社会問題に対して自分ができることは

榊原美紅さんがパーソナリティを務めるラジオ「Fifty Artists」。毎回＂未来をよりよく変えよう＂と活動している人をゲストに迎えるこの番組に今回登場したのは酒向萌実さん。ソーシャルグッドな未来のために今できることを考えた。

GUEST : 酒向萌実

　“未来をよりよく変えよう”とする50人のプロフェッショナルをゲストに迎え、榊原美紅さんがパーソナリティを務めるラジオ「Fifty Artists」。今回は株式会社GoodMorningの代表・酒向萌実さんが登場！　「誰もが社会変革の担い手になれる舞台をつくる」をミッションに、社会問題の解決に特化したクラウドファンディングの運営を行う酒向さんに話を聞いた。

榊原　これまでのゲストは、どちらかというと男性の方が多かったんです。今回は同性かつ、同世代の酒向さんとお話ができてうれしかったですし、活動の内容もすごく興味深かったですね。
酒向　25歳で代表取締役に就任したときには、「若手女社長」ということでメディアに取り上げていただく機会が多くありました。やっぱり相対的に数が少ないからだと思うのですが、「私にもできる」という姿を見てもらって、女性でも挑戦する人が増えて当たり前になっていったらうれしいですね。
榊原　起業をしたのは、念願かなってということだったのでしょうか。
酒向　いえ、「起業をしたい」と思っていたことはなかったんです。親会社であるCAMPFIREの代表に、「代表をやってみる？」と提案されたときも、「分社／代表」で検索してみたくらい、何をやるのか知らなかった（笑）。
榊原　そこから今の酒向さんがいると思うと親近感が湧きます。「世の中をよりよくしたい」というビジョンは以前からお持ちだったのでしょうか。
酒向　リベラルな考えの家庭で育ち、自然とそういう思いはあったのかもしれません。前職はアパレル企業だったのですが、社会問題の解決に携われる仕事はないだろうかと転職先を探していたとき、ちょうどCAMPFIRE内のプラットフォームとしてGoodMorningが立ち上がったタイミングでした。クラウドファンディング自体には以前から興味があって自分も寄付したりはしていたので、転職を決めました。
榊原　アパレルで働いていらっしゃったんですね。今日の服装も素敵です。
酒向　ありがとうございます。今でも洋服は好きなのですが、環境について考えると、買い物への姿勢も変わりますね。サポートしたいお店にお金を払いたいという考えになり、似合わなくなってしまった服も諦めずに大切にして、長く着るようにしています。
榊原　私もモデルの仕事を通して、ファッションの消費について考えることが多いのでとてもよくわかります。
酒向　自分が着る洋服の話が環境問題につながっているように、政治も生活に直結しているんですよね。
榊原　そうですね、新型コロナウイルスの流行によってそのことを改めて実感した人も多いかと思います。
酒向　投票という方法でしか政治参画できないわけではなく、声を上げたりクラウドファンディングを立ち上げる、支援する、ＳＮＳでシェアするなどのアクションを通して政治に関わることができる可能性を、GoodMorningを通して感じてもらいたいと思っています。
榊原　確かに、自分の行動の影響力を感じづらいのかもしれません。その点、この場を介することで、今の社会問題を新たに知ることもできるし、自分でアクションを起こすハードルも低いですよね。これまでにどんなプロジェクトがあったのでしょうか。
酒向　子どもたちに無償で学ぶ機会を提供する「スタディクーポン」を発行するプロジェクトがありました。所得格差による教育機会の不平等の解消を目指し、渋谷区と連携して行なった企画です。１０００万円のゴールを達成し、最終的に１４００万円超の寄付を達成しました。
榊原　教育格差の問題を知っても、ひとりでは何ができるのかわからなかったのですが、自分にもできることがあるのがうれしい。もっと社会の問題を“自分ごと”として考えていきたいですね。

TOKYO FM 「Fifty Artists」
毎週日曜20時〜20時30分、TOKYO FMにて放送中。＂未来をよりよく変えよう＂としているプロフェッショナル・専門家をゲストに迎える。「radiko」ほか、オーディオコンテンツプラットフォーム「AuDee（オーディー）」でも聴取可能。

SOURCE：SPUR 2021年4月号「榊原美紅のFIND YOUR VOICE」model: Miku Sakakibara　photography: Yuka Fujisawa　interview & text: Rio Hirai