#5 デビュー3年目の正直【ティファニー】 

2017年に登場した「ティファニーハードウェア」コレクション。そのパンチの効いたデザインを初めて見たときは驚いた。従来のクラシックでエレガントなブランドイメージとは一線を画している。中でもアイコンの「リンク」モチーフをつなぎ合わせた重量感あるゴールドネックレスは、初期のヒップホップカルチャーをほんのりと感じさせる仕上がりだ。80年代後半にソルト・ン・ペパやネナ・チェリーが首からぶら下げていた、ブリンブリンのチェーンを彷彿させる。

ニューヨークの街にインスパイアされたコレクションと知り、合点がいった。現代を生きるタフな女性像とストリートなムードが見事に重なり合うデザイン。それでいて、ハイジュエリーとしての気品も忘れない。鮮烈な印象を放つそのネックレスに、心をギュッとわしづかみにされた。けれども、とても衝動で買えるような値段じゃない。「いつかは……」と思いながらも、そのまま心のどこかに置いてきぼりになってしまっていた。

3年が経った今、ティファニー熱が再燃したきっかけは、インスタで偶然見つけたゾーイ・クラヴィッツのストリートスナップ。黒髪のピクシーカットにスキニーサングラス姿の彼女は、(それだけでも十分クールなのだが)白Tシャツとブルーデニムのシンプルな組み合わせに、あのネックレスをさらりと重ねづけしていた。ピアスや指輪もゴールドで統一され、小麦色のヘルシーな腕にはいくつものミニマルタトゥーが刻まれている。とびきりリュクスなジュエリーをとことんラフにまとう彼女のスタイルがカッコよすぎて、今すぐ完コピしたいと思った。

ゾーイに触発され、3年目の正直とばかりに店頭へ足を運んだ。お目当てのネックレスを実際に合わせてみると、幸か不幸かゴールドよりもシルバーの方がしっくりきた。値段的なハードルが下がり、心の中で「買います!!!」と連呼しながらも、一度冷静になろうとその日は退散。結局のところ、まだ買えていない。こんなことをうだうだと綴っていると「本当に欲しいの?」と責められそうだが、喉から手が出るほど欲しい。あとは、誰かに背中を押してもらえばいいだけだ。

ネックレス〈スターリングシルバー〉¥235,000
ネックレス〈スターリングシルバー〉¥235,000

ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク
https://www.tiffany.co.jp/
0120-488-712

illustration:Uca text:Eimi Hayashi

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