古都ローマにルーツを持ちながら、モダンなクリエーションを生み出し続けるブルガリ。アイコンジュエリーに見る、美学の本質とは?
20代で買うなら
フォーチュンアニマルである蛇をモダンに表現したコレクション。フォルムが美しいゴールドのリングには、頭と尾にダイヤモンドが輝く。しなやかなつくりはブルガリならでは。
「セルペンティ ヴァイパー」リング〈K18PG、ダイヤモンド〉¥539,000/ブルガリ ジャパン(ブルガリ)
50代で買うなら
古代ローマ時代のコインをジュエリーに仕立てた、創造性あふれるコレクション。まとえば"永遠の都"へのロマンをかき立てられる。トップを引き立てるよう、シンプルに仕上げたデザインが粋。
「モネーテ」ネックレス〈K18PG、シルバーコイン〉¥2,805,000/ブルガリ ジャパン(ブルガリ)
知性とスタイルのある大人にふさわしいジュエラー
本間(以下H) 岡部さんが選んだのは「セルペンティ ヴァイパー」のリング。ブルガリを象徴するコレクションのひとつですね。
岡部(以下O) 昔から蛇のモチーフに目がないんです。日本だと好き嫌いが分かれますが、少し毒のあるデザインには無条件で惹かれてしまいますね。
H 生粋のモード好きの岡部さんらしい。ちなみにヨーロッパでは、古来から知性や生命力の象徴として親しまれてきました。日本でも、蛇のジュエリーは昭和の時代から多く作られてきたのですよ。
O そうなんですね! さまざまな解釈があるモチーフですが、ブルガリの場合は極めてモダン。今回選んだリングは、立体感のあるディテールが美しい。
H 力強いデザインもさることながら、高い彫金の技術も見事。指にフィットするしなやかなつくりが素晴らしいですよね。
O ブルガリのジュエリーには、イタリアの歴史や伝統といったストーリーが詰まっているのが魅力。本間さんが選んだ「モネーテ」は、本物のローマ時代のコインを用いているのですから、驚きます。
H 「モネーテ」は1960年代から続くコレクション。創業者ソティリオ・ブルガリの孫であるニコラ・ブルガリは、世界でも有数のコインの蒐集家として知られていました。ヨーロッパでは、古代ローマのコインを集めるというのは非常に高尚な趣味なんですよね。「モネーテ」のジュエリーに使われているコインをよく見ると、何年に製造されたものなのか、誰が描かれているのかといった細かい情報も記載されているんですよ。
O ローマにルーツを持つジュエラーならではの、歴史情緒にあふれた作品ですね。数あるハイジュエラーの中でも、ブルガリを身につける人って特に個性が強いイメージがあります。トレンドに流されないスタイルを持っているというか。
H 確かに! イタリアらしいデザイン美学が強く打ち出されているからでしょうか。世代を問わず、自分の好きなものが明確にある人にふさわしいジュエラー。
O 個人的にはブルガリのカラーストーンを使ったジュエリーの大ファン。若いうちはアイコンジュエリーをデイリーに使いつつ、いつかエメラルドかルビーのハイジュエリーを手に入れたいと夢見ています。
H 理想的な歳の重ね方! 将来が楽しみですね!(笑)
Profile
本間恵子
時計・ジュエリー専門ジャーナリスト。ジュエリーデザイナーという経歴に基づく鋭い目利きと、圧倒的な知識を武器に、メディアでの執筆やテレビ出演など幅広く活躍するエキスパート。
岡部駿佑
美しいものをこよなく愛するエディター。専門分野はランウェイとジュエリー&ウォッチ。SPUR.JPでのYouTube連載も好評。デジタルとプリントを横断して活動。
※この特集中、以下の表記は略号になります。PG(ピンクゴールド)
SOURCE:SPUR 2021年9月号「人生100年時代のジュエリー」
photography:Masanori Akao〈whiteSTOUT〉 styling:Lisa Sato〈bNm〉 text:Shunsuke Okabe