物を通して人の想いに触れられる3店

生産から陳列に至るまでの長い道のり。その過程にいる一人ひとりの体温が伝わる、ニューショップをご紹介

moonshine cultural boutique (ムーンシャイン カルチュラル ブティック)

物を通して人の想いに触れられる3店の画像_1

Shop:A

人とのつながりで集まった、「ここにしかないもの」を発信
神田らしい飲食店や会社が立ち並ぶ中に佇む雑居ビル。2階のドアを開けると、外の喧騒が嘘のように落ち着いた空間が広がっている。4年前にバーとしてオープンし、今年の4月にショップ併設にリニューアルした「moonshine cultural boutique」だ。

マーケティングやコンサルタントが本業のオーナー道田有妃さんが、仕事や出張先で出合ったユニークなアイテムを直接届けられる場所を、とこの業態に。ビジネスをともにする人の作品やブランドのほか、たまたま見つけたとっておきのものも並んでいる。京都の蚤の市で惚れ込み、口説き落として取り扱っている萬太郎さんの器が買えるお店は世界でここだけだ。売れそうなものなら世の中にあふれているため、心底よいと思う、ほかではあまり出合えないものをセレクトしている。

独自の人間関係を生かしているのは商品だけではない。バーのハイスツールは知人から譲ってもらったもの。それに合わせて作ったテーブルは、仕事の関係先にインドネシアの漁船の木を再利用して作ってもらった。スタイリッシュな中にも温かみを感じるのは、そこかしこに人の手を感じるからだ。

客層は幅広く、年齢も職業もバラバラ。子どももペットも大歓迎だ。でも偶然にはたどり着けない立地にあるからこそ、集まる人同士が感覚を共有できるコミュニティになっている。多くのことがwebで完結し、あらゆるつながりが稀薄になった今、改めて人の存在を実感させてくれる貴重なショップだ。

物を通して人の想いに触れられる3店の画像_2

1 すりガラスから穏やかに光が差し込む、スッキリと見やすい店内
2 道田さんのエプロンブランドLefts,。知人の店から出るコールドプレスジュースの搾りかすを利用しボタニカルダイで染色。パリの「ローズキッチン」と協業したバラで染めたシリーズも人気
3 ドイツのランタンや、チェコのジョウロなど海外のアイテムも多数
4 棚の中には、キャンドルや金属用のクロス、タオルなどさまざまな用途の小物がずらり
5 バーでは友人のDJによるプレイリストで曲を流す。カラオケも備えておりスナックのようにみんなで歌うことも

東京都千代田区内神田3の17の4 第二会田ビル2F
03-6262-9005
営業時間:13時~20時
定休日:土~水曜
https://www.mcbtokyo.com/
Instagram: @mcbtokyo

tay (テイ)

物を通して人の想いに触れられる3店の画像_3

Shop:B

現代の視点を通して東南アジアの手仕事を再評価
ベトナム語で手を意味する「tay」がオープンしたのは今年1月。東南アジアの現行品をセレクトしている姉妹店の「333」に対し、こちらではヴィンテージアイテムを中心に取り扱っている。

そもそもは、オーナーの坂野高広さんが旅行でベトナムを訪れた際、手仕事で生み出された民芸品の美しさに心打たれたのが始まり。その後月に1回程度東南アジアの各地に足を運び、職人や少数民族から直接話を聞きながら、焼き物やジュエリー、生活雑貨などを収集した。博物館ではないため、店舗に並べるのはあくまでも今のライフスタイルやファッションにフィットするもの。現代的な感覚の編集力を持って、トライバルなアイテムの魅力を伝えている。

コロナ禍以降は、現地在住の知人に助けてもらいながら新しい商品を仕入れている。たくさんの人の手を介して、脈々と受け継がれてきた品々がここには集まっているのだ。そんなストーリーを持つアイテムの新しい持ち主になる幸せをこの店は教えてくれる。

6 コンクリートを基調としたモダンな内観。民族衣装からヴィンテージの布やかごまで並んでいる
7 1925年〜’50年頃にかけて、ベトナムのビエンホアでフランス人夫妻と現地の職人によって焼き上げられた花器。オリエンタルとフレンチコロニアルが絶妙に混ざり合ったデザインが魅力
8 ザオ民族のベストや、アカ民族、カレン民族のシルバーネックレスなど、高価で貴重なものも多数
9 器はベトナムを中心にセレクト。北部のバッチャン焼はカラフル、南部のソンベ焼はシックと個性が出ている

東京都渋谷区初台1の39の14
03-6455-1589
営業時間:11時~19時
定休日:月~水曜
Instagram: @tay_by_333

FEELSEEN (フィールシーン)

物を通して人の想いに触れられる3店の画像_4

Shop:C

世界各地のクリエイターの感性が共感し合う店
この店をプロデュースしたのは、アッシュ・ペー・フランス創業者の村松孝尚さん。たまたま見つけた築約60年の4階建てビルに惚れ込み、建物を出発点にして構想を練ることに。その結果、フロアごとにテーマが異なるユニークな雑貨店が誕生した。

1階は「パラード」と題し、フランス人バイヤーのマルト・デムランさんがカラフルなキッチン雑貨を中心にセレクト。2階の「蒐集家の部屋」には、村松さんがこれまで出会ってきたアーティストの作品が所狭しと並ぶ。3階は「ウェルネス」がキーワード。テキスタイルを多用し繭の中をイメージしたデザインに。4階はギャラリーになっており、定期的に展覧会やアートイベントを開催している。

「共感」を意味する店名のとおり、この店に賛同した多くのクリエイターの手が加わり宝箱のようなショップが完成。誰をも歓迎する空気感は訪れる人にもシンパシーを伝播させる。お互いのときめきを交換するような、ぬくもりあふれる空間をぜひ体験してみて。

10 2階には村松さんの私物の本やアート、棚なども並んでいる。もともと日本舞踊家の稽古場だった建物のよさを生かすため、障子や木床はそのままに
11 マルトさんがデザインした食器や、フランス人デザイナーのブランド、レオ・アトラントのクロス。どこを見てもポップな空間
12 アーシーなカラーのやわらかいアイテムでまとめられ、守られている感覚に。3階の空間デザインは、室内装飾家のマチルド・ラブルシュさんが手がけた
13 ベランダには溌剌としたグリーンの数々。日当たりもよく、建物全体に穏やかな時間が流れている

東京都中央区銀座3の12の7 銀座ビル
03-6260-6335
営業時間:12時~19時 無休(年末年始を除く)
https://feelseen.jp/
Instagram: @feelseen.ginza

FEATURE
HELLO...!