人生から、社会から「再生」のかけらを見つける日々

真木あかりさんの、2024年「甘辛占い」

2024年、注目すべき星の動きは「破壊と再生の星」と呼ばれる冥王星の移動です。「破壊」というワードに世紀末を連想してしまった方もいらっしゃるかもしれません。胸を離れない心配事、どうにか奇跡が起きてほしいと切望していることがある場合、言葉はときにその意味以上の力で突き刺さります。言葉を刃にしないように、活かしていけるように、私は冥王星について「変容の星」と呼ぶことも多くありました。変容、姿かたちが変わること。当初のものではなくなること。「破壊と再生」は、「変容」なのです。ただ、2023年が終わろうとする今、私はあえて「破壊と再生」と使ってみたいと思うのです。なぜなら、2024年以降に私たちが生きるのは「再生」の世界であり、「今思えば、こうなってよかったね」と思う世界だからです。

冥王星は遠い星です。西洋占星術では、地球からの距離が近いほど日々の生活に、ビビッドに影響を与えると考えます。たとえば月ならデイリー、太陽ならマンスリーの出来事や心境に影響が及びます。もう少し遠い木星なら年間の幸運を司り、土星は2〜3年かけて取り組む「試練」を与えてくれます。この「期間」は、ひとつの星座に滞在する期間であり、同じテーマが投げかけられ続けます。遠ければ遠いほど長いので、冥王星は12〜38年、ひとつのテーマに「破壊と再生」を投げかけるのです。

冥王星が管轄するのは、欲望や大きな力、金融といったもの。山羊座に滞在を始めた2008年以降、山羊座が象徴する「権威」「伝統」「組織」「社会」といったテーマは、大きく変容しました。ベンチャー企業にもスポットライトが当たり、人材の流動性は大きく向上しました。長時間労働やハラスメントなど、企業の「膿」のような部分は、法や個人の声によって是正される流れが一気に起きています。これが「破壊」です。ほかにも、終わりの段階で振り返ってみて初めて認識できる「破壊」と、「再生」したものに、2024年以降はいくつも出合えることでしょう。

そう、冥王星が影響を与える出来事は、必ず「再生」とセットであり、世の中はよくなります。人間は決して賢いばかりの存在ではありませんが、過去に学ぶ生き物です。壊れてめちゃくちゃになっておしまい、ということはありません。冥王星は1月21日に山羊座から水瓶座へ移り、逆行という動きによって9月2日、山羊座に戻ります。そして11月20日に再び水瓶座へ移動、2044年まで水瓶座に影響を与え続けます。水瓶座は改革とテクノロジーの星。それらのなかで生まれたひずみや膿が、ここから出されていくことになります。日常的に冥王星を感じることはないと思いますが、移動のタイミングでは世の中に印象的なことが起こりやすくなります。

ずいぶんと長い時間にスポットライトを当ててしまいました。ここからは、2024年に焦点を当て直します。

年間の運勢を司る木星は、5月26日に牡牛座から双子座に移動します。牡牛座に滞在する間は、世の中的に金銭や所有に注目が集まります。木星は「幸運と拡大の星」と呼ばれ、滞在する星座のテーマを大きく膨らませます。はからずも現在は物価高騰!人件費高騰!となっているわけですが、長らく上がっていない給与所得も上がってほしいものです。個人レベルでは、「五感で豊かさを感じる」ことが幸運のカギ。心地よい質感の服、とびきりおいしい食事、うっとり見つめる美しいもの。あなたなら、どういったものを思い浮かべるでしょうか。それらに触れて心豊かに過ごすことで、時代の波にうまく乗っていくことができます。

木星が牡牛座の次、双子座に移動すると、コミュニケーションや知的活動、移動、といったテーマに世の中の注目が集まるようになります。牡牛座は安定を好む「地の星座」で、双子座は柔軟で軽やかな「風の星座」。フワッと雰囲気が軽くなるのを、誰もが感じられることでしょう。2023年、リスキリングというキーワードが話題になりましたが、仕事を語るうえでそうした学びの有無がこれまで以上に重視されるかもしれません。オンライン講座やセミナーを受けたり、仲間同士で勉強会をしたりするのはいかにも「双子座的」です。移動も双子座の管轄ですから、ちょっとしたショートトリップやホテルステイもブームとなりそうです。

「風の星座」という名前から、久しぶりに「風の時代」という言葉を思い出した方もいらっしゃるでしょうか。2020年末、水瓶座で木星と土星が重なる「グレート・コンジャンクション」という星のイベントがありました。通常、20年おきに起こる現象ですが、2020年の場合は200年に一度の、エレメントの切り替えどきでもありました。過去200年は土の星座で起こっていたグレート・コンジャンクションが、向こう200年は風の星座で起こるようになるのです。2024年の冥王星移動は、その「風の時代」の始まりの続き。2026年までは、「風の時代」を思わせるような変化がたびたび、世の中をにぎわせるようになるでしょう。人によっては、2020年末から2023年春にかけてかかわってきたテーマと再び向き合っているように感じるかもしれません。

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