【アーレム】モードラバーを虜にするアイウェア! 10年先も愛される1本を生み出すヒミツとは?

デザイナーのアーレム・マナイ・プラットにインタビュー

アーレム、そしてそのデザイナーであるアーレム・マナイ・プラットを一言で表すなら、すべてが型破り。アクネ ストゥディオズやミュウミュウといったファッションハウスに従事したという、アイウェアのデザイナーとしては異色のバックグラウンドを持ち、男社会のメガネ産業に女性ひとりで飛び込んだ。生み出すアイウェアのデザインや色彩も、これまでにないほどにファッション性に富んでいてフレッシュ。そんなブランドの魅力をデザイナー自らが語る。

モードシーンから一転、アイウェアの世界へ

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デザイナーのアーレム・マナイ・プラット。深いグリーンのフレームが印象的なサングラスはガリエラ美術館とのコラボレーションアイテム。サングラス「ガリエラ」¥58,300/グローブスペックス エージェント(アーレム)

ジャーナリストとしてファッション業界でのキャリアをスタートし、その後レディ・トゥ・ウェアのバイヤーとしてアクネ ストゥディオズに約4年、ミュウミュウに約1年半在籍。そこからの転身と聞くと、そもそもなぜアイウェアブランドを立ち上げたのかが気になる。「どちらも私にとってはホームのような存在で、さまざまなことを学びやりたいこともできたのですが、組織が大きく自らの判断で物事を動かせる環境ではなかったため、自分だけで完結できるブランドを立ち上げたいと思うようになりました。アイウェアを手がけるようになったのも自然な流れで。というのも、両親と世界中を旅していた幼少期から常にカメラと腕時計、そしてメガネが私にとって三種の神器のようなものだったんです。機能性と美しさの両方を兼ね備えているところが大好きで、旅先で素敵なメガネを見かけるとつい買ってしまうのは、今も変わりません」

“女性デザイナー”であるがゆえの壁

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光を受けて輝くゴールド×ピンクのリムがまるでジュエリーのような美しさ!細部まで凝ったデザインがアーレムの特徴。メガネ「ラスパイユ」¥63,800/グローブスペックス エージェント(アーレム)

チタンコレクションを除くすべてのアイテムは、フランスのアイウェアの生産地として名高いオヨナの職人によりひとつひとつ丁寧に手作業で作られている。ただ、ことアイウェアにおいては何の経験もない女性デザイナーということで、ブランド設立当初は苦労したことも。「元々は5つの工場が気になっていたのですが、4つには断られてしまいました。女性デザイナーが増えているとはいえ、いまだにメガネ産業は職人気質の人が集まる男社会。女性というだけで誰も信用してくれなかったんです。唯一受けてくれたその工場も『まぁ来れば?』という感じ(笑)。当時はビジネスを立ち上げることに一生懸命だったのでそこにお願いすることにし、現在はアセテートやメタルなど、素材に応じてそれぞれベストな工場と協業しています」

本質を突き詰めた、美しくも長く愛せるデザイン

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(右)リムの周りにハンドハンマーで凹凸をつけた、美しきオクタゴンシェイプ。メガネ「ガイヨン」¥63,800(左)グリーンのセルフレームがモダンな今季の新作。メガネ「アールデコ」¥58,300/グローブスペックス エージェント(アーレム)
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エレガントなメタルフレームながらアーレムらしい独特な玉型とトップバースタイルがポイント。ブランドの定番モデルは今なお人気! メガネ「ヴィクトワール」¥63,800/グローブスペックス エージェント(アーレム)

「アイウェアは服と比べてデザインできる領域が極端に限られている。そこも逆に燃えるんですよね(笑)。あと、私の母はカシミヤのショーツが欲しければカシミヤの専門メーカーに、オリーブオイル好きの叔母はマーケットではなくオリーブオイルのメーカーに買いに行くようなこだわりの強い人が身近にいる環境で育ったこともあって、本質を突き詰めることでそれを使った人がどうなるかまで想像するようになりました。感覚的にデザインするのではなく、10年後もそのアイウェアを着けていられるか?と自分に問いかけながらデザインしています」と語る彼女が大切にしているのが、タイムレスなルックスと独自性のあるディテールに、軽さや着け心地といった実用性を両立させること。そんなクリエイティビティを代表するのが、メタルフレームの「ヴィクトワール(写真上)」。ヴィンテージピースを参考にするのではなくゼロからドローイングし、「どんなに流行が変わろうとも、このデザインは生き続けるという確信があった」と語る普遍的な1本は、リリースから7年経った現在もアーレムの中で売れているモデルの一つだという。

パリへの愛が詰まった、最新コレクション

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今季のキャンペーンビジュアル。

ちなみに前出の「ヴィクトワール」というモデル名は、パリの地名から取ったもの。アーレムのアイウェアすべてにパリにまつわる名前が付けられているのも、かの地への彼女の愛の表れだ。そして2022年の秋冬シーズンは、1979年のパリに着想を得た。「五月革命が起こった1968年以降は女性解放運動が起こったり、ヴェイユ法(人工妊娠中絶の合法化)が成立したり、女性の生き方に選択肢が増えて、ファッションもヘアスタイルもより自由になりました。そこからパワーショルダーやカラフルな色彩といった華やかなトレンドが台頭する1980年代直前までのダンディズム精神あふれるシックなスタイルを、インスピレーション源にしています」。そんな生き生きとした女性像が、ドラマティックなデザインや華やかなディテールから見て取れる。

ひょんなことから実現した、歴史的コラボレーション

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ガリエラ美術館とのコラボレーションは全1型4色展開。ボリュームのあるセルフレームがモードな佇まい。サングラス「ガリエラ」¥58,300/グローブスペックス エージェント(アーレム)
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ガリエラ美術館で行われたアーレムの新作発表のパーティ。

また、今シーズンのトピックとして見逃せないのがパリ市立ガリエラ美術館とのコラボレーション。「偶然招待された回顧展でガリエラ美術館を訪れ、その美しさにハッとしてしまい。帰りのタクシーの中ですぐにスケッチを描き、美術館のディレクターに会った際にコラボレーションのアイデアを伝えてドローイングを見せたら、向こうも私のブランドを知ってくれていて、特別の縁があったのだと思います。若い時は勝手に不可能だとか時間がないと決めつけてしまうけど、物事は意外とシンプルに繋がることを実感しました」。そうサラッと彼女は話すが、ファッションシーン全体を見てもガリエラ美術館が特定のブランドと手を組むのは史上初だから驚きだ。荘厳な佇まいを彫刻的なフォルムとボリューム感で表現した上の写真のモデルは、同美術館でも展示販売されている。

自由にアイウェアを楽しむことの素晴らしさ

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プレッピーなジャケットには黒のセルフレームが相性抜群。チャーミングな笑顔が素敵! メガネ「アールデコ」¥58,300/グローブスペックス エージェント(アーレム)

「日本を訪れる度に、みなさんの自由なスタイルに感銘を受けます。例えばキャットアイフレームのアイウェアはどこか女性のためのものだと考えられることが多いのですが、男性がかけていたり。でもよく考えれば、レイ・チャールズも1950年代当時すでにキャットアイフレームのメガネを愛用していましたよね。自分が身に着けたいものを選ぶことはアイデンティティにも繋がっていくから、境界線を気にせず、私自身もこれまで以上にアイウェアで遊びたいです」。ジェンダーやステートメントは気にせず、感性の赴くままにアイウェアを選べば、この秋冬は新しい自分に出会えるはず。

アーレム・マナイ・プラットプロフィール画像
デザイナーアーレム・マナイ・プラット

フランス出身、LAとフランスを拠点に活躍するデザイナー。アパレルでの経験を経てアイウェアの世界へ。20世紀初頭のバウハウスムーブメントなどアートに影響を受けたデザインがパリのコレット(2017年に閉店)のバイヤーの目に留まり、同店がバイイング。その後LAの名店フレッド・シーガルも取り扱うなど、ファッションシーンからも高い評価を得ている。

INFORMATION

グローブスペックス全店で2022年秋冬コレクションが発売!

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写真のアン・バレンタインを始め、アーレム、レスカ・ルネティエ、ルノア、ラ・ループ、ダイアン・テイラーなど、アイウェアブランドの新作が、グローブスペックス全店、および全国の取扱店にて11月中旬から発売される予定だ。自分やパートナーへのギフトにもぴったりなアイウェアが盛りだくさん。詳しくは、グローブスペックスの公式Instagramでチェックして!

グローブスペックス エージェント
http://www.globespecs.co.jp
03-5459-8326