「せっかく買ったのにサイズが合わず、タンスの肥やしになっている……」、「お直ししたものの、イメージ通りにならず全く着なくなってしまった……」。きっと誰もが経験したであろうこれらの失敗を解決してくれるのが、アトリエロングハウス主宰のモードフィッター、長屋恵美子さん。他のお直し店とは一線を画すアプローチと技術に迫ります。
モードフィッターとは?
モードフィッターとは、洋服を多角的に捉える鋭い洞察力と幅広い知識、高い技術を活かし、服のリフォームから自分だけの一着のフルオーダーまでを請け負う仕事。一般的なお直し店とは全く異なる、ファッション業界におけるプロフェッショナルワーカー。
長屋さんのピンワークに、エディ・スリマンも虜に!
スタイリストやオートクチュールデザイナーを経た、幅広い経験
雛人形や鯉のぼりといった和雑貨を販売する両親の下で育った長屋さんは、幼い頃から綺麗なものに囲まれて育ち、着飾ることも大好きだった。ただ当時は、既製品はほとんどなく、オーダー服が当たり前の時代。着たい服は自ら作るしかなく、高校生の時には初めて自分で水着を作ったそう。「作った水着は鮮やかな山吹色。周りはみんな黒か紺だったのでかなり目立っていたと思いますね(笑)。この頃からおしゃれに目覚めていたのかもしれません」
5歳上の姉が服飾系の大学に通っていたこともあり、美術大学のファッションデザイン科に進学。卒業後は名古屋モード学園の師範科へ。同時に、モード学園を立ち上げた故・谷まさるさんからの勧めで博報堂名古屋支店にスタイリストとして入社し、CMなどの衣装製作を主に行った。
そして多くのブランドから声をかけられたのをきっかけにデザイナーに転身。自身の世界観と仕事量のバランスを取るためオートクチュールのデザイナーとして活躍した後、アトリエロングハウスを設立した。設立時は明確な方向性が定まっていなかったが、ジョルジオ アルマーニからお直しを依頼された一着をきっかけに、モードフィッターへの道を進むことになる。
モードフィッターになることを決定付けたジョルジオ アルマーニの一着とは?
目からウロコな、長屋流“馴染ませるフィッティング”
唯一無二の技術で、悩みを解決
モードを愛する顧客からの信頼も絶大

銀座三越内で、移転リニューアルオープンした店舗のエントランス。サロンは完全予約制で、ヒアリングからフィッティングまですべて長屋さん本人が対応してくれる。「洋服について悩んでいることがあれば、どんな些細なご相談でもいいので気軽に予約してみてください」と長屋さんは話す。
以前、SPURの記事をきっかけにアトリエロングハウスのことを知り、今や熱心なファンとなった20代の顧客に話を聞くことができた。
「印象的だったのが、The Rowのワンピースのお直しをお願いした時です。購入した時点では、私にはサイズが大きく、丈も長くてドレッシーすぎる印象なのが悩みでした。
そのフィッティングの時の言葉が、衝撃的だったんです! 長屋先生は、『このお洋服はざっくり着るものなのよね。だから、身幅は少し大きいままでも良いと思うの』と仰いました。ブランドタグを見ないうちから、私が気に入っていたThe Rowらしいエフォートレスな雰囲気をくみ取ってくださり、ただ服のサイズを身体に合わせるだけではない仕事ぶりに驚きました。それ以来、『デザインは好きだけれどどうやって着たらいいか分からない。自分が着るイメージが描けない』という服は、すべて長屋先生にお願いしようと決めました。
そして、いつもその服のスタイリングまでアドバイスしていただけるのも、本当にありがたいです。私よりずっと歳上ですが、そのセンスは抜群で、常にトレンドをキャッチアップどころか先取りしていることにも驚かされます!
もちろん、クオリティも完璧で、特殊な生地もアトリエロングハウスなら寸分の狂いもなく仕上がります。その丁寧な仕事ぶりからは、自分のお気に入りの服を大事に扱ってもらっていることを感じ、嬉しく思います。
長屋先生に直してもらった服を着ていると、まるでオートクチュールを着ているような気持ちになれるんです。どんな服も私らしく見える一着に変えてくださり、一生着続けたくなります。長屋先生のこれまでのご経験がそうした精度の高さを生んでいると思うと、そんな方にお任せできることがとてもありがたいです。人間的な魅力にあふれた方で、仕事との向き合い方や生き方にも憧れます」
設立40周年を迎えたアトリエロングハウスは、今年3月に銀座三越の本館4階から本館3階に移転リニューアルオープンしたばかり。世界中の名だたるデザイナーをも唸らせた卓越した技術で、着られずに眠っている大切な一着を蘇らせてみては。
最後に、長屋さんに一問一答!
■仕事をする上で支えになった言葉は?
お客様の声ですね。移転リニューアルオープンするに当たり、フロアも変わるし面積も少し小さくなるので正直とても不安だったんです。でも、リニューアルオープン当日、若い女性のお客様が来店して、「大切な服で長く着たいからこそ、ここに持って来た」と言ってくれたのが励みになりました。
■モードフィッターになるために必要な資格、資質は?
特別な資格はなく、現在は体系的な育成制度もありません。未経験でも、とにかく謙虚であることが大切です。
■仕事がハードな時の癒しアイテムは?
エステに行ったりマッサージに行ったり、鍼をやったりお灸をやったり。最近はインディバを初めて体験しました!
リフォームサロン アトリエロングハウス
https://www.longhouse-jmfan.com/
東京都中央区銀座4-6-16 銀座三越 本館3階
時間:10:00~20:00(銀座三越の営業時間に準ずる)
電話:
銀座三越 03-3562-1111 大代表
アトリエロングハウス 03-3562-7012 直通