婚約指輪や結婚指輪に対する新しい価値観が広がっている。結婚という人生の節目だけではなく、自分へのご褒美に購入したり、シンプルな地金リングとしてデイリーに身に着けたり。ウェディングリングに対するマインドは多様化し、より自由なジュエリーになりつつある。今回は既婚・未婚3人のSPURエディターが人気ジュエラーのブティックへ。リアルなリング選びの体験記をお届け!
【ブシュロン】でマリッジリングに重ねづけするための1本を吟味

デイリーに身につけているシルバーリングやティファニーのエンゲージメントリングとも相性のいいものを探す
SPURデジタルのビューティやSDGsを担当する、エディター本間。2023年11月に結婚し、彼女がマリッジリングに選んだのは、ブシュロンの「キャトル」。2周年を迎えるタイミングに向けて、記念となるリングを検討するため、銀座本店を再訪。「私がマリッジリングに選んだのは、キャトル ラディアントのハーフで、地金はイエローゴールド。記念日に買い足して、思い出とともに重ねていくことができるというコレクションのストーリーが決断の決め手に。今回は、それを叶えるべく、毎日身につけられるセカンドマリッジリングを探したいです!」。

日本のデザインスタジオYOY(ヨイ)が手がけた3階のブライダルフロア。壁に沿って並ぶ、白いレースで覆われた白樺のようなオブジェはウェディングドレスからインスパイアされている
ブシュロン銀座本店は、全4フロアから成り、パリ本店に次ぐ約1000平方メートルの規模を誇る。「初めてブティックを訪れた時と同じ気持ちでワクワクします」と、3階のブライダルフロアへ。店内の優雅な曲線を描くカウンターには、メゾンのアイコン「キャトル」を筆頭に、「ヴァンドーム リズレ」や「ピヴォワンヌ」などのブライダルリングが一堂に揃い、椅子に腰掛けながらゆったりと見ることができる。
ブティックスタッフの方に「普段は地金をミックスしながら重ねづけすることが多く、あくまでファッションリングの一部としてデイリースタイルに馴染むデザイン」という希望を伝え、いよいよリング選びがスタート。

新たに試した「キャトル グログラン リング スモール〈YG〉¥266,200(上・予定価格)」を、手持ちの「ティファニー トゥルー(中)」と「キャトル ラディアント リング ハーフ(下)」に重ねづけ
最初にスタッフの方が見立ててくれたのは、「キャトル グログラン リング」。キャトルとはフランス語で数字の“4”を表し、多色のゴールドを用い、メゾンの歴史を物語る4つのデザインコードを組み合わせていることから命名されたリング。「素敵なエンゲージメントリングもお持ちなので、新たにグログランモチーフのリングを重ねることで、ご自身のマイキャトルを完成させることも」と提案が。「エンゲージメントリングを“サンドする”という発想がなかったので驚きました。華やかでいながら、手もとによく馴染んで見えます。グログランは側面にもビーズワークが施されているから、輝きが違いますね。1本でつけても目を引きます」。

キャトルリングにエメラルドカットのソリテールを重ねると、オープンワークのように少し肌が覗く。ヴァンドーム リズレ ソリテール リング〈ダイヤモンド 0.3ct、WG、ブラックラッカー〉¥1,227,600(予定価格)、他本人私物
デザインや地金の異なるキャトルをいくつか試しながら、ボリュームのあるソリテールリングも試着。2つ目の結婚指輪や記念日の機会に、ダイヤモンドジュエリーを買い足す人も多いという。「ブシュロンのソリテールはファッション性が高いという点で選ばれる方も。メゾンが移転して新たな歴史をスタートさせた場所、ヴァンドーム広場をモチーフにしたヴァンドーム リズレをご夫婦の新たなスタートの記念とする選択肢もあると思います」。少し遠慮がちにつけてみると「モダンでグラフィカルなブラックラッカーはキャトルとも相性がいいですね。パリのマダムの重ねづけのようで、左手の薬指が喜んでいます!」。

(左から)キャトル ラディアント リング ハーフ(本人私物)、キャトル ホワイト リング ハーフ〈PG、ホワイトセラミック〉¥321,200、キャトル グログラン リング スモール〈YG〉¥266,200、ヴァンドーム リズレ ソリテール リング〈エメラルドカット ダイヤモンド 0.30ct、ラウンドカット ダイヤモンド、WG、ブラックラッカー〉¥1,227,600(すべて予定価格)
さらにスタッフの方からは地金の色を変えるとそれぞれが引き立つという理由から、ピンクゴールドという選択の提案も。「マリッジを選ぶときは考えていなかったけれど…」と話しながら、ピンクゴールドとホワイトセラミックのコントラストが印象的な「キャトル ホワイト」も試してみることに。「ピンクゴールドは肌馴染みがよく、それでいて手もとに“白”が入ると新鮮ですね! ひと目でブシュロンとわかるアイコニックなデザインにはやっぱり惹かれます」。
ブシュロンで2回目となるリング探しの感想を尋ねると、「最初はグログランかなと思っていたのですが、ピンクゴールドとホワイトセラミックも私にマッチしているように感じました。たくさんのリングを試着することができてとても幸せな気分です! どのキャトルもひとつで存在感がありながら、自分では思いつかないような重ねづけの提案もしていただき、改めてこのマリッジを選んで良かったと思う機会にもなりました。ヴァンドーム リズレという大いなる夢も。早速、家族会議をしたいと思います(笑)」。
キャトル グログラン リング スモール〈YG〉¥266,200(予定価格)
キャトル ホワイト リング ハーフ〈PG、ホワイトセラミック〉¥321,200(予定価格)
ヴァンドーム リズレ ソリテール リング〈エメラルドカット ダイヤモンド 0.30ct、ラウンドカット ダイヤモンド、WG、ブラックラッカー〉¥1,227,600(予定価格)
キャトル グログラン リング スモール〈YG〉¥266,200(予定価格)
キャトル ホワイト リング ハーフ〈PG、ホワイトセラミック〉¥321,200(予定価格)
ヴァンドーム リズレ ソリテール リング〈エメラルドカット ダイヤモンド 0.30ct、ラウンドカット ダイヤモンド、WG、ブラックラッカー〉¥1,227,600(予定価格)
シンプルなバンドリングが候補。【シャネル】で自分へのご褒美選び!

普段はゴールドのジュエリーを着用することが多いという菅原。お目当てのリングは人差し指や中指につけるイメージ
SPURデジタルのウェディングやファッションを担当する、エディター菅原。取材や撮影などで多忙を極める彼女は、自分へのご褒美を探しに、シャネル ファイン ジュエリー 銀座並木ブティックへ。仕事柄、多くのジュエリーに接する機会が多い中、いつか自分に贈りたいと心に決めていたのは「ココ クラッシュ」や「カメリア コレクション」。「ファッションリングを探していたら、バンドリングもウィッシュリストのひとつに。デイリーに身につけられる、シンプルな一生もののリングを検討しています」。
パリのヴァンドーム広場18番地に位置するシャネル ファイン ジュエリー本店と同様、ガブリエル シャネルの世界観にインスパイアされた銀座並木通りのブティック。全3フロアにわたる空間に、メゾンの歴史やサヴォアフェールを讃えたファインジュエリーと時計の数々が並ぶ。3階に上がると、ベージュを基調としたツイードのソファやカーペットをしつらえたブライダルサロンが。

店内はアメリカの建築家ピーター・マリノが設計を手がけ、メゾンの洗練されたフィロソフィーを表現しながら、ゆったりとくつろげる居心地の良さも
メゾンのコードカラーのハーモニーに包まれた空間でソファに座り、いざリング選びを開始。少しドキドキしながら、まず「ココ クラッシュ」を試着することに。ゴールド派の菅原は「プラチナやホワイトゴールドを身につけるのが目新しく、気持ちが上がります。涼しげでクリーンな輝きは夏にも最適ですね。思わず手もとを見つめてしまいます…」と早くも心が傾いている様子。ブティックスタッフの方によると、ブライダルリングをファッションリングとして好まれる人も多く、お勧めすることもあるという。
「ココ クラッシュ」のシンプルなバンドリングからフルエタニティリングまで、繊細な輝きのバリエーションを試着。シャネルにとってのラッキーナンバーにちなんで5石のダイヤモンドをセットしたリングも。「キルティングパターンのカットが光の反射を受け、ダイヤモンドがなくても見事にきらめきますね。それぞれに魅力があるので選べません(笑)」。

(上・左から)ココ クラッシュ〈18KWG、ダイヤモンド〉¥775,500、カメリア コレクション ハーフエタニティリング〈Pt、ダイヤモンド〉¥354,200 (下・左から)ココ クラッシュ 〈Pt〉¥270,600、ココ クラッシュ〈Pt、1ダイヤモンド〉¥281,600、ココ クラッシュ〈Pt、5ダイヤモンド〉¥407,000
次に「カメリア コレクション」のハーフエタニティをチェック。控えめで無垢なカメリアの花言葉は“永遠の愛”であり、起業家であるガブリエル シャネル自身を重ねて、“認められた才能”というメッセージもあるという。スタッフの方より「力をもらえるリングなので、ご活躍されている人にも、背中を押してほしいという人にもぴったりのリングです」との声が。「ストーリーを知ると、ご褒美としても、お守りとしても身につけたくなりますね。リングのフォルム自体が5枚の花びらのカメリアを象っていて、身につけた自分だけが知る秘密のようで、愛着が湧きます」。
さらに「日本のブライダルリングはプラチナが主流で、結婚の記念というイメージが強いですが、どんなシーンでも安心してお召しいただけるのも利点です。例えばブラックフォーマルではパヴェの向きを内側に変えてダイヤモンドを控えることも」というアドバイスも。

控えめなデザインでいてどこかパワーのあるパヴェダイヤモンド。カメリア コレクション ハーフエタニティリング〈Pt、ダイヤモンド〉¥354,200
試着を終えると、菅原のときめきは「ココ クラッシュ」から最後の「カメリア コレクション」へ。「カメリアをつけたとき、きれいな花を見たときのように、気持ちが華やぎました。毎日身につけることを前提とするバンドリングは控えめにデザインされているので、つけ心地がよく、すでに私の手にしっくり馴染んでいるような感覚に。想像以上に指を華奢に見せてくれるところもうれしい。語りがいのある『カメリア コレクション』のストーリーにこれからの自分を重ねていきたいです」。
カメリア コレクション ハーフエタニティリング〈Pt、ダイヤモンド〉¥354,200
ココ クラッシュ 〈Pt〉¥270,600
ココ クラッシュ〈Pt、1ダイヤモンド〉¥281,600
ココ クラッシュ〈Pt、5ダイヤモンド〉¥407,000
ココ クラッシュ〈18KWG、ダイヤモンド〉¥775,500
カメリア コレクション ハーフエタニティリング〈Pt、ダイヤモンド〉¥354,200
ココ クラッシュ 〈Pt〉¥270,600
ココ クラッシュ〈Pt、1ダイヤモンド〉¥281,600
ココ クラッシュ〈Pt、5ダイヤモンド〉¥407,000
ココ クラッシュ〈18KWG、ダイヤモンド〉¥775,500
日常使いできる自分のためのリングを探しに【レポシ】へ

伊勢丹新宿店本館4階のサロン。レポシを知り尽くした経験豊かなスタッフが迎えてくれる
SPURデジタルのジュエリーとファッションを担当する、エディター阿部。デイリーに身に着けられるリングを探していたところ、憧れのブランドであるレポシのブライダルコレクションが気になり始めたという。30代になって、自分を高めてくれるような“相棒リング”が欲しいという気持ちが高まっている今、運命の出合いを求めてレポシ伊勢丹新宿店へ。
3世代にわたり、現在はヴァンドーム広場に本店を構えるジュエリーメゾン、レポシ。2007年にわずか21歳の若さでクリエイティブ・ディレクターに就任したガイア・レポシの独創的なデザインは世界中の女性を魅了し、カリスマ的な彼女自身の洗練されたスタイルも支持されている。伊勢丹新宿店 本館の4階にあるブティックではガイアが初めて手がけたコレクション「ベルベル」や2つ目のアイコン「アンティフェール」が並び、現代的な名品アイコンに触れることができる。

リング「アンティフェール」〈Pt、ダイヤモンド〉(価格未定・受注生産)
まずは「アンティフェール」のブライダルコレクションから試着。先の尖ったデザインはフランスのノルマンディー地方にあるアンティフェール岬という美しい岩壁からインスパイアされている。スタッフの方によると、近年はマリッジリングを探している人もあえてブライダルらしいデザインではない「アンティフェール」を選ぶことが多いそう。

(左)リング「アンティフェール」〈WG〉¥157,300(右・上から)リング「アンティフェール」〈WG〉¥157,300、〈PG〉¥149,600
「私の場合はシンプルでいて非対称なラインに、意志の強さを感じて惹かれます。マリッジリングはホワイトゴールドとピンクゴールドをスタッキングするのも素敵。一見マリッジリングに見えないひねりの効いたデザインなので、人差し指につけたら、デイリーリングとしても自然に着用できそうですね」。

肌に溶け込みやすいピンクゴールド。リング「ベルベル」〈PG〉¥135,300
次に、よりミニマルなラインのマリッジリングを中指にはめてみることに。「ベルベル」はアフリカ北部の砂漠に住む遊牧民、ベルベル人系トゥアレグ族のタトゥーや、アメリカのアーティスト、ドナルド・ジャッドの作品からインスパイアされたコレクション。「とてもシンプルですが、何かが違います。リングのエッジに丸みがないから、シャープでモダンに見えるのですね。ゴールドのバンドリングは、エントリープライスで出合えるのも嬉しい!」。

ペアシェイプとソリティアのダイヤモンドをセッティング。「セルティ・シュール・ヴィド」〈WG、ダイヤモンド〉¥2,244,000
美しいジュエリーに囲まれていると、バンドリング以外も試してみたくなり、ダイヤモンドが指の上で浮かぶようにセットされた「セルティ・シュール・ヴィド」も試着。「イタリアとフランスのアトリエで一点一点作られている、メゾンの技術に裏打ちされたコレクションです。ダイヤモンドを指と指の間に載せて鑑定するという宝石職人の習慣があり、そのジェスチャーからインスパイアされたデザイン」だという。着想源に思いを馳せ、うっとりしながらはめてみると、「美しすぎて手が震えます‥‥‥。ダイヤモンドが最小限の爪で支えられ、地金部分がほとんど見えないので、本当に指と指の間に浮かんでいるようなデザインですね! 指を長くきれいに見せてくれる気がします」。

(左・上から)リング「アンティフェール」〈WG〉¥157,300、〈PG〉¥149,600、(中)リング「アンティフェール」〈Pt、ダイヤモンド〉(価格未定・受注生産)、(右)リング「セルティ・シュール・ヴィド」〈WG、ダイヤモンド〉¥1,430,000
「自分自身への意志表明として選ぶリングは、やりたいことに向かって進むためのマインドセットにもなるんですよ」。最後に、スタッフの方がそんな前向きなメッセージを伝えてくれた。「アートや建築からインスピレーションを得た唯一無二のデザインが揃うレポシは、どのジュエリーも本当に魅力的で選びがいを感じました。30代の私と同世代であるディレクター、ガイア・レポシの感性をさりげなく身につけられるのも私的なポイント。マリッジリングは控えめながら洗練されたデザインで、昨今の物価上昇の中でも価格面で購入しやすいことも魅力でした」。
リング「アンティフェール」〈WG〉¥157,300
リング「アンティフェール」〈PG〉¥149,600、
リング「セルティ・シュール・ヴィド」〈WG、ダイヤモンド〉¥2,244,000
リング「セルティ・シュール・ヴィド」〈WG、ダイヤモンド〉¥1,430,000
リング「アンティフェール」〈WG〉¥157,300
リング「アンティフェール」〈PG〉¥149,600、
リング「セルティ・シュール・ヴィド」〈WG、ダイヤモンド〉¥2,244,000
リング「セルティ・シュール・ヴィド」〈WG、ダイヤモンド〉¥1,430,000