1938年、エルメスの4代目社長であるロベール・デュマは、停泊中の船の錨(いかり)につながれた鎖の美しさに魅了され、メゾン初のシルバージュエリーへと昇華させた。「シェーヌ・ダンクル(錨の鎖)」と名付けられたそのブレスレットは、誕生から90年近く経った今も、世界中の人びとを魅了し続けている。正真正銘、世代を超えて愛され続けている名品だ。
今手もとにほしいのは、シェーヌ・ダンクルのコマをリズミカルに繋ぎ合わせてリングにした、「シェーヌ・ダンクル・アンシェネ」のPM(プチモデル)。シルバーのクリーンな輝きに憧れつつ、人肌恋しい季節も相まって、ゴールドの温もりに無性に惹かれている。
ピンクゴールドのやわらかな艶めきと軽やかな意匠が、控えめながら視線を捉えて離さない。立体的なフォルムは指に心地よくフィットし、実用美を極めている。移りゆくトレンドとは一線を画した、普遍的な魅力を放っている。
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。

