東京のBIOTOPで出合った、BY PARIAH(バイ パーリア)のリング。小指につけてみたとき、欠けていたパズルのピースがはまったような感覚があって、ああ、自分が求めていたのはこれだったんだなと確信した。
直線と曲線を組み合わせたジオメトリックなシェイプの地金に、細長くカットされた天然石が、まるで自分の居場所を見つけたかのようにぴたりと収まっている。ボツワナアゲートという深緑のその石は、光を透過すると鮮やかな青や緑に変化し、シャープな意匠の中に見る神秘的な揺らぎにハッとさせられる。14Kリサイクルゴールドのミニマルなラインに挟まれることで、石はいっそう深く、凛とした表情を見せ、手もとに知性を宿す。
昭和初期に人気を博したというシベリアは、今ではほとんど見かけることがない。「戦後」といわれる今の時代を生きている私は、自分の指にシベリアを彷彿させるリングを添えたいと強く思っている。この世界のどこかで、今この瞬間も戦争で犠牲になっている人たちがいることを知りながら、飢えに苦しむ子どもたちがいることを知りながら、私は彼らにコップ1杯の水を与えることもせず、自分自身を飾るためのジュエリーに投資しようとしている。いったい何のために?
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。