旅立つ君に花束を【MIKIMOTO】#90

旅立つ君に花束を【MIKIMOTO】#9の画像_1

胸元に、一生枯れることのない花束を。視線の先にあるのは、MIKIMOTOのブローチ。アコヤ真珠とシルバーでかたどった花々が、凛と華やぐ。片手に収まるくらいの小さなブーケは、ちょうど500円玉くらいのサイズ。手のひらに乗せて覗き込むと、花びらや茎のしなやかさが丁寧に表現されているのがわかる。

パールの花びらをつけた五弁の花は、清楚なウメバチソウのよう。シルバーにきらめく四弁花はクレマチスだろうか。コロンと丸くて白い花は、千日紅? 花瓶に生けたら、生命を吹き込まれたようにみずみずしく咲き誇りそうな気さえする。

宝石でできた草花といえば、宮沢賢治が綴った短編『十力の金剛石(虹の絵具皿)』だ。ある霧の深い朝、王子と大臣の子が、虹の足もとにあるという「ルビーの絵具皿」と、山の頂上にあるという金剛石(ダイヤモンド)を探しに森へ入る。2人はそこで、きらびやかな宝石でできた草花に出会うのだが、その美しい花たちはなぜか「かなしい。さびしい。十力の金剛石がまだこない」と歌う。「十力の金剛石とはなんだろう?」2人が不思議に思っていると、それはついにやってくる。十力の金剛石が丘に降り注ぐと、宝石の草花は呼吸を始めたようにやわらかな色彩を帯び、本当の草花に変わっていく。十力の金剛石とは露であり、水のことだったのだ。生命の尊さに気づいた2人は、思わず草の上にひざまずく。

王子と大臣の子が丘を下って帰る途中、行きと同じようにサルトリイバラの棘が王子の服に引っかかる。でも王子はそれを煩わしく思って剣で切ってしまうようなことはもうしない。かがんで静かに棘をはずす少年に成長し、物語は終わる。『十力の金剛石』は、宮沢賢治の作品の中で最も好きな話のひとつ。自分の息子たちにも、王子のように命の重みを感じられる、やさしい心を持ってほしい。彼らがもう少し大きくなったら、読んで聞かせたいと思っている。

旅立つ君に花束を【MIKIMOTO】#9の画像_2
ピンブローチ〈アコヤ真珠〉¥67,100

いつまでも幼いと思っていた息子も、この春から小学生になる。毎日の園バス送迎もあと数えるほどしかないと思うと、心の奥がキュッとして切ない。子の成長を感じる瞬間は、よろこばしくもあり、同時にさびしくもあるものだ。

毎朝園バスを待っていると、いつも同じ時間にひとりの女子高生に会う。彼女とあいさつを交わすのが、気づけば私たち親子の日課になっていた。「おはよう」と言い合い、少しだけ立ち話をして、バスがきたら「いってきます」「いってらっしゃい」と言って別れる。雨の日も風の日も、真っ赤な傘を差して、弾けるような笑顔で駆け寄ってきてくれる。そんな彼女もこの春には高校を卒業し、地方の看護大学へ進学する。それぞれが、新たな旅立ちのときを迎えようとしている。

園バスがくるまでの束の間、私と息子と彼女が交わした言葉の数々。「今日は寒いね」「好きな食べ物は?」「いつもイヤホンで何を聴いてるの?」「気をつけてね」「頑張ります」。たわいない会話だったけれど、振り返って集めてみたら、花束のようなかけがえのない時間だった。ひとつひとつの言葉が宝石のように光って、まるで十力の金剛石のように心の中に降り注ぐ。

周囲を明るく照らすチャーミングな彼女には、MIKIMOTOの可憐なブローチがよく似合いそうだ。入学式のまだ少しあどけなく、ぎこちないスーツ姿に、小さなブーケのきらめきを思い描く。彼女ならきっと素晴らしい看護師になるに違いない。どこか親心にも似た思いがにじむ。胸元にも、心の中にも、一生枯れない花を咲かせて。未来へ旅立つ君に今、とびきりの花束を贈ろう。

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