藤本タツキ原作・是枝裕和監督の映画『ルックバック』でダブル主演を務めるふたりがSPURに登場。懐かしさと手仕事のぬくもりを感じるグラニー(=おばあちゃんの)ニットに身を包み、冬へと漕ぎ出す。

2026.10.09

【出口夏希と蒔田彩珠】性格は真逆。でも隣にいて同じ気持ちでいられる

藤本タツキ原作・是枝裕和監督の映画『ルックバック』でダブル主演を務めるふたりがSPURに登場。懐かしさと手仕事のぬくもりを感じるグラニー(=おばあちゃんの)ニットに身を包み、冬へと漕ぎ出す。

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出口夏希と蒔田彩珠 グラニーニットのふたり

出口夏希と蒔田彩珠 グラニーニットのふたり

[蒔田]ニット¥385,000・ドレス(マフラーつき)¥891,000・靴¥308,000・ソックス¥187,000(すべて予定価格)/プラダ クライアントサービス(プラダ) [出口]カーディガン¥951,500・シャツ¥796,400・ニット¥485,100・スカート¥514,800 ・靴¥281,600/シャネル

映画『ルックバック』は、北国の小さな町の小学校で出会い、漫画を通じて唯一無二の絆を培うふたりの13年間を描く。寄り添う彼女たちを包むのはグラニーニット。太い毛糸で編み出された立体的なケーブル模様や、愛らしい冬景色の柄がぬくもりを感じさせる。時間をかけてひとつの作品をつくることにも、関係性を深めていくことにも「編み上げる」という動詞が使われることがある。演じた登場人物と同じように、俳優として子ども時代に出会い、四季を巡る作品の長い撮影を経たふたりは、どんな心の模様を編み上げただろう。

クロエ

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ニット¥701,800・シャツ¥245,300(参考価格)・パンツ¥606,100 ・ブーツ¥464,200(参考価格)・リング(右手)¥78,100・ (左手)¥61,600/クロエ カスタマーリレーションズ(クロエ)

祖母や母から引き継がれた手編みのぬくもりを表現したチロリアンセーターを、誇るように凛と着こなす。出口夏希さん演じる主人公のひとり「藤野」は、まっすぐな自信を持つキャラクター。圧倒的な才能を前にしても、打ちひしがれる出来事にぶつかっても、心を曲げずに描き続ける。その背後でそっと応援する家族の存在も、作品はやさしく描写している。

ドリス ヴァン ノッテン

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ニットカーディガン¥363,000・ニットストール¥95,700・シャツ¥214,500・ベルト¥38,500・靴¥195,800/ドリス ヴァン ノッテン

蒔田彩珠さんは、フォーキーでロマンティックなニットにすっぽりと身を包み、まるでおとぎ話の雪国に住むプリンセスのよう。劇中で演じた「京本」は、家に引きこもりながら絵の才能を磨き、藤野と出会い、彼女に手を引かれて外の世界へと羽ばたく。美しい色の織りなす柄のロングカーディガンは、身の守りとなる魔法の長衣かもしれない。

ルイ・ヴィトン

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トップス¥383,900・ジャケット¥786,500・スカート¥566,500・グローブ¥70,400(すべて予定価格)/ルイ・ヴィトン クライアントサービス(ルイ・ヴィトン)

雪を漕いで進むシーンも印象的だった『ルックバック』。レトロなスキースタイルのニットとグローブを身につけた蒔田さんは、旅にも想いを馳せる。「私にとっては初めてのベネチア国際映画祭へ。この作品はたくさんの場所を巡ることになるので、きっといい思い出になっていくだろうなと思います」。

メゾン マルジェラ

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コート¥806,300・ニット¥275,000 ・ドレス¥286,000・ニット帽¥234,300・靴¥311,300/マルジェラ ジャパン クライアントサービス(メゾン マルジェラ)

シェットランド地方に古くから伝わるフェアアイル柄を彷彿とさせるアルパカ混のニット。出口さんはふんわりとした表情で作品を振り返る。「今、小学生や幼稚園の子たちが大きくなったときにも見てほしいと思える作品です。10年後に『あ、蒔田彩珠と出口夏希がやってるんだ』って」。現在のふたりの瞬間が、未来にずっと続いてゆくことを想像して、ほほえんだ。

NATSUKI DEGUCHI × AJU MAKITA 

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『ルックバック』の撮影から生まれた、自然な空気感

原作漫画もアニメも、大きな反響を呼んだ『ルックバック』。実写化にあたって、是枝裕和監督はこれまで自作に出演してきた出口夏希さんと蒔田彩珠さんを、主役の藤野と京本にキャスティングした。漫画を描くことで喜びも苦しみも共有するふたり。秋田県にかほ市での長期間の撮影を経て、それを演じた出口さんと蒔田さんの間にも親密な雰囲気が生まれている。ぎこちなさがなくて、並んだときはふと近寄ったり、寄っかかったり。その距離について聞いてみた。

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[蒔田]ジャケット¥347,600/イザベル マラン 青山店(イザベル マラン) カーディガン¥132,000/リトルリーグ インク(ピリングス) ニットパンツ¥52,800・ニットミトン¥57,200/オーラリー 靴¥165,000/ジェイエムウエストン 青山店(ジェイエムウエストン) [出口]カーディガン¥310,200・シャツ¥126,500・スカート¥310,200/ボーディー トーキョー(BODE) 靴¥77,000/ルック ブティック事業部(レペット) ソックス/スタイリスト私物

── おふたりの共演は3作目ですね。

出口 はい、そうです。でもたぶん、『ルックバック』の撮影期間中にいまのような関係性になった気がします。プライベートの私たちは、ちょっと似てるかも。

蒔田 うん。秋田でも東京に戻ってからもふたりでいることが多かったんですけど、テンションが似てて、ね。

出口 性格はきっと真逆なんですけど。それぞれがマイペースだから、居心地がよかった。

蒔田 一緒にいて無理しなくていいし。

出口 話したいときのタイミングも似ていて。

蒔田 撮影のあとごはんを食べて、ホテルに帰って、そのままどっちかの部屋にいたり。ずっと一緒。牛丼も食べに行ったよね(笑)。雪の中。

出口 行ったね! ホテルから歩いて。結構深夜じゃなかった?

蒔田 私が「おなか空いたな」って言い出して。

出口 で、行って、ふたりで食べて、もう一回雪をかきわけて帰ってきて。本当に、このお仕事をしていてあんまり出会えない人だなと思いました。

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©藤本タツキ/集英社 ©2026 K2 Pictures・集英社

── 藤野と京本の小学生時代は、それぞれ七瀬ふうりさんと岡田六花さんが演じています。

蒔田 いままでは年上の俳優さんたちといることが多かったのが、今回は自分たちが大人で、子ども時代の役のふたりを見ているのが感慨深かったです。私が監督と素敵な出会いをしたように、ふたりにとっても人生が変わる作品なんだろうな、と思いました。

出口 特にふうりちゃんは初めてのお芝居で。

蒔田 監督の注意がそっちに向いて、ちょっと寂しいような(笑)。ふたりのお芝居は完成した作品で初めてちゃんと見ましたが、「こんなに頑張ってたんだ」と。もう泣きそうでした。

出口 感動しちゃったもん。

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©藤本タツキ/集英社 ©2026 K2 Pictures・集英社

── 藤野と京本はつくるものを通じて、お互いに「わかってくれる」相手でもあります。そういう人っていますか?

蒔田 私は母ですね。一番最初に作品を見て、ベタ褒めしてくれるので。

出口 私はあんまり友だちや身内の人とお仕事の話をしないから、いつも作品を見て、評価してくれるファンの方たちかも。ただ『ルックバック』は愛されている作品なので、不安だったんです。でも彩珠も隣で同じ気持ちでいてくれたから、少し軽くなりました。

蒔田 私と夏希と、私のお母さんと三人でビデオ通話したときに「アニメもヒットしてるし、心配だ」みたいな話をしたんですよね。でも私たちに、「大丈夫だよ、選ばれたのはあなたたちなんだから」って言ってくれて。

出口 ほんと、周りに彩珠のお母さんみたいな人がいてくれたら、気持ちがすごく楽になると思う。

ふたりで過ごしたこと。忘れないでね。忘れないよ。

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たくさんの思い出がそのまま映っている映画

── 一心に漫画を描く場面も多くて。絵を描く練習はかなりしましたか。

蒔田 クランクイン前の4カ月間と、撮影期間中もずっとですね。

出口 練習期間に(漫画の)宿題がたくさんあったんですけど、朝まで無心で描いてたぐらい。

蒔田 すごいなあ。

出口 普段は何かをずっと考えてるけど、漫画の練習をしてると頭が真っ白になって。それで朝までやって、そのまま仕事に行ってました。

蒔田 手作業向いてるんじゃない?

──これまで手を動かしてつくることに没頭したことはあるんですか?

出口 ないと思います。絵もセンスないし。彩珠は編み物、現場でもずっとやってたよね。

蒔田 編み物大好きです。昨日も朝起きて、夜寝るまでやってました。

出口 お互い静かにしている時間は、彩珠は編み物。私はYouTube(笑)。

蒔田 友だちに子どもが生まれるので、今ファーストトイをつくってます。

出口 うわー! 素敵。一生ものだ。

──今日はおふたりに、「シスターフッド」という言葉にどんな人を想像するかも聞こうと思っていました。

出口 シスターフード?

蒔田 フッド(笑)。私、調べました。女性同士が支え合う、って意味の言葉なんですよね。

出口 だったら、私は地元の友だちかもしれない。小学校から仲がよくて、定期的に会うんですけど、忙しいと何カ月も会えなくて。連絡も取ってないときがあったんですけど、落ち込んでたら急に「最近大丈夫?」って連絡が来たんです。「あ、会ってなくてもわかるんだ」と思いました。つながってる。

蒔田 私はお母さんかな、やっぱり。私の精神状態を何も言わなくても把握してくれてる。たまにですけど、母も私にはちゃんと弱みを見せてくれるし、そういうとき、自分も支えなきゃなって思うことがあります。

出口 でも私も今回、一緒にいないときにふと「彩珠は何を思ってるんだろう」って思ったりしてました。

──その意味でも『ルックバック』のストーリーと呼応していますね。将来的に、ふたりで時間を過ごしたことが刻まれた作品になりそう。

蒔田 そうですね。是枝監督や夏希ちゃんとこの作品をつくれたのはいい経験だったし、これから海外の映画祭にも行って、またいろんな思い出ができるんだろうなと。きっと忘れることはないと思います。忘れないでね。

出口 忘れないよ! そう、にかほ市でも撮影をしたというより、夏休みや冬休みを過ごした感覚だから、10年たってもそれを思い出すかも。そのまま映画に残ってるんです、私たちが見た景色も、聞いた音も。思い出がここに全部残っている作品ですね。

出口夏希プロフィール画像
出口夏希

2001年生まれ、中国出身。’18年に活動開始。是枝監督によるNetflixオリジナルドラマ「舞妓さんちのまかないさん」(’23)でW主演。最近の映画に、『万事快調〈オール・グリーンズ〉』(’26)など。公開待機作に『君の話』『リバイアサン』など。

蒔田彩珠プロフィール画像
蒔田彩珠

2002年生まれ、横浜市出身。’12年俳優デビュー。ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」(’12)以降、『万引き家族』(’18)など是枝作品に多数出演。『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(’18)でW主演。待機作に『BYE BYE LOVE 探偵はBARにいる』など。

『ルックバック』

映画ルックバック

©藤本タツキ/集英社 ©2026 K2 Pictures・集英社

藤本タツキによる原作を是枝裕和監督が実写化。小学校の頃から刺激しあい、ともに漫画を描き続ける藤野(出口夏希)と京本(蒔田彩珠)。だがふたりの日々を揺るがす大きな出来事が起きる。第83回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品作品(公開中)。