えています(スタイリスト山﨑静香さん、以下同様)」
端正な色合わせなら変化球アイテムも難なく攻略
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ネイビーのベルテッドコートを主役に、全身を同色や黒でまとめたミニマルスタイル。「シックなカラーリングで上品なムードは保ちながら、シルエットにひねりを加えて。ベルトを締める位置を極端に低く設定していたり、一見レギンスのように見える、どこか懐かしいスリムパンツを合わせていたりと、少しチグハグなバランスが新鮮です」
インパクト満点なマキシ丈コートに包まれて

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寒空の下で映える、明るめネイビーのチェック柄コートを主役にしたコーディネート。「ウール素材で仕立てたコートは、カラーやシルエット次第ではコンサバな印象になりがち。縦長のラインを強調するマキシ丈を選び、小物もブラックに統一することで、モダンな雰囲気に。抜群の存在感があり、1着あればスタイリングが完結する、頼りがいのあるアイテムです」
わずかなトーンや風合いの違いによって、スタイルの印象を変える「ホワイト」。凛としたクリーンな装いから、フェミニンな着こなしまで、さまざまなコーディネートにマッチする。
冬小物を際立たせるホワイトルック
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洋服や小脇に抱えたバッグは白で揃え、この時期ならではの防寒アイテムを差し色として投入。「淡いグレーのバラクラバがポイント。ニュートラルカラーを加えることで、パキッとした白一色よりも不思議と柔らかいニュアンスが生まれます。この場合、レザーのグローブとシューズは、強さのある黒ではなく、センシュアルなボルドーを合わせれば、より洗練された印象に」
無垢な白はガーリー気分にもフィット
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優美なグラフィックをプリントしたニットや刺しゅう入りスカートなど、装飾的なアイテム同士も同系色なら組み合わせやすい。「首にひと巻きした細長いストールは、リラックス感のあるシルエットをすっきりと見せる効果が。わずかに色みが異なるタイツとソックスのレイヤードが、足もとに可愛らしさと暖かさをもたらしています」
視覚を刺激する白と黒のコントラスト
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ノルウェー在住のファッションジャーナリスト、セリーヌ・アーガードは、対極的な配色が目を引くモノトーンルックを披露。「顔まわりが明るく見えるホワイトのタートルネックニットは、防寒にもぴったり。膝下丈のスカートやロングブーツなど、重厚感のある黒を取り入れて、下重心を意識したバランスがトレンド感満載です」
暖かみのある「ブラウン」は、この冬も引き続き注目したいトレンドカラーのひとつ。今季は特に、独特の風合いが魅力のスエードを掛け合わせたウェアやアクセサリーが豊作だ。
ブラウン×スエードのマリアージュを堪能
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今年の秋冬トレンドに浮上したチョコレートブラウンとスエード素材は相性抜群。せっかく着るならば、インパクトの強いロングコートを。「ブラウンとライトブルーは互いを上品に引き立て合う色。コンサバに仕上がりそうなスタイルにあえてバギーデニムを合わせることで、適度に普段使いしやすいカジュアルなニュアンスを添えています」
寒い時期こそトライしたい茶色のトーン・オン・トーン
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ファッションインフルエンサーのダイアン・バトゥキナが実践したのは、ブラウンのワントーンスタイル。「中に着たセットアップは深いブラウン、ジャケットと小物は少し明度を上げた色合いで差をつければ、同色の組み合わせも単調にならない。色調や素材でメリハリをきかせたスタイリングは、手持ちのアイテムを使えば、明日からでも真似できそうですね」
細部のカラーリンクが着こなしのスパイスに
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コートのようにばさっと羽織ったオーバーサイズジャケットの迫力に負けない、今が旬のボストンバッグに視線を集めて。足もとのスニーカーも密かにカラーをリンクさせて、統一感を演出。「ダークトーンのウェアに、ブラウンの小物がアクセント。鮮やかな色よりもシックにまとまり、程よく主張する差し色として優れた効果を発揮します」
きちんとしたシーンに適した端正なムードも、日常使いしやすい柔らかな雰囲気も兼ね備えた、オールラウンダーの「グレー」。今年らしく着こなすなら、潔くワントーンスタイルがおすすめ。
品のある風格が漂うグレーのレイヤード
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通勤スタイルにも差し支えない品のよさがありながら、ブラックよりも緊張感がなく、柔らかい印象に仕上がるのがグレーの魅力。「暖かみのあるウールのコートやマフラーに対して、中に着たセットアップや手に携えたバッグは、艶やかな質感でエレガント。ワントーンでまとめるときは、素材の異なるアイテムを組み合わせると、レイヤードに奥行きが生まれます」
旬のボックスプリーツスカートはグレー一択!
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秋からトレンド継続中のボックスプリーツスカートは、定番かつトラッドなグレーが高い支持率を誇る。「優雅なフレアシルエットを描くスカートに、コンパクトなダブルブレストコートを羽織ることで、バランスを取って。足もとにボリュームを持たせたロングブーツなど、随所にちりばめた黒小物が普遍的なスタイルにエッジをきかせています」
ダークトーンをベースに異なる質感で遊んで
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マットなグレーやブラック、シャイニーなメタリックカラーなど、一筋縄ではいかないストイックな色使いが上級者の存在感を放つ。「質感こそ異なれど、シルバーはグレーの延長のような色だから好相性。コートとジャケットの重ね着を、カーゴパンツで程よくドレスダウンさせています」
「カーキ」といえば、ワークテイストやミリタリールックの超定番カラー。普遍的な色だからこそ、旬のムードを上手に取り入れて、いかに洗練されたムードで着こなすかがスタイルのカギを握る。
カーキグリーンならレザージャケットが品よく決まる
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重厚感のあるボンバージャケットは、落ち着きのある色を選択。「艶やかなレザーのアウターは、カーキを選べば黒よりもハードすぎず、どこか優しげな印象に。ブラウンのバッグや牛柄のスリッポンシューズといったアースカラー中心の装いを、ワイドなブラックデニムで引き締めています」
白を掛け合わせてシックにまとめたツートーン
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保温性の高いパフィーなジャケットは、真冬のマストハブ。ミリタリー感の強いアイテムのように思えるけれど、1枚あれば想像以上にさまざまな着こなしに馴染んでくれる。「トレンドでもある、スカートとパンツをレイヤードしたスタイリングとも相性よし。ピュアな印象のホワイトを合わせることでカーキの無骨さが中和され、上品にまとまっています」
ハンサムなセットアップにエレガンスをひとさじ
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マットな風合いのセットアップに、スエード素材のロングブーツがマッチ。「バッグはカーキの補色である赤紫を選び、気の利いたワンポイントに。ミリタリーなムード漂うスタイリングには、こんなふうに相反する暖色系の小物を組み合わせたい。ベルテッドコートのウエストマークも相まって適度なエレガントさがプラスされ、都会的に仕上がりますよ」
秋冬シーズンが似合う深みと、イエロー由来の明るさを併せ持つ「マスタードイエロー」。まとうだけで気持ちをエナジャイズしてくれるパワーがあり、差し色使いのみならず全身にも取り入れやすい。
オンライン中心のヴィンテージショップ「アウトオブユーズベルリン」を営むシシー・ポールは、発色のいいマスタードイエローのレザーコートを愛用中。足もとにはお気に入りだというフラワーモチーフつきのローファーを合わせた。「鮮やかなコートは一見難しく思えますが、フロントを閉じてワンピースのようにまとえば取り入れやすい。ピンクローファーとの合わせも小粋です」
こっくりカラーを重ねた上級者のミックススタイル

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冬らしいこっくりとしたカラーパレットに、ハードな革小物やジュエリーを添えた巧みなミックス&マッチ。「ジャケットのえんじ色に、マスタードイエローのスエードパンツや若草色のニットなど、ナチュラルカラーの色合わせが効いている。パンツと同系色のイエローのキャップを合わせることで、さりげなく統一感を演出しています」
マスタードイエローの小物をバランスよく配置

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マスタードイエローをポイントで取り入れれば、重量感のある冬の着こなしを軽やかに見せる効果も。スカーフは首もとを覆いすぎないコンパクトなサイズを選ぶことで、ボリュームのあるスタイリングに程よい抜け感が加わる。「シルバーを効かせた冬らしい配色のアクセントに。バッグも色をリンクさせることで、大人の余裕と遊び心を感じさせます」
季節を問わず通年で楽しめるビビッドカラーも、本格的な寒さの訪れとともに出番が増える深みのあるトーンも。印象的な「レッド」がワードローブにあれば、この冬も重宝すること間違いなし。
反対色を組み合わせてビビッドカラーを強調

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ネックラインに特徴のあるカーディガンをさらりと着こなしたのは、ファッションスナップの常連、ブランカ・ミロ・シミエリ。「中にスカイブルーのニットを忍ばせて、相反する配色によって鮮烈な赤をより際立たせています。ヒョウ柄のコートやスタッズつきのベルト、黒いレザースカートなど、随所にエッジィなアイテムを効かせることで、色のインパクトに負けない強さのあるスタイリングに」
ベーシックスタイルの引き締め役としても活躍

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中に着たタートルネックニットとシャツを白に統一することで、上から重ねた赤いカーディガンの存在感がアップ。「締め色に定番のブラックではなく、レッドを使った配色の妙が光るレイヤード。赤いトップスはグレーのパンツとも相性抜群! 中間色を合わせることで、鮮やかな色も簡単に取り入れやすくなるのでおすすめです」
70代にしてミュウミュウのランウェイにモデルとして出演し、一躍脚光を浴びたファッションアイコンのドクター・チン。東京を訪れた際に彼女がまとっていたのは、オールレッドのスタイリング。「深みのあるボルドーのジャケットやバッグ、パイソン柄のレギンスまで色みを揃えながら、鮮やかな赤のスカートを加えてメリハリを効かせています。そのバランス感覚はさすがの一言!」