不惑を迎え、それなりに生きていると、いろんなことが起こる。それに合わせて、いろんな花を贈ったり、逆にもらったりすることがある。「おめでとう」の花、「さようなら」の花、「ありがとう」の花、「おつかれさま」の花。
「ごめんなさい」の花に遭遇したこともある。友人宅でのホームパーティに呼ばれたときのこと。仕事の都合で1時間ほど遅れてきた男性が、「ほんのお詫びの気持ちです」と言って食卓の真ん中に添えたのは、ガラスの小瓶に挿した白いムスカリの花だった。料理の邪魔をしない、控えめで愛らしい姿に、その場にいた全員の心が和んだ。花は、ときに言葉よりも雄弁だ。
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。