12月には「グレート・コンジャンクション」を控え、まだまだ変化が予想される下半期。世界情勢などマクロな話から、恋愛や心との向き合い方などパーソナルなトピックまで。ふたりの対話から、未来への勇気をつかみ取りたい。
大波乱の2020年前半。後半はどうなる?
水晶玉子(以下、水晶) 昨年末、石井さんと2020年の星の動きについておしゃべりをしたときのこと、覚えていますか?ラヴェルの「ボレロ」のように、小さな音がだんだんと大きくなっていって、月の「グレート・コンジャンクション」で“ジャ〜ン!”とクライマックスを迎えるのではと、ふたりとも同じ曲をイメージしていたんですよね。
石井ゆかり(以下、石井)覚えています。私もその話は印象的でした。2019年から始まっていたことが、2020年に徐々に大きくなって、最後には“ドン!”と大きな音になるだろうと。でも、それにしてもいきなり大きくなりすぎたような気がします。
水晶 土星と冥王星が接近すると、社会の根本的なところが破壊されるといわれていますが、1月13日に土星と冥王星がコンジャンクション(ふたつの星が重なりパワーを強め合う配置)になったとき、世界中に新型コロナウイルスがパッと広がっていったイメージがあります。「まだ序盤なのに、こんなに大きな音が鳴るなんて!」とビックリ。さらに、4月5日の木星と冥王星のコンジャンクションの頃に、緊急事態宣言が発出されて……。
石井 5月の半ばに土星、金星、木星の逆行が始まると、一部で緊急事態宣言が解除されるという話が出てきました。星の逆行は一般には、明るい兆しと解釈することは少ないのですが、今回は少しホッとするような展開と重なりました。ただ、やはり「逆行」なので、階段の踊り場のような、一時的な安堵感ですね。
水晶 時代の変わり目には、こんな想像もできない出来事が起こるのかと痛感しました……。この後、木星と冥王星のコンジャンクションは6月30日、11月13日にもあるので、そこも注視していきたいです。
石井 特に6月末は節目感がありますね。
水晶 6月28日には火星が牡羊座に入り、7月2日に土星が山羊座に戻ることもあって、6月末から7月頭はひとつの山場になりそう。コロナのフェーズが変わるのかも⁉
石井 もうひとつの11月13日は、14日に火星の順行、15日に蠍座の新月があり。その近くで金星と水星も動くので、13〜15日でバタバタと物事が動いていきそう。
水晶 さらに11月21日には金星が蠍座に入る。蠍座は医学や医療を意味する星座なので、その分野で大きな動きがあるかも。うれしいニュースだといいな。
石井 9月の第2週もポイントです。5月下旬の宣言解除が踊り場の入り口なら、ここに出口感があります。火星の逆行、木星の順行、その少し前には水星と金星も次の星座へと動いている。そしてずっと逆行していた土星も9月29日に順行に戻り、そうするとひと区切り感が出るのではないかと。
水晶 このタイミングで、ウイルスが封じ込められるといいのだけど。
石井 今は大きな流れにのまれるように物事が進んでいますが、夏から秋にかけては、対策する、対応するという星の配置に。いろいろ話が進み、ウイルスと闘えるようになるんじゃないでしょうか。その山場になるのが9月のような気がします。
水晶 私はウイルスに関しては、少し楽観的すぎるかもしれないけれど、星たちが逆行している間に、ある程度の対策が練れるのではないかと。1918年のスペイン風邪のときは、第二波の流行のほうが大きかったといわれています。当時に比べれば今は科学も進歩していて。パンデミックを何度か経験している、その知恵に期待したい。12月17日には土星が水瓶座に入り、3月半ばのときと同じ位置になる。そこで感染がまた拡大する可能性はあるけれど、そのすぐ後、12月19日には幸運の星・木星も一緒に水瓶座に入りますから!
石井 木星は今、山羊座にいますが、山羊座にいるときは調子が出ないといわれていますからね。3月の土星の水瓶座入りと、12月の土星の水瓶座入りの意味合いは、違っていてほしいです。「今回は土星だけでなく、いいヤツも連れていく」って感じなので(笑)。
水晶 正直に言うと、私は、12月はコロナよりも別のものが怖い。ほかのことでもっと世の中が動くような気がしています。
石井 ウイルスが違う展開になるというより、人々の見る方向が変わるのかもしれません。
個人も世界も、自分が信じる正義のために闘うとき
水晶 今年は6月28日に火星が牡羊座に入り、2021年1月7日までずっととどまるのも大きなポイント。牡羊座は個人の世界を意味します。コロナ禍でいろいろ変わってしまったことに対して、個人の闘いが始まるんだと思います。社会的な集団に対して、個人で何ができるか考え、政治への関心も高まりそう。
石井 火星の支配星は牡羊座なので、火星が牡羊座に入ると、火星が象徴する闘いや勝負がクローズアップされます。おっしゃるとおり、私たちの生活の中でもひとりひとりがいろいろな形で「闘い」を選んでいくことになりそうです。怒りや闘いは、普通はあまりいいものとはされませんが、たとえば女性参政権なども怒りと闘いの結果です。
水晶 運気の変わり目は、星が星座を移動したときではなく、その少し前から働き始めるので、個人の闘いはすでに始まっていますね。
石井 すごく象徴的だなと思ったのが、このところ著名人が政治に関する意見を述べることが注目されていることです。いろいろな立場、意見がありますが、「政治に触れることそのものをタブーとする」という空気が壊れ始めているんだなと思います。今まで政治に興味がなかった人も、自分と関係のあることなんだ、と気づき始めている。それも、大切なひとつの「闘いの兆し」だと思うんです。
水晶 これまで興味のなかったことを、自分の問題と感じて闘い始める動きは、これからどんどん増えていきそうです。
石井 自分の中に闘いの炎が灯っていくのだと思います。迷う気持ちがあっても、その結果、闘うか、闘わずにいるかを決める意思を持てるようになる。みんながどうするかではなく、自分は自分という意識が必要になる。
水晶 反対したり、何かを始めたりするときは批判も受けます。特に牡羊座にいる火星は決してやさしくはないので、闘わないといけない。今回の件だけでなく、そこを含めて、覚悟を持って闘うことになりそうです。
石井 そうですね。ただ、行動してみるまではその結果がどうなるか、わからないことも多いです。「まずやってみよ、そうすれば次に何をすべきかがわかる」というのはナポレオンの言葉です。覚悟も大事ですが、失敗や敗北も含めて、大事な経験ですよね。
水晶 失敗にはたくさんの情報が詰まってますよね。失敗しても立ち上がればいいし、壊れたら直せばいいし、終わったら次を始めればいい。何かで復活することだってある。「もうおしまい」ということは、生きている限りないんです。そのくらいの気持ちでいたほうが闘いやすいでしょ。ただ、国際間の闘いに目を向けると、とても不安になります。
石井 7月2日に土星が山羊座に戻って、火星と土星が緊張感のある配置になります。実は昨年、心の中で“戦争などになるのでは”と思って怖かったんですが、実際こうして世界中が経済的に落ち込むと、ブロック経済になって戦争になるという流れは過去にもあったので、そうならないことを祈るばかりです。
水晶 経済的な戦争で済んでほしいですね。
石井 今、WHO(世界保健機関)が中国とアメリカの間に立たされています。先日ニュースで、“かつてWHOが戦争の道具になったことがなかったのでショックを受けている”と関係者の方がコメントをしていました。
水晶 2020年後半は、コロナ問題以外でも対立の緊張感が世界を覆いそう。世界の均衡が保てなくなる状況はなんとしても回避してほしい。ただ、個人が国家に対して闘うというメッセージと読み取れば、表には出ないところで、すでにそれぞれの国の中の問題が大きくなっているのかなと。経済が落ち込むことで、内乱が起こる可能性もあるかも。今、香港やアメリカも大変なことになっていますし。
石井 国家の強い権力や防衛力、経済力などは山羊座的なテーマで、ここに木星と土星が集まって変動の気配がしていますが、同時に「隠す」機能を持つ冥王星もいる。私たちは本当に何が起こっているのか、リアルタイムではわかっていないのかもしれません。数年たって「あれはそういう時代だったのか」とわかることもありそうです。
水晶 牡牛座にいる天王星の影響で、生活スタイルにも個性と自立性が出てきそうです。今回のステイホームで、世界中の人が、自分の好きなもの、大事にしている生活のコアな部分に向き合ったのだと思います。
石井 確かに。牡牛座は多少不満があっても「状況を変えるよりはマシ」と現状を維持してしまうような、変化を嫌う世界ですが、否応ない変化に晒されたときこそ逆に「ここだけは譲れない」ものが見えたかもしれませんね。ある感染症の研究者の方が「これからは『みんなと一緒』という行動様式を変えたほうがいい。みんなでわーっと同じ行動をとると、感染が広がるのだ」というようなことを言っていました。「みんなが並んでるから並ぼう」的な発想は、安全志向のようで、むしろ危険なのかもしれません。
新しい風の時代へ向けて人との関わり方はどう変わる?
水晶 この年末に迎える「グレート・コンジャンクション」は、約200年に一度の特別な転換期なんですよね。
石井 はい。いわゆる「グレート・コンジャンクション」は木星と土星が空で接近する現象で、約20年に一度起こりますが、約200年ごとに起こる場所が変わります。これまでは地の星座(牡牛座・乙女座・山羊座)、12月22日からは風の星座(双子座・天秤座・水瓶座)になります。まさに時代の節目です。
水晶 200年前は産業革命が起き、現代に向けて蒸気機関車から、ロケット、スマホへと、大きな技術や道具の進歩がありました。今度はそんな物質的なものから、情報やコミュニケーションなど“見えないもの”にスポットが当たるようになります。
石井 資本主義の200年は、人の生活の「全体性」的なものが失われた時代でもあったと思います。たとえば漬物を個々の家ではなく、工場で漬けるようになった。生活が要素に分解され、集団に吸収されていった。
水晶 進歩するほど自給自足で生活できない。
石井 そういう「個人が持っていた全体性が集団に吸収される」という現象が今度は風の世界で起こるとすればどうなるのだろう、と思ったのです。たとえば今は、直接会わなくても、通信機器を通して会話ができます。「関わり」の全体性は、すでに壊れつつあるのかもしれません。
水晶 私は前回の風の時代、約800年前のことを考えました。当時の日本は鎌倉室町時代。文字や知識が位の高い人のものだけではなく一般化して、庶民まで行き渡るようになり、言葉とともに地方との交流も広がった時代だったのかなと。風の星座の人は論理的ですからね。人との関わり方は、リアルに触れ合うことに重きを置かない流れが強くなるかもしれないので、今までとはまったく違う人間関係が生まれてくるかも。でも、実は私、今とても困っていることがあって(笑)。今後の恋愛運について書くときにどうにもイメージが広がらない(笑)。新しい出会いはオンライン飲み会とかだったりしますが、石井さんは風の時代を迎えるこれからどんな出会い方をして、どんな恋の仕方があると思いますか?
石井 恋愛は困りますよね(笑)。今は恋をする、愛を語ることへの抵抗感があるのか“恋愛”という言葉自体、あまり使わなくなった気がします。“パートナー”“大切な人”とは言えるんですけど。それに、玉子さんが前の風の時代を「言葉が発達していった時代」と話されたように、会ってコミュニケーションを取るより、SNSなどの文字でつながってつき合うという流れもできている。
水晶 そもそも今年後半も、仕事や社会性の山羊座に木星がいるので、恋愛とは相性がよくないですよね。交際0日婚とか、いきなり家庭に入るとか、ビジネスパートナーと入籍とか、恋愛っぽくない。そこから来年以降さらにフラットな感覚を持つ風の時代になると、恋愛の甘い期間を経て、手順を踏んで結婚というのは、より薄れそう。同志的な結びつきにスポットが当たり、「それも愛だ」となるのかも。だからこそ、コミュニケーションはもっと必要になるんですけどね。
石井 感情の高まりとしての愛ではなく、相続や介護のためなど、お互いの人生を守ろうとする行動としての愛ですね。水瓶座は形式を新しくしようとするから、夫婦別姓もうまくいくかも。「愛」を別の名で呼ぶことになるとか。新しい結びつきができてくる。
水晶 甘いロマンスはドラマの中だけになるのかな(笑)。夫婦のあり方も変わるから、今回の自粛は来年へのお試しにもなったはず。
石井 一昔前は、「私はあなたのものよ」「お前は俺のものだ」など、所有するような言い方がありました。それが水瓶座に土星が動き、折しも天王星も牡牛座にあることで、所有することや支配関係はいよいよ解体されていく気がします。かつては夫婦でも上下関係があったりしたけれど、すでにそうじゃなくなりつつあるし、その傾向はさらに強まる。ただ今年後半、火星が牡羊座に入って闘いやすくなったとき、タッグを組んで一緒の敵に立ち向かうならいいけど、パートナーと闘うようになるとまずいですね(笑)。