モード誌で活躍する３名のアーティストが、2023年に買ってよかったアイテムとは？ 「それどこの？と聞かれた品」、「１年間で最も出番が多かったもの」など、テーマ別に12アイテムをご紹介！
3名のプロフィール
2020年にスタイリストの小川夢乃氏から独立。雑誌やブランドのルックブックのほか、パーソナルスタイリングなども行う。
2021年に椎名直子氏から独立し、ファッション誌を中心に活動。モードでソリッドなスタイリングを得意とする。
飯田珠緒氏に師事し、2022年末独立。韓国留学の経験からソウルのファッションにも造詣が深く、日々新ブランドを探求中。
気合を入れて 買ったアイテム
1. DRIES VAN NOTEN(ドリス ヴァン ノッテン)のブーツ
「毛足の長いヘアが、デニムなどのカジュアルな装いを格上げしてくれます。太いヒールで歩きやすく、パリコレ時期に動き回る際にも重宝しました」。
2. GUCCI（グッチ）のブーツ
アイコンのホースビットを中央にあしらったシューズに、スエードのブーツタイプが登場。「日常履きできる〈グッチ〉が欲しかったんです！」。
3. ROGER VIVIER（ロジェ ヴィヴィエ）のシューズ
定番のバレリーナシューズのベロア素材バージョン。「可愛すぎる色や素材だと合わせが難しいですが、絶妙なカラーなので自然体で履けます」。
それどこの？ と聞かれた品
4. PAULA CANOVAS DEL VAS（パウラ・カノバス・デル・ヴァス）のバッグ
「リースや展示会に行ったとき、周囲からよく質問をいただいたバッグです。ストラップつきで斜めがけできるところもよく、意外と収納力もある！」。
5. FETICO（フェティコ）のレーストップス
「毎シーズン、必ず自分にぴったりなものが見つかる〈フェティコ〉。ガーリーな服は得意ではありませんが、モダンな黒レースはデニムとも好相性」。
6. KOKYO（コキヨ）のバッグ
「私たちも持っている！」と中澤さんと渡邊さん。スタイリスト保有率が高い〈コキヨ〉のバッグは、シンプル&クリーンなデザイン。「枕みたいで可愛い」。
1年間で最も出番が多かったもの
7. BLESS（ブレス）のＴシャツ
周年を祝って製作されたものを色違いで。「デザインはもちろん、肌ざわりもよくてお気に入り。これは何着も手に入れたいと買い足して、結果4着に」。
8. COURRÈGES（クレージュ）のトップス
「パリを訪れた際に立ち寄った本店で。スタッフの方がこのトップスを着ていてひと目惚れしました。その思い出も相まって、ベスト・バイに」。
9. NHOJ（ジョン）のジャケット
「このビッグサイズがいいあんばい！ 肩のラインをきれいに拾いつつ、ラペル位置が高いことで上半身をすっきりと見せてくれます。試着後すぐ購入」。
超個人的ベスト・バイ
10. VAQUERA（ヴァケラ）のぬいぐるみチェーン
「パリコレで〈ヴァケラ〉のショーに参加できることになり、何か持っていこうとゲット！」。ふわふわ、もこもこの愛おしいクマはチェーンつき。
11. ACNE STUDIOS（アクネ・ストゥディオズ）のパフジャケット
ショート丈を、たっぷり入った中綿でボリュームアップ。「あまりダウンジャケットが好みではなかったんですが、これはモードに着られる！」。
12. MATIN KIM × LEVI’S（マーティンキム × リーバイス）のデニム
「独立祝いで師匠にプレゼントされた韓国旅行で購入しました。このデニムは偶然立ち寄った〈マーティンキム〉で見つけたコラボアイテムです」。
ほかには真似できない個性があるブランドに心惹かれていく
編集部に集まったのは、スタイルがそれぞれ異なる同世代のスタイリストたち。仕事柄、服やファッション小物に触れる機会が多い彼女たちは、１年間どんなモノを買ってきたのだろう？
渡邊 自分にとって、2023年はパリコレクションへ初参加したことが大きかった。そのために日本やフランスで新たに買ったものがたくさんあって……みなさんはどうでしょう？
中澤 私も春に新婚旅行でパリを訪れました。本当に偶然！ オンラインショッピングも楽しいけれど、やっぱりお店に足を運んで、ブランドの雰囲気やショップスタッフの着こなしを見て買い物をしたほうが、モノに対する愛着が湧いてきます。たとえば〈クレージュ〉のトップス（8）もそう。
嶋﨑 これって〈クレージュ〉なんですね？ 珍しいデザイン。
中澤 メンズ向けで、少しストリートテイストを感じますよね。中央にロゴが入っているのに〝これどこの？〟って聞かれることも（笑）。
渡邊 私は〈パウラ・カノヴァス・デル・ヴァス〉のバッグ（4）が今年一番突っ込まれました。
嶋﨑 本当にこのバッグは唯一無二のデザインですよね。一度見たら忘れられないインパクトがあって。実際、使いやすいですか？
渡邊 こう見えて機能性があるのが魅力なんです。マチもあるし取っ手の部分で肩がけもできるから、さまざまなシチュエーションで持てる。
嶋﨑 私は〈コキヨ〉のミニバッグ（6）を持っているとよく質問されました。〝これどこの？ 欲しい！〟って。
中澤・渡邊 えっ、これ持ってる！
嶋﨑 まさかのお揃いですか？（笑） 中綿入りでふわふわしていて、可愛くてひと目惚れして買いました。トートバッグと２個持ちしています。
中澤 気軽に使えるミニバッグって重宝しますよね。私は電車やバスで移動するので、リースの際は両手が塞がるほどの大荷物になることも。いつか車を買って、小さなバッグひとつで表参道を闊歩したい！
渡邊 私も同意！ 若手スタイリストの夢ですよね。動きやすいカジュアルな装いだと学生みたいに見えちゃうし、仕事着選びって難しい。
中澤 意外と着る服を選びますよね。ボトムスはパンツを合わせることがほとんどだから、おしゃれ要素を出すならトップス。〈フェティコ〉のレースブラウス（5）は大人っぽさも可愛げもある絶妙な一着。ディナーなどTPOを意識するシーンでも活躍します。
嶋﨑 私も普段、装飾的なコーディネートをしないから、急にイベントが入ると何を着よう？って考えちゃう。そんなときに万能なジャケットを新しく買い足しました。
渡邊 私も最近〈オーラリー〉でネイビージャケットを新調したばかり。これはどこのブランド？
嶋﨑 〈ジョン〉（9）です。ビッグシルエットだけど合わせやすくて。
中澤 確かに、着てみると意外と自然。骨格に合っているのかな？ ラペル位置が高いのがいい感じ。
嶋﨑 そうなんです！ 私の体格に合っているみたいで、試着したときにしっくりきて即決でした。もう一着、保存用に欲しいぐらいのお気に入り。
渡邊 私も気に入りすぎて色違いで揃えたＴシャツがある。〈ブレス〉（7）なんですけど、すごく肌ざわりがよくて。
中澤 柔らかくて気持ちいいー！ でも〈ブレス〉って素材よりもデザインや斬新なアイデアという感じで、こんなに素材が上質だったとは驚きました！
渡邊 ちょっと意外ですよね。その点、嶋㟢さんが挙げていた〈マーティンキム×リーバイス〉のデニム（12）も着心地がよさそう。
嶋﨑 これは冬の韓国旅行中、寒すぎて防寒用に買ったんです。でも実際にはいてみたらシルエットがきれいで、帰国後も愛用しています。中にレギンスを合わせても着膨れしない（笑）。パンプスを履いても可愛いかも。
中澤 そういえば、気合を入れて買ったもの、みんな共通しているのはシューズですね。私は〈グッチ〉のブーツ（2）。このデザインは現行での展開が珍しく、スエードの素材感とボリュームに惹かれて買いました。
渡邊 〈ドリス ヴァン ノッテン〉のブーツ（1）は自分へのご褒美でもあり、パリコレへ行く気運を高めるための一点。これで格好よくフランスを歩きたくて！ どんなにシンプルなファッションでも、モードになるし。
嶋﨑 私は独立した記念に買った〈ロジェ ヴィヴィエ〉のバレリーナ（3）がお気に入りです。手持ちがスニーカーばかりで、いざというときの一張羅を持っておきたくて。いろんな服に合うグレー寄りの水色を選びました。
渡邊 嶋㟢さんに似合う色だと思う！ 足もとって意外と人に見られているし、意識的におしゃれしようと思うパーツ。気合を入れて買ったアイテムが３人とも一緒って面白い。
中澤 自分のモチベーションを上げてくれる存在って大切ですね。その一つひとつが積み重なって、スタイルが形成されていく気がします。
