じつは私、かなりのビーチマニアです。ビーチの写真を見せられただけで、どこの国のビーチか結構な確率で当てられます。でもって、ビーチには相当うるさいです。ちょっとやそっとのビーチでは「ヨシ」とは言いません。一般的にビーチリゾートとして人気の場所でも、私基準でひそかにダメ出ししてるところも多いです。私がNice Beachと認めるのは、①水の透明度が高い(ここかなり重要。シュノーケラーなので) ②砂が白くて細かい(海の色は最終的にはここでキマります) ③波があまり高くない(シュノーケラーなので) ④遠浅ではない(シュノーケラーなので)の4つの条件を満たしたビーチ。そんな私がもう20年くらいずーーーーっと「あれは一体どこのビーチなの!??」と探し続けてるビーチが香港にあるんです。香港でビーチ!??と思う方も多いと思いますが、半島といくつもの島からなる香港。じつは自然がとっても豊かで、高層ビルのすぐ背後には亜熱帯の山が控えてるし、ビーチもちょいちょいあるんです。
とはいえ、正直、日本から旅行で行って、わざわざ泳ぎにいくべきビーチかどうかといわれると、、、なんですよね。が。今では香港パトロール回数130回越えの自分ですが、かれこれ20年以上前の、まだパトロール回数10回程度の香港ビギナー時代。日本への帰国便の窓際席で、当時の香港啓徳(カイタック)空港を飛び立ち、ぐんぐん高度を上げる機体から外を見ていた私の眼下に、「・・・え!??な、なに!??なんなのあのビーチ!!?? まさかもう沖縄!??(んなハズはない)」 と、夢のように美しい白砂&コバルトブルーのビーチが見えてきたのです。レパルスベイ、南Y島など、香港のいくつかのビーチに出かけたことはあったので、それとは様相が違いすぎるビーチに、「なになになに!?? うそでしょ!? あんなきれいなビーチが香港にあるなんて! 一体全体どこビーチよ~~っ!??」と、私のビーチマニアと しての野生(?)のカンが、「あのビーチはすごい!あれは絶対すばらしいビーチ!」とイケてるビーチ警報を発令。場所を突き止めねば~~~!と、その日以来、在住の友人や香港人に聞きまくったのですが、みんな「○○ビーチかなあ??」と、なんとなーくの回答。「ハワイのビーチみたいにきれいなの。そこってそう?」「うーーーん。。。どうかなあ」てな調子で、確固とした返事は誰からももらえず。とりあえずかなり香港のはずれにあることだけは確かなんだけどなあ、、、とずーーっと気になりつつ、気がつけば20年。先日の香港パトロール出発前に、「香港も夏だよね~~月刊パトロールも暑そうだよねえ~~・・・って、そうだ!久々あのビーチを検索してみるか!」と思い立ち、ウソじゃなく2晩かけてがっつり検索。したところ、「も、もしかしてココ・・・では!??」という候補 をついに発見したんです!ビバ!インターネット時代!ありがとうSNS~~~(涙)!!!(あ、下画像は香港のアップルストア@ifc Mallです。ヴィクトリアハーバービューの隠れた絶景スポット!)
幻ビーチ候補の名前は「大浪湾」。じつは同名のビーチが香港には2ケ所あります。メジャーなのは香港島サイド石澳にある大浪湾。名前のとおりサーファービーチとして有名で、じつは私も出かけたことあります。が、今回大検索の結果、ここがあの天国ビーチでは!?と浮かび上がったのは、九龍半島側、海鮮料理で有名な西貢のさらに先にある大浪湾。もうひとつあったとは知りませんでした。
調べたところ、こちらの大浪湾へはなんと車でのアクセス不可!最低でもトレイルを90分歩くか、クルーザーをチャーターして(もちろん超高額)海から行くかしないとたどり着けない、秘境中の秘境とも言えるビーチと判明。ロンリープラネットにすら載ってません。が、クチコミでも「香港でもっとも美しいビーチ!!」と絶賛されまくっていて、「きっとここがあのビーチに違いない!秘境っぷりも上空から見た様子と一致してるし、だったら香港人ですら知らないのもナットク!」と期待値MAX! 山ガール(あくまでガールです)&海ガール(同じくガールです)の自分にとって「90分なんてまったく没問題だね!」とは思ったのですが、ひとつだけ問題が。じつは香港のハイキング&登山シーズンは春秋冬。日本の場合、登山といえばむしろ夏はハイシーズンですが、高度もあまりなく、そもそも緯度も低い香港では、夏は暑すぎてオフシーズンなのです。気温30度(で済めばいいけれど・・・)越えのハイキング、、、どうしたものか。。。とさらに調べまくったところ、どうやら夏場の週末のみ西貢からの乗り合いボートのようなものが出ている”らしい”←という情報が。が、どんなに検索しても、あくまでも”らしい”的なことしかわからず。どんだけ秘境!?と思いつつ、とりあえずハイキング好きの在住の友人たち(日本人&香港人)に「大浪湾行かない?」と声をかけてみたら、全員「行く!」との返事。相談の結果、せっかくなので行きはハイキング、帰りはおそらく出ているのではと思われる乗り合いボートで戻る、という作戦で行くことに。急遽、ハイキングシューズ↓を香港行きの荷物に詰めました。
さて、西貢には地下鉄が通っていません。バスかタクシーでしかアクセスできないのです。まず地下鉄で「彩虹」駅へ。この彩虹の街市(市場)内には何軒もローカルすぎる茶餐廳が。そのうちの1軒でまずは朝ごはん。マイメニューはバタースライストースト(鮮油多士)とアイス広東ミルクティー(凍奶茶)。
朝食後、西貢行きのミニバスに。彩虹駅C出口が最寄りでミニバス番号はA1です。土曜なので長蛇の列ができてました。西貢は周辺にビーチや小島が多く、海水浴客や海鮮料理目当てのお客が続々です。と、なんとここで結構激しいスコールが。こんなこともあろうかと持参していた夏の香港旅の必需品、晴雨兼用折りたたみ傘が役に立ちました(←傘がなく、土砂降りに耐えかねてバス待ちの列から離脱した人も結構いました)。
西貢行きのミニバス。始発がここ彩虹です。行き先表示は「西貢碼頭」(碼頭=埠頭のこと)。長蛇の列ではありましたが、なんとか2台目に乗れました。
途中渋滞しつつ(西貢への道路は1本道なのでちょくちょく渋滞します)、約30分で終点・西貢のバスターミナルに到着。スコールも止み、青空が出てきました。西貢は、意外に拓けてるにぎやかな町。いろいろ気になりますが、西貢パトロールは帰路にして、先を急ぎます。ちなみにこのターミナル付近にも茶餐廳多数。西貢に来てから朝食というのもアリです。
トレイル歩きをする場合は、この先はビーチに着くまでトイレがないので、ここでトイレに行っておくことをおすすめします。西貢バスターミナルに隣接している香港世界地質公園火山探知館の隣にかなり大きな公共トイレが(*水洗ですが大半が広東式[しゃがむ式]で、洋式は1つだけです)。この西貢ターミナルからさらにミニバス(29R)かタクシーで「西湾亭」というトレイルのスタート地点まで移動します。我々は4人だったのでタクシーに乗車。乗り場の案内表示板によると、西湾亭までは約90HKドルだそう。
そしてタクシーに乗車後、衝撃の事実が判明! なんと、「西湾亭(トレイルスタート地点)までの道路途中が土砂崩れ防止補強工事中で、かなり手前で車は通行止めになってるよ」とドライバーに言われ、「えええーーーーっ!!!」。き、聞いてない、、、どこにも(ってどこにだよってハナシですが)そんなことは書いてなかった。。。。が、いまさら引き返せない、、、あるかないかわからないボートを探すよりも、、、い、行くしかない、、!!というわけで、思いっきり山中の車道でタクシーを降りるハメに。ここから本来のトレイルスタート地点、西湾亭までは徒歩90分・・・!!!つまり大浪湾までは3時間・・・!!! この時点で11時。この日はもちろん30度越えの真夏日! この炎天下(風もほとんどなく、まるでスチーマーの中!)を3時間歩くの・・・!??しかも半分は車道・・・と想像しただけでぐったり・・・!!!(が、念のため装備はきっちり準備していってたので、問題はなく。帽子、サングラス、水1リットルは必携です)。というわけで、当分の間、西湾亭ルートで徒歩で大浪湾に行くのは止めたほうがよいかと。特に大浪湾ビーチが目的ならば、素直(?)に西貢からのボート移動をおすすめします。なんといっても暑い。暑すぎます。それなりに景色は楽しめるのですが。以下、とはいえ香港で山歩き希望という山ガールのみなさまのために、大浪湾へのハイキングルートについて解説させていただきます。
通行止めショックから気を取り直し、歩き始めてほどなく、こんな景色が。グーグル先生によると、海ではなく、巨大な貯水池らしいです。
ここが香港とは思えない景色にも出会えて、なかなか楽しいです。標高は100メートルほどだしルートは車道で木陰ほぼナシの炎天下。暑さはハンパないですが。。。
テンニンカ(天人花)という熱帯アジア原産の花がコース上のあちこちに。癒されます~~!
途中、ウワサ(?)の工事現場を通りすぎたりもしつつ(車両は通行不可ですが、人は通れます)、歩くこと約90分で西湾亭に到着。なるほど、このあずまやがあるから”西湾亭”なわけなんですね(この脇に簡易トイレがあったのですが、使用不可になってました)。本来ならここまではタクシーかミニバスで来られるはずですが、当分の間はNGな様子。もう汗だくです。意外だったのは、ハイキングオフシーズンにもかかわらず、思ったより全然ハイカーがいること。香港人がハイキング好きなのは知ってましたが、どうやらホントに好きなんですね。どころか、この灼熱地獄の中走ってるトレイルランナーが結構いるんです! タフすぎる・・・!! かと思えば、道が車道ということもあり、日傘差してのんびり歩いてるハイカーもいました。ようやくたどりついたトレイル入口にこんな看板が。なんとこの先に村が!??車も行けないところなのに!??とかなりびっくり!!いや、どうやらビーチに海の家的な商店があるらしいことは検索でわかっていましたが、まさか村・・・!??
とさらに村の方々の郵便受けが!! ここから徒歩で1時間はかかるはずなのに、こんなところまで毎日取りにくるの???ウルルン滞在記!?と、今更ながらの香港のワイルドな部分にさらにびっくり!が、香港人の友人いわく、「普段はもっと便利なところに住んでるんじゃないかな?週末だけ村に帰ってくるとか」←それならわかりますー。
この西湾亭から先は車が入れないトレイルに。とはいえ基本的にはコンクリート道です。登山道というよりも、おそらく本来は村へつながる生活道なんですね。
ときどき土砂崩れで道の上に土砂がかぶさってこんな感じになってる箇所がいくつか。これでようやく山歩きっぽいかな~~と思ってみたり。キケンではないのですが、こんなところもあるので、やはりシューズはソールがしっかりした軽トレック靴をオススメします。
西湾亭から約30分。この分岐でみんなひと息ついてます。この方たちはトレイルランナーですね。
大浪湾へのルートはずっとコンクリート舗装されてますが、別の方角への道はもっと山道っぽい様子。そそられますが、またの機会に。。。ここまでのコースはアップダウンはかなりゆるやかでした。が、ここからイッキにビーチに向かって下ります。
下り始めてすぐ、彼方にビーチが見えてきました~~~!!!!果たしてあそこがドリームビーチなのか!??(つづく)
【真夏の月刊香港パトロールスペシャル】
- 世にも美しいシークレットビーチ”大浪湾”へデイトリップ!(上)
- 世にも美しいシークレットビーチ”大浪湾”へデイトリップ!(中)
- 世にも美しいシークレットビーチ”大浪湾”へデイトリップ!(下)
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─ INFORMATION ──
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ひとりっPこと編集Pことフクイユミコ。元SPUR編集長。女性のひとり旅を「ひとりっぷ」と名付けて応援中の編集者。会社員にもかかわらず、海外ひとり旅歴25年以上、回数400回超え(全部自腹)の旅バカ。おもな渡航先は、香港180回、台湾60回、タイ&シンガポール各40回、サンフランシスコ30回、中国30回、ハワイ30回、中南米各国40回、カリブ諸国30回、中近東10回など。現在年間25回ほど(全部プライベート)海外渡航。あまりの頻度に、日本入国時に密輸を疑われたことも。その圧倒的実体験をもとにした女子ひとり旅指南本『今日も世界のどこかでひとりっぷ』『明日も世界のどこかでひとりっぷ2~秘境・絶景編~』『昨日も世界のどこかでひとりっぷ3~“弾丸・無茶旅編”~』『今日も世界の果てまでひとりっぷ4〜爆バイイング編〜』に続き、初の国内編『昨日も世界の果てまでひとりっぷ5〜行くぜ、ニッポン編〜』が好評発売中。5冊とも、文・写真はすべて本人が担当。