2024年が終わろうとしているのに、ぜんぜん終われやしない。幻の13月よ、何処へ。まだまだ昇り竜でいたいのに、ガラガラヘビがやってくる。「締め切りだ、締め切りだ」とけたたましい音をたてながら、もうすぐそばまできている。
さて、ジュエリー界のヘビの話をしよう。もちろんそれはローマのヘビ、つまり「セルペンティ」のことだ。柔軟性に富んだブレスレットウォッチとして発表されたのが1948年。以来75年以上の時を経てもなお、褪せるどころか輝きを増し続けている、いわずと知れたブルガリのアイコンモチーフだ。
ローマの職人の手仕事により、セルペンティは時代とともに姿形を柔軟に変えてきた。それこそ、ヘビが脱皮するように。近年モダンに再解釈され、誕生したのが「セルペンティ ヴァイパー」。装飾を削ぎ落としたミニマルで抽象的な佇まいは、現代を生きる私たちに軽やかに寄り添う。
連載「寝ても覚めてもきらめきたいの」:SPURエディターがパーソナルな感情とともに綴るジュエリーエッセイを堪能して。