ルイ・ヴィトンのモノグラム。メゾンのイニシャルと幾何学的な花柄(モノグラム・フラワー)を組み合わせたそのモチーフには、憧れを抱くよりも先にノスタルジーを掻き立てられる。それは、昔母が愛用していたモノグラム・キャンバスのショルダーバッグを思い出すから。
鏡の前で紅をさし、きれいな服に着替えてそのバッグを持つ母を見ると、子どもだった私まで心が躍った。もしかしたら、どこか“いいところ”に連れて行ってもらえるのかもしれない。もしも行き先が百貨店で、母が買い物している間ちゃんとお利口にしていたら、母は気をよくしてリカちゃん人形に着せる新しい服を買ってくれるかもしれない。そう思ってワクワクしたものだった。
ルイ・ヴィトンのモノグラムは、母がそうであったように、幼い私にとっても特別なものだった。みんなを幸せにする魔法の道具。ドラえもんのタイムふろしきに匹敵するくらいのシロモノだ。
こんなときこそ、スマートな答えを瞬時に引き出してくれると噂の生成AIに問うてみる。回答はこうだ。
「純愛とは、邪心のない、ひたむきな愛のこと。定義としてはほかに『その人のためなら自分の命を犠牲にしてもかまわないというような愛』『肉体関係を伴わない愛(プラトニック・ラブ)』『見返りを求めない愛(無償の愛)』などがある」
なるほど、邪心のない愛ですか。確かにこの一番星のように可憐に輝くピアスからは、邪心など微塵も感じられない。それどころか、これひとつ身につけてさえいれば、あらゆる煩悩を払い除けてくれそうだ。
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。