名品と呼ばれる時計の、背景にある物語にフォーカスする連載の第4回。今回はエルメスの「ケープコッド」に着目してみよう。
名品と呼ばれる時計の、背景にある物語にフォーカスする連載の第4回。今回はエルメスの「ケープコッド」に着目してみよう。
1991年の誕生以来ベストセラーとなっている「ケープコッド」。発売から30年以上たった今も、魅力が色褪せることはない。人気モデルのラインナップと、これまであまり知られてこなかった作品の背景を通して、その秘密にせまる。
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エルメスの時計、誕生の歴史
利便性と美しさを両立した独自の時計づくり
1928年、エルメスはメゾンを象徴するモチーフを配した時計を、フォーブル・サントノーレ24番地の本店で発表。時計製造に乗り出した。スイスの名だたるウォッチメーカーによるムーブメントを搭載した時計に、ストラップを中心とした皮革のパーツを組み合わせたモデルは、伝統的なサヴォワールフェール(職人の技)を持つメゾンの特性を生かしたものだ。
1930年頃には、手首の振動による時計機構のダメージを避けるために、「ベルト・ウォッチ」や「バッグ・ウォッチ」が作られた。また世界中のタイムゾーンを表示する旅行時計も、いち早く誕生。このような独創性は、今日まで貫かれている。
エルメスの時計製造の背景を探る
1978年エルメスはスイス時計産業の中心地ピエンヌに、時計専門の子会社「エルメス・オルロジェ社」を設立した。それ以降徐々に時計製造の専門技術を取り込みながら、独自の時計コレクションを創り上げてきた。ひとつの時計が完成するまでの過程を、簡潔にふりかえってみよう。









