うさぎのジュエリーといえば、最も印象に残っているのは、アリータのラビットピアス。イエローゴールドでミニマルにかたどられた、耳たぶにぴたりとフィットするモダンなうさぎにひとめぼれした。うさぎというだけで十分可愛いのに、しっぽには一粒の淡水パールがちょこんとあしらわれて、愛らしさがフルスロットルしている。「歳を重ねるほどチャーミングにならなきゃ」というどこかの誰かが言った名言が、脳内をぴょんぴょん飛び跳ねる。シングルピアスなので、右耳にはブランドの人気シリーズの恐竜ピアスを合わせるのはどうだろう。「わたし、半分は草食だけど、もう半分は肉食なんですよ」といわんばかりのユーモアをさりげなく表現したい。
連日の厳しい寒さで、伸びきったロングヘアをアレンジする気力もなく、最近はつねに髪をバサッとおろしたまま。気がつけば、ピアスをつける機会がめっきり減ってしまった。NHK大河ドラマ『どうする家康』で、織田信長の軍勢に囲まれ窮地に追い込まれた松本潤さん扮する元康(のちの徳川家康)の髪型を見て、「あ、似てる」と思ったばかり。寒さに負けず、たまには髪をアップにまとめて、耳もとをプレイフルに飾ってみようと思う。
アリータのファッショナブルなうさぎを見ていると、ふと忘れかけていた昔の記憶が蘇ってきた。そういえば小学生のときに飼育委員をやっていて、本物のうさぎの世話を任されたことがあったっけ。世話といっても昼休みに餌をやり、水を交換する程度だったが、飼育当番だけがうさぎ小屋に入れるという特別感がうれしく、やりがいもあった。当時学校で飼っていたのはメスの白いうさぎとオスの灰色のうさぎで、避妊も去勢もされていなかったのだろう。白うさぎは私が飼育委員をしていた数ヵ月の間に何度か身ごもり、赤ちゃんを出産した。新しい命との出会いには感動したが、中には生まれてすぐに死んでしまう子もいた。とんでもないスピードで次から次へと赤ちゃんが生まれてくる状況に、子どもながらに危機感を持っていたことをうっすらと記憶している。
大人になったいま気がかりなのは、あのときたくさん生まれた赤ちゃんうさぎが、その後どうなったのかということだ。繁殖力の高いメスとオスを同じ小屋で飼育し続けていた学校側のずさんな管理体制に疑問を抱きつつ、すっぽりと記憶から抜け落ちてしまった赤ちゃんうさぎのその後が、今さら気になって仕方がない。最近は小学校教員の負担を減らす目的や感染症への対応などもあって、小学校からうさぎがいなくなっているらしい。子どもたちが動物と触れ合い、命の大切さを学ぶ機会が減ってしまうのは残念だが、ケアの行き届かない環境で出産をさせられるくらいなら、もっと幸せな環境で生涯を全うしてもらいたいものだ。アリータうさぎの愛らしさに目を細めながら、そんなことをぼんやりと考えてしまった。