「ひとりっPの突撃ワンダートーク in The World」、略して、「突ワン」。第2回めのゲストはモデルでありエッセイスト、イラストレーターと多方面で活躍するはなちゃん。FMヨコハマでパーソナリティを務める番組「Lovely Day〜hana金〜」にも、ゲストとして何度かおじゃましているひとりっP。「私がノンノ編集部員だったころからのお付き合いです」(ひとりっP談)という、20年前から交流のあるふたりの、愛する仏像と絶景秘境への止まらない旅トークをお楽しみください!(なんと、ひとりっPのお団子ヘアには大事なものが詰まっているらしい……!??)
秘境絶景と同じ、同じ仏像に4度は会いにいかないと!
ひとりっP(以下P):すごく気になっていて中々ゆっくり聞けなかった、はなちゃんの仏像旅について教えてください。仏像旅はどのくらいの頻度で行っているの?
はなちゃん(以下H):多分、想像してくれているほど、毎月どこかへみたいには行ってないの。でも、仏像は大好きで、大学生の時から30年くらい見ているかな。もともとは京都に仕事がある時は、早めに入って会いに行くという感じからスタートしたの。今でもがむしゃらに見ることをしてなくて、ゆるゆるに会いに行っている。
P:会いに行くんだね。
H:そうなんです。旅先で時間が空いたから会いに行こー!という時もあるけれど、例えば仕事が奈良であって、どこかお寺を回ろうかなーって思っていると、現地に入ってから仏像からお呼びが入る。あまり決め決めにしないようにしてるの。
P:えっ、現地でなんだ。会ってみたい仏像リストがあったりするの?
H:それも特にない。割と再会率が高いの。結構同じ仏像に何十回も会いに行ったり。ひとりっPさんの絶景みたいなもの。
P:確かに。絶景も2度目から! 初めてのときは、すごすぎる絶景に対して、なんかふわふわしたまんま、すごい! まじすごーい!で終わっちゃう感じ。絶景を自分の中でちゃんと消化しきれない。2回目以降は、地に足ついた感じでじっくり絶景と向き合えるんだよね。勉強と同じで、予習復習が大事ってことだなって。
H:前にラジオで話した時も、「絶景はリピートしないと。4回は行かないと」って言ってたよね。私も4回会わないと心が通じ合わない気がしてる。フレンドリーな仲になれるのが、4回目くらいから。割と再会するために同じところに行ってたりするよ。
P:仏像好きになったきっかけみたいなものってあるの?海外はどんなところへ会いに行ったの?
H:本当に好きになったのは、ファンドゥキスタンという場所があって、そこにある仏像なんだけれど行けない場所なのであきらめて……。パキスタンや中国、インドネシア、カンボジア。カンボジアではアンコールワットとその周辺を回って、それは毎日仏像づけでした。
P:インドネシアはボロブドゥール?
H:そう、そこ。京浜東北線に乗っていたら、呼ばれたの。突然インドネシアに行きたい!って。ジャカルタに友達がいて、その友達の友達が案内してくれた。
P:京浜東北線!?あははは!!! でも当時、ボロブドゥールはまだ不安定なころだよね?
H:不安定だったし、仏像が戦争で盗まれたままになってたり。修復されていないものもあって、切ないものもありつつ、それはそれでその土地の景色こみだから、見ることができてすごくよかった。仏像がその土地の人の顔しているから、それを確かめられた。
P:そうね、南方系の顔をしていたり、色々あるもんね。
H:その時代の王様の顔が仏像になっていたりするから、現地の人と同じ顔しているのは、行ってみないと、「同じだ!」って、すぐに気づけないよね。
P:なるほど〜〜!!
H:この間はインドに仕事で行ったの。
P:遺跡としては「ブッタの……」みたいな由緒正しい?感じのものがありそうだけれど。
H:博物館に行くと5、6世紀のグプタ朝時代のものもあるけれど。結構海外の博物館に行っていることが多いみたい。
P:インドにはもう残ってない?
H:私が知る中ではパリの博物館にインドの仏像がたくさんいらっしゃったし、多くは海外の博物館に保管されているのかも。
P:ええーー!? そうなの!? 全然知らなかった!
仏像もウユニ塩湖も同じ!一期一会だから、仏像が出張中も会いにいく
H:プライベートで海外旅行していても、現地の博物館で仏像を見ることも多いよ。国内が一番多いけれど、例えば、奈良のお寺が修復工事をしていて、仏像が出張中でいつもと違う場所に安置されていたりすると、それが見てみたくなるの。
P:えっ、いつもと違うところにいるあの人が見たいってこと?マニアだな~。はなちゃんにとっては、仏様は生きているんだね。
H:そうだね。違う表情が見たかったり、ちょっと心配だったり。時間があれば確かめに行ったりする。仏像の前にいると妄想が楽しめるから、楽しいんだよね。
P:心配!妄想!あははは!! なるほどね〜〜! それは勝手にストーリーが始まるの?
H:そうそう。何度も何度も見に行って、時間帯によって見える顔が違うし、お堂に入る光の加減によってきつく見えたり、優しく見えたり、ひとりっPさんのウユニ塩湖みたいなものよ。
P:なるほど!! 一期一会ってことね。
H:仏像の顔も変化していくから、何度会っても、「はぁ~この光の時はカッコいい~」と思うと、その時間目指して会いに行くの。
P:仏像って、正面からと見上げている時とでは違ったりするじゃない。どんな感じで見ているの?
H:人に会うのと一緒で、顔見てご挨拶して、いろんな方向から見るけれど、斜め45度で眺めると割とみんなカッコいい。
P:えー! なんでだろう? 作った人が意識していたってことかな?
H:大体顔の輪郭が浮き出るくらいシルエットが見える場所がカッコいい。柱とかあると、柱越しのもいい。近くに感じたいけれど、ある程度距離感があるっていうのが大前提だから、その距離感を楽しむの。パンフレットもらうと、丸めてのぞくのもおすすめなんですよ。フォーカスできる。たまにハート形にしたり(笑)。
P:それ今度やってみよう。でも、つまり、そんなに肉迫したいとも思わない?
H:間近で見られる時は見たいなって、思う時もあるけれど。距離感がすごく心地よいところで寸止めしておく。
双眼鏡を逆にして仏像を見る⁉
P:寸止め(笑)!! この双眼鏡では何を見ているの?
H:双眼鏡では色んなパーツ。仏像って、昔はキンキラキンで鮮やかだったりしたから、模様が残ってたりするの。そういう模様ってその時代の最先端だった。日本はすごく楽しくて、仏像はインドから始まってシルクロードを渡って日本にくるから、いろんな国の文化や技術が入り混じってるから、国際色も豊か。シルクロードで流行ったような模様の衣をまとっていたり。
P:イケてる最新モードね。
H:飾りとかも海外から持ってきたんじゃないかな。そういうのを見てる。あと顔とか。あとは双眼鏡を逆にしてみる。そうすると仏像がすごく小さく見える!
P:何それー!!!あえて遠くで小さく見るの? そのココロは?
H:どこかの博物館で近くにいた人が双眼鏡を逆にしてみてて、「逆ですよ」って言ったら、その方はわざとやっていたの。で、え?と思いつつも同じことをしたら、仏像が小さく見えて。仏像との距離感が楽しめるから。仏像はそこにいて、でももっと遠い存在なんだってことを思い出すんだよね。手が届きそうで届かないのがいいの。
P:やっぱり仏像って友達じゃないからってことなのかな。
H:友達になりたいんだけれど、手が届かない存在。今度どこかの絶景に行った時にやってみて。
P:絶景をいかに遠くに見るか、か。やってみる。はなちゃんにとっての仏像は私にとっての絶景なんだね。突き放して見るか〜。禅問答みたいだね。
P:30年近く見てきて、一番好きな仏様っているの?
H:東寺の帝釈天さまはずっと好きって言い続けている。
P:その理由は?
H:だってカッコいいから。
P:あははははは!イケメンなんだね。ちょっと、はなちゃん、恋するオトメの顔になってるよ〜〜! はなちゃんにとってのアイドル的な存在? いや、まじで「好きな人」だね!?(帝釈天の写真を見ながら)はあ〜〜〜なるほど、モンゴルのイケメンみたいだね。顔の幅があって骨格がしっかりしていて。それに若いよね。
H:基本カッコいい仏像が好き。冬場だと午後2時くらいの光がきれいで、夏場だと午後3時くらいの柔らかい黄色い光を浴びているお姿が素敵なの。夕暮れ時のほわんとした光の中の帝釈天が好きなんで、眺めながら妄想してる。帝釈天にもいろんな描かれ方があって、帝釈天とアシュラ、実はアシュラの娘、シャチ―を巡って戦った同士……なんて。
P:あははは!妄想〜〜!! ところで、旅のときのスタイルで、こういう風にしているって点は何かある?
H:スニーカー履いていくくらいかな。仏像を見に行くときにはハイカットはなし。あと、なるべく身軽だよね。帽子をかぶっていると、脱帽しなきゃだから気をつけた方がいいよね。
P:ラオスのお寺の入り口にも帽子は脱いでくださいって書いてあったわ。暑いからみんな帽子をかぶっているんだけれど。
H:そう言えば、ひとりっPさんと帝釈天、同じ髪型しているよね。私も大学生の時によくお団子ヘアをしていて、一緒だー!と喜んでいたの。そのお団子には知恵が詰まっているんだよ。
P:えーっ!! そうなの!? アメリカでは、飛行機に乗る前のセキュリティチェックでボディスキャナーあるじゃない。ぐるっと360度のやつ。あれを通過したあと、係員の人が必ずお団子を掴むの! 「ここには小さいひとりっPは入ってませーん!」って思うんだけれど、入っているのかもね(笑)。お団子のチェックって何なんだろう? こんな中に何もいれられないけれど。すごいの、ガシッと掴まれて動けない。
H:ははは、そうなんだ。それは知恵だよって、言うのがよいかもね。肉髻(にっけい)って言って、高ければ高いほどいいんだよ。
P:ええーー! なるほど! わかりました! これからは、どんどん高く結い上げます! 今日は本当にありがとうございました。すごーく勉強になったよ。なんか仏像に対するスタンスが確実に変わったと思う。まさに開眼!? それでは、はなちゃんも、みなさまも、2019年も張り切って、HAVE A NICE ひとりっぷ~!
東寺 http://www.toji.or.jp/ten.shtml
<INFORMATION>
はなちゃん自身が茶道を学び感じたことを綴るエッセイ「はなのお茶日記」や茶道にまつわる各界の方のインタビューをまとめた『はな、茶の湯に出会う』を淡交社より1月中旬発売予定。
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Photography:Yuka Fujisawa hair&make up:Miyuki Yoshioka