洗練されたデザインで、モードラバーから高い支持を集めるジュエリーブランド、オーを手がける高田佳代子さん。最近新築したという自宅で、大きな木製のジュエリーボックスを見せてもらった。中を覗き込むと、幅広い年代の腕時計のコレクションがずらりと並ぶ。
「初めての腕時計はシャネルの『J12』。高校生の頃に母から贈ってもらったものです。スポーティかつエレガントな印象で、どんなスタイリングにも合うので、購入してから20年近く経った今でも登場頻度が一番高い一本です」。
コレクションの中でも、特に思い入れのある8本を紹介してもらった。シャネルの「プルミエール」やロレックスの「オイスター パーペチュアル」、エルメスの「Hウォッチ」など、アイコニックなモデルに加え、カルティエの年代物が存在感を放つ。
「時計とジュエリーは、もっぱら祖父母や両親から受け継いだものが多いです。祖父が生粋の伊達者だったこともあり、カルティエのは特に思い入れがあります。『ベニュワール』や『トリニティ』など、今見ても古臭さを感じさせない、タイムレスなデザインに惹かれます」。
聞くと、ジュエリーブランドを始めるきっかけになったのも祖父からの影響だという。昔譲り受けたダイヤモンドのネクタイピンをリフォームして作ったというリングを眺めながら、世代を超えて愛される腕時計の魅力を語ってくれた。
「ジュエリーや腕時計は、買った時が完成形じゃないんですよね。買ってから使い続けていくうちに、少しずつ傷がついて、メンテナンスして。そうして経年変化を経てようやくキャラクターができる。それを次の世代にバトンとして渡すことで、また新しいストーリーができる。私も今大切にしている腕時計を、いつか自分の子供に託したいなと思いながら日々使っています」。