日常餘百 일상여백(イルサンヨベク)
白磁のシンプルなうつわを中心に幅広いアイテムが揃う
いま注目すべき作家の作品に出合いたいなら、まずはここへ
「完成度が高いことは大前提、その上で日常の中で取り入れやすいものを紹介したい」という思いが込められた店名の通り、普段の食卓で使いやすい白磁のうつわやティーカップ、真鍮のカトラリーなどが揃う。名匠キム・パンギさんをはじめ、キム・サンインさん、ユン・サンヒョンさんといった幅広い世代の人気作家の作品をキュレーションしており、店主であるハン姉妹のセンスに信頼を寄せるゲストが各地から訪れる。工芸博物館をはじめ他のショップも多く並ぶ北村エリアにあるため、散策がてらソウルのクラフトカルチャーを堪能するのがおすすめ。取材に訪れた店舗から同じ地区のさらに広いスペースへと4月に移転し、今後は作家の個展などやアート作品を展示するギャラリーとしても活動を行う予定。
イ・ヒスさんの食器セット(₩33,000~60,000)とイ・ゴンムさんの木製プレート(₩180,000)
キム・ジェユンさんの銅のプレート(₩44,000~110,000)はアンティーク調の風合いが素敵
MO-NO-HA 漢南 모노하 한남(モノハ ハンナム)
韓国現代白磁の第一人者イ・キジョさんのうつわ
ミニマリズムが息づく、高感度なセレクトショップ
引き算の美学を感じるクリーンな店内には、韓国人作家の白磁のうつわや美術品を中心に、日本の工芸品、オリジナルのアパレルウェアが並ぶ。2020年のオープン以来、国内外から注目を集めるライフスタイルショップ兼ギャラリーだ。「MO-NO-HAという名前は李禹煥らがけん引した"もの派"が由来となっています。彼らの哲学に影響を受けており、ミニマリズムを追求した作品を扱い、余白を活かした空間をデザインしました。ここに身を置くことで、ゲストの心にも余白が生まれることを願っています」と語るオーナーのイ・ヒョンタクさん。店内はあえて音楽を流さず、静かな時間が流れる。店舗は聖水やTHE HYUNDAI SEOULにもあるものの、最もゆっくりとうつわを鑑賞できる漢南店にまずは訪れたい。
ハン・ジョンヨンさんの熟盂(₩33,000)、ユ・セリさんのポット(₩176,000)、ソウル大学校陶芸科学生作のプレート(₩28,000)、キム・ミンウクさんの木製プレート(₩242,000)
オリジナルのアパレルブランドも展開
NR CERAMICS 엔알세라믹스(エヌアール セラミクス)
オリジナルの陶磁器のほか、ベトナムなどの輸入雑貨も扱う
若手作家が手がける陶磁器ブランドを扱うショップ
ソウルの若者を中心に支持を集めるNR CERAMICSは、アーティストとしても高い評価を得るイ・ヌリさんが2018年にスタートした陶磁器ブランド。市内の複数のショップで取り扱いがあるものの、仁寺洞にあるショップには最も豊富なラインナップが揃う。「目指したいのは空間に同化し、日常に自然と芸術の価値を伝えるデザイン。実用性と審美性の両立を模索しています」と話すイさん。もっと気軽にクラフトに触れてほしいという思いから、製作過程では手作業に加えて機械も導入することでリーズナブルな価格設定にもこだわる。アンティークの家具やモダンな装飾が調和した店内は、コンパクトなスペースながら見応えたっぷり。新婚祝いなどギフトを探し求めるローカルたちでいつも賑わっている。
マットな質感となめらかな曲線の組み合わせが美しい、ブランドを代表するHINコレクション(₩25,000~40,000)
ティーカップ(右・各₩25,000)・ミニプレート(左・各₩18,000)。シックなブルーは新色
サユチブ 사유집
店舗は建物の2階に
モダンな感性でセレクトされた、貴重なアンティークに触れる
弘大にほど近い閑静な住宅街、新たに注目が集まる延南洞エリアにあるショップには朝鮮王朝時代の国内のものから、中国の調度品まで幅広く骨董品が揃う。店主のイ・ソヒさんの鋭いセンスで集められた品々は味がある佇まいながら、現代的なライフスタイルと相性がいいものばかりで、ソウルのクラフトショップを語る上では欠かすことのできない存在だ。日本では珍しいアイテムも多く、そのディスプレイがインテリアの参考にもなると評判。ほかにも気鋭の作家のうつわ、手に取りやすいお香や韓紙などを取り扱い、ついつい長居したくなるため時間には余裕をもって出かけて。
落ち着いた色合いでまとめられた店内。骨董のほか韓国で人気のブランド、OJACRAFTの陶磁器やコペンハーゲンの雑貨など国内外から集めたアイテムを展示・販売している
前列は伽耶時代、後列は新羅時代の土器(₩400,000~1,200,000)。貴重な品々も並ぶ
DATA
ソウル特別市麻浦区成美山路29ギル24 2F
電話番号なし
営業時間:14時~19時
定休日:月・火曜
Instagram: @sayujib
踏十里古美術商街 답십리 고미술상가(タプシムニコミスルサンガ)
香美堂の店内。日本からもセレクトショップのバイヤーが買いつけに来る
ビギナーでも親しみやすい骨董品店が集まったモール
150店以上が軒を連ね、世界中から骨董商が買いつけに来るアンティークモール。特に観光客に人気が高いのは2棟の155号に店を構える香美堂。ポジャギ(韓国の伝統的な工芸品である手縫いの布)やスッカラ(真鍮製のスプーン)など日常的に使いやすいアイテムから、歴史ある高麗青磁のうつわなど幅広いアイテムを手に取ることができる。どちらもセレクトショップや観光客向けのお店よりも手に取りやすい価格設定なので、お土産のために大量購入する人も。ほかにも広い店舗で商品が見やすい147号のソクファンもビギナーにはおすすめ。
多くの人が購入するスッカラ(₩7,000~10,000)。サイズも柄の長さもさまざまなのでお気に入りを探して
古家具を専門的に扱うお店や手彫りの人形やオブジェを扱うお店など、個性あふれる骨董品店が集まっている