【カルティエ】の時計・「タンク」​​|人生を彩る名品図鑑

メゾンの卓越したクラフツマンシップ、比類なき完璧なデザイン、素材への飽くなき追求……。時代を超えタイムレスな輝きを放つ名品には必ず、“愛され続ける理由”がある。連載「人生を彩る名品図鑑」では、そんな名品が名品たる所以を徹底解剖。ジュエリー、ウォッチ、インテリア、スイーツまで、多彩なジャンルの名品の魅力をクローズアップする。


今回紹介するのは、カルティエの時計・「タンク」。

イノベーティブにしてエターナル。時を刻むアートピース

戦車からインスパイアされた唯一無二のデザイン

タンク カルティエ
© Cartier

1917年に誕生した、カルティエが誇るアイコンウォッチのひとつ、「タンク」。戦車を上から見た時の構図に着想を得てデザインされたこのウォッチは、平行に伸びる2本の縦枠をキャタピラーに、ケースを操縦席に見立てたグラフィカルなルックスが特徴。ブレスレットから続く乱れのないストレートラインを、ケースとラグまで真っ直ぐと繋げていくそのシンプルな佇まいは、まさにタイムレスな美しさ。絶妙な黄金比で描く長方形のフォルムはユニセックスな魅力に溢れ、自由とエレガンスにジェンダーは関係ないことを静かに訴えかける。

新しい芸術様式をリードした、ルイ・カルティエの革新的なアプローチ

タンク カルティエ
© Cartier

この完璧なデザインを生み出したのは、メゾンの3代目当主であるルイ・カルティエ。タンクが誕生した20世紀初頭は装飾的な芸術様式、アールヌーヴォーの全盛期。しかし彼はあえてこの時代にアールヌーヴォーからの脱却を目指し、当時流行していたラウンド型ウォッチではなく、直線的でシンプルなデザインのタンクを発表した。その力強いデザインは芸術・文化の世界で称賛され、のちに1920年代から主流となる幾何学的な芸術様式、アールデコの先駆けとなったとも言われている。

そんな芸術の世界にも影響を与えたマスターピース・タンクは、ディテールも遊び心たっぷりだ。象徴的なローマ数字や、鉄道の線路を想起させる分目盛り、サファイアカボションがあしらわれた上品なリューズなど、どれを取ってもルイ・カルティエの抜かりない美学が宿されている。

時代に流されることなく自らのセンスを信じ、それを見事な形にしてみせた稀代のクリエイターでもあった、ルイ・カルティエ。そんな彼の革新的なアティチュードにより生まれたタンクを身につける時、私たちは自然と背筋が伸び、挑戦的になり、自信を持つことができるはず。イノベーティブなマインドをセットしてくれる、究極のモダンウォッチ。それこそがタンクの真髄と言えるだろう。

時代ごとに“自由とエレガンス”を表現した、多彩なコレクション

タンクが100年以上愛される理由は、豊富なコレクション展開にもある。タンクはこれまで、時代に合わせて洗練性を追求した特色あふれるコレクションを、次々と生み出してきた。そしてどのコレクションにおいても一貫して、その時代における“自由とエレガンス”を表現している。

「タンク ルイ カルティエ」(1922年)、「タンク アメリカン」(1989年)、「タンク フランセーズ」(1996年)、そして「タンク マスト」(2021年)——ここからは、現在もブティックでラインナップされているこの4つのコレクションのそれぞれの特徴と魅力を解説しよう。

初代タンクのデザインを受け継ぐ、「タンク ルイ カルティエ」(発表:1922年)

タンク ルイ カルティエ
© Cartier

初代よりも縦枠が細長く伸び、ルイ・カルティエ自ら愛用したモデルでもある「タンク ルイ カルティエ」。レクタンギュラーのフォルム、大胆なストレートライン、丸みを帯びたアタッチメントの角。タンクのデザインの原点でもあり、アールデコの先駆けとも言えるこのモダンなディテールに、ルイ・カルティエの才気が見て取れる。ブレスレットはエレガントなレザーを採用し、文字盤はローマ数字の他、印象がガラリと変わる、インデックスのないモノクロームモデルも用意。エターナルな魅力に満ちたこのコレクションは、クラシカルスタイルを愛する人におすすめだ。

力強さとエレガンスを追求した「タンク アメリカン」(発表:1989年)

タンク アメリカン カルティエ
© Cartier

「タンク サントレ」(1921)を着想源として1989年に発表された、「タンク アメリカン」。アメリカ文化に根付く自由とシックなスタイルを表現したコレクションで、湾曲させた美しいレクタンギュラーケースと、コンパクトなフォルムが特徴。強さとエレガンスを両立させたウォッチで、しなやかで自立した女性像を描きだす。2023年には、さらにそのラインの力強さを高めた新モデルが登場。ブレスレットはレザーとメタル、ケースはゴールドとスティールをラインナップ。アートピースと呼ぶにふさわしい、ダイヤモンドをセットしたプレシャスモデルも用意している。

マスキュリンでいてフェミニン。気品をまとった「タンク フランセーズ」(発表:1996年)

タンク フランセーズ カルティエ
© Cartier

タンク史上初となる、アーチ状のケースとなめらかに一体化したメタルブレスレットを採用した「タンク フランセーズ」。男女ともに人気の高いコレクションで、身につける人によってマスキュリンにもフェミニンにもキマるモダンなデザインは、ジェンダーレスな価値観が広まる今の時代のムードにもマッチする。2023年にはデザインが進化。縦枠は丸みを帯びたデザインで仕上げ、文字盤は光の当たり方により色味が変化するサンレイエフェクト仕様。ブレスレットをよりしなやかに仕上げるなど、細やかなアップデートが効いている。

伝統と革新を両立。新時代を切り開く「タンク マスト」(発表:2021年)

タンク マスト カルティエ
© Cartier

1970~80年代のカルティエを象徴する「レ マスト」のラグジュアリーな世界観を再解釈し、2021年に誕生した「タンク マスト」。ケースは薄型に、縦枠は丸みを持たせ、さらに文字盤のプロポーションをモダンに再解釈することで新しいタンクの表情を完成させている。またクォーツ、自動巻きの他に、先進的なソーラームーブメント搭載モデルも登場。モダンなアプローチの一方で、レザーストラップのモデルには、パール状カボジションのリューズや伝統的なアルディロンバックルを復活させるなど、伝統と進化を織り交ぜたデザインの妙も光る。クラシカルながら新しい時代の流れも汲む、“新時代のタンク”だ。

タンクを愛した各界のセレブリティたち

その革新的でモダンなデザインで、これまで性別を問わず多くのファン、通称“タンキスト”を得てきたタンク。俳優、歌手、芸術家、スポーツ選手など、各界のセレブリティにも愛用者は多く、身につける姿が写真に収められている。そんな豪華なタンキストの面々を、彼らのタンクにまつわる逸話と共に紹介!

カトリーヌ・ドヌーヴ

カトリーヌ・ドヌーブとカルティエ
© Cartier

フランスの名女優カトリーヌ・ドヌーヴは、若かりし頃から現在に至るまで、タンクを着用する姿が記録されている。ゴールドのタンクをつけたこちらのポートレートは、1984年撮影のもの。2023年1月に「タンク フランセーズ」の新作が発売された際には、ガイ・リッチー監督作のキャンペーンフィルムに登場し話題を集めた。

アンディ・ウォーホル

アンディ・ウォーホルとカルティエ
© Cartier

ポップアートの旗手、アンディ・ウォーホルは、タンクを愛用する中で一度もぜんまいを巻き上げることがなかったという驚きのエピソードが。「私がこれを身につけるのは、時間を知るためではないのです」とも語っており、タンクを単なる腕時計ではなく、芸術作品として捉えていたことがうかがえる。

パティ・スミス

パティ・スミスとカルティエ
© Cartier

NYパンクの女王、パティ・スミスもタンキストのひとり。ライブ中に革ベルトの(!)タンクをつけて演奏する姿が撮影されている。

アラン・ドロン

アラン・ドロンとカルティエ
© Cartier

ドヌーヴと同じく、フランスを代表する名優のアラン・ドロンも、タンクの愛用者。ドロンとドヌーヴの初共演作『リスボン特急(1972年)』の撮影現場で「タンク アロンディ」を身につけていたところ、監督のジャン=ピエール・メルヴィルも全く同じものをつけていたというエピソードが残っている。

モハメド・アリ

モハメド・アリとカルティエ
© Cartier

伝説のボクサー、モハメド・アリの左手首には、いつだってタンクの姿が。とりわけ革ベルトのエレガントなタンクを愛用していたことで知られている。強靭な肉体のアリがタンクを知的につけこなす姿は、男性たちの憧れの的でもあった。

今こそ手に入れたい! SPUR.JPが注目するタンク6選

揺るがない価値をもち、いつの時代も気品と自信、洗練をくれるタンク。あなただけの一本を求めて、SPUR.JPが厳選したタンクカタログをチェックして。

時代の先を読む、サステイナブルなタンク

「タンク マスト LM」ウォッチ〈ヴィーガンレザー、スティール、ケース33.7 × 25.5mm、光起電発電 ソーラービート™〉 カルティエ
「タンク マスト」〈ヴィーガンレザー、スティール、ケース33.7 × 25.5mm、光起電発電 ソーラービート™〉¥522,500 © Cartier

「タンク ルイ カルティエ」 の系譜を継ぐ、クラシカルなルックス。光起電発電 ソーラービート™ムーブメントと、ヴィーガンブレスレットを採用したサステイナブルな作りも魅力。

ダイヤモンドとカーフスキンでラグジュアリーを極める

「タンク マスト SM」ウォッチ〈カーフスキン、スティール、ダイヤモンド、ケース27 × 22mm、クォーツ〉 カルティエ
「タンク マスト」〈カーフスキン、スティール、ダイヤモンド、ケース27 × 22mm、クォーツ〉¥913,000 © Cartier

ブリリアントカットダイヤモンドをセットした華やかなスティールケースが、エターナルな輝きを放つ。ブラックブラッシュカーフスキンの上質なストラップもたまらない。

シンプルな美しさで使いやすさ抜群

「タンク フランセーズ MM」ウォッチ〈スティール、ケース32 × 27mm、クォーツ〉 カルティエ
「タンク フランセーズ」〈スティール、ケース32 × 27mm、クォーツ〉¥698,500  © Cartier

ブレスレットとケースがなめらかに一体化した、「タンク フランセーズ」のデザイン美を味わえるスタンダードなモデル。“ファースト・フランセーズ”としてもおすすめ。

ゴージャスな手元を演出するハイクラスウォッチ

「タンク フランセーズ SM」ウォッチ〈YG、ダイヤモンド、ケース25.7 × 21.2mm、クォーツ〉 カルティエ
「タンク フランセーズ」〈YG、ダイヤモンド、ケース25.7 × 21.2mm、クォーツ〉¥4,461,600   © Cartier

マスキュリンなフォルムにエレガントなダイヤモンドを添えて。年月とともに気品と風格が増す、一生を添い遂げたいハイクラスモデル。

煌めきをまとった芸術的なルックスに惚れぼれ

「タンク アメリカン SM」ウォッチ〈PG、ダイヤモンド、ケース35.4 × 19.4mm、クォーツ〉 カルティエ
「タンク アメリカン」〈PG、ダイヤモンド、ケース35.4 × 19.4mm、クォーツ〉¥4,804,800  © Cartier

ピンクゴールドのブレスレットにダイヤモンドセッティングのケースを合わせた逸品。その優美な佇まいに誰もが心を奪われる。

圧倒的な輝きでドラマチックに時を刻んで

「タンク アメリカン」〈WG、ダイヤモンド、ケース28 × 15.2mm、クォーツ〉
「タンク アメリカン」〈WG、ダイヤモンド、ケース28 × 15.2mm、クォーツ〉¥8,118,000 © Cartier

ホワイトゴールドのケースとストラップに、ブリリアントカットのダイヤモンドをあしらった壮麗なデザイン。身につけるだけで自信と気品を与えてくれるラグジュアリーな一本。


カルティエ カスタマー サービスセンター
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