この連載も2年目を迎えることができました。今年は、もっと山へ行きたいし、これまでやってこなかったような山の過ごし方も楽しみたい。ひたすら歩くのが好きだった僕ですが、やってみたいことのひとつが「山でおいしいコーヒーを飲む」。アウトドアコーディネーターの小雀陣二さんを先生に、僕に合うおすすめの道具とおいしい淹れ方を聞きました。
小雀陣二(以下小) どんなコーヒーが好きなんですか?
井之脇海(以下井) 実は僕、コーヒーに対する舌ができてないみたいで、どんなコーヒーが好きなのかわからないんですよ(笑)。外では少し飲みますけど、家ではドリップしたことがなくて。でも、山ではコーヒーを飲みたいな、と思っていたんです。状況としては、テント泊をしてこれから頂上を目指す!という前に、山頂を見ながら飲みたいですね。
小 自然のなかで飲むコーヒーっておいしいよね。僕も20代の頃、きれいな景色を見ながらコーヒー飲みたい、と思って持ち運べるエスプレッソの道具を買ったんです。それ、今でも使っていますけど。インスタントでも十分においしいんだけど、今日は海くんの山のスタイルに合いそうな道具をいくつか持ってきました(と、道具を並べる)。あまり物を持ちたくなくて、身軽に登りたいんですよね?
井 そうなんです。
小 まず豆なんだけど、身軽で行きたい人は家で挽いてしまって密閉保存袋とか小さな容器に入れて持っていくといいですね。今回は、せっかくなので挽きたてのおいしさを知ってほしくてコーヒーミルも持ってきましたけど。やっぱり豆は、挽きたて新鮮なほうがおいしいから。お湯は野外用のガスバーナーで沸かすんですけど、ポイントは沸騰させたあとで少し冷ましたお湯で淹れること。本来コーヒーは、90度前後のお湯がおいしさを引き出すんです。あと、ガスバーナーの点火装置が壊れることがあるので、ライターやマッチは予備で持っていったほうがいいかな。
井 そうなんですね。ライターは、山セットに必ず入れてます。
小 ザックのなかでかさばらないように、湯を沸かすクッカー、ドリッパー、マグカップといった道具をいかに小さくまとめられるかというのも大切で、これは僕が「ベルモント」というメーカーと一緒に開発したものなんですけど(2)……(クッカーのなかにすっぽりとマグカップ、ドリッパー、ドリッパースタンドが収まる驚きのセットが登場!)
井 これはすごい秘密兵器ですね。きれいにスタッキングされている! こういうの、僕大好きなんですよ。
小 金物で知られる新潟の三条で作られていて、チタン製で軽いんですよ。柔らかいシリコン製のドリッパー(1)もあって、裏と表とひっくり返して両方使うことができて、しかも味が変わるらしいです。
井 味が変わるんですか?
小 シリコンドリッパーに入っているリブの数と長さが裏表で違うから、お湯が落ちるスピードが変わってコーヒーの味も変わるんだろうね。
井 へえー、同じ豆でも淹れ方で味が違うんですね。僕、アイスコーヒーが好きで冬でもアイス派なんですけど、水出しって山ではありですか?
小 今日、水出しも持ってきました。僕も実験的にやってみたんだけど、フィルターがついたシグボトル(3)に、朝家で豆と水を入れておけば昼過ぎくらいには飲めますね。すっきりしていておいしいし、寒かったら温め直してもいいかも。
井 道具がない人にはいいですね。今後テント泊をしていきたくて、いろいろと調理道具が欲しいと思っていたので、真剣に検討します!