眼福ジュエリー図鑑 vol.12 TASAKI

TASAKI COLLECTION LINEを手がけるのはタクーン・パニクガル。斬新な発想でパールにフレッシュな風を吹き込む。モード感あふれるクリエーションから目が離せない。

タクーンのデザインがパールジュエリーを変える

2009年にTASAKIの初代クリエイティブ ディレクターに抜擢され、一躍ジュエリー界の注目の的となった、タクーン・パニクガル。代表作“バランス”に象徴されるモダンでエッジィなセンスが、クラシックな印象だったパールジュエリーのイメージを一新した。それから10年余り。彼の独創的なデザインは時代に合わせて進化しながら、TASAKI COLLECTION LINEに存分に発揮されている。クリエーションに流れる、相反する要素同士のミックス&マッチ感覚や、ユーモアや毒を感じさせる刺激的な表現は、現在のファッショントレンドに呼応するもの。だからこそ、シンプルな服のスパイスとして、また個性のシンボルとして、特別な存在感を発揮する。大胆な発想とそれを実現する高度な技術の融合によって、日常的に楽しめるスタイリッシュなジュエリーが生まれるのだ。

大きな葉に連なるスズランの花。バロックのあこや真珠と、プラチナコーティングを施したホワイトゴールドにちりばめた、ダイヤモンドの輝きで表現している。今にも歌いだしそうに見える4輪の花のユーモラスで愛らしい姿は、自然の美を忠実に再現してきたハイジュエリーの定石とは一線を画している。タクーンの独創性に満ちた、モダンな世界観を持つデザインだ。一方でこのピースは、ハイジュエリーならではのクラフツマンシップによって制作されている。ひと粒ずつ形の違うバロック真珠に、個性的な表情や軽やかな動きを与えるのは、職人の手だ。

“コーラス ヴァレー”リング〈K18WG/Ptコーティング、バロックあこや真珠、ダイヤモンド〉¥6,700,000/TASAKI

その名のとおり、危険を秘めた鋭い牙を持つ奇想の植物をモチーフに、フェミニンなパールとのミックス&マッチが楽しめるシリーズ。まるで食虫植物が獲物をとらえた瞬間のような、緊張感と毒気をはらんだデザインだ。パンキッシュなあり様は、美しいだけのジュエリーに飽き足らない女性の気持ちを代弁するかのよう。イエローゴールドの牙は一本ずつ職人の手で整えられ、どの方向から見ても美しく見える角度に配されている。パールの見事なセッティングにも注目。

“デインジャー”[上]リング〈K18YG、あこや真珠〉¥240,000・[下]ピアス〈K18YG、あこや真珠〉¥240,000/TASAKI

※この特集中、以下の表記は略号になります。WG(ホワイトゴールド)、Pt(プラチナ)、YG(イエローゴールド)

SOURCE:SPUR 2020年3月号「眼福ジュエリー図鑑」
photography: Masanori Akao 〈whiteSTOUT〉 styling: Yumi Takashiba edit: Michino Ogura text: Hiroko Naruse

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