バーチャル空間で仕事ができる! VRヘッドセットの新たな可能性 vol.175

昨年末の当連載記事「“マイ・ベスト”ガジェット 2022」の最後に「2023年は久しぶりにVRヘッドセットなどのVR/AR関連のガジェットに触れてみたい」ということを書きました。

これまでも何度か購入やレンタルをして使ってみたものの、必需品にはならなかったVRヘッドセット。再び興味が湧いたのは、友人が「最近はVRヘッドセットを使って、バーチャル空間で仕事をしている」ということを知ったのがきっかけ。その友人は米国在住なのですが、なんと日本と行き来する際、移動の飛行機機内にもVRヘッドセットを持ち込んでいるそう(笑)。

ハマるかハマらないかはわからないけれど、とりあえず自分で試してみないとわからないなあ、と最近我が家で購入してみたのが、昨年の秋に発売されたVRヘッドセット「PICO 4」と「Meta Quest Pro」です。

左がPICO 4、右がMeta Quest Pro
左がPICO 4、右がMeta Quest Pro

PICO 4は「TikTok」でお馴染みByteDance社が開発しており50,000円前後、一方Meta Quest Proは「Facebook」でお馴染みMeta社が開発しており159,500円(!)と価格がだいぶ違う2台。Meta Quest Proの方はこれでも先日7万円ほど大幅な値下げがされて、少しは手の届きやすい価格になりました(それでも高価だけれど……)。

今回新しく手に入れた2つのVRヘッドセットと、これまで試してきたVRヘッドセットとの大きな違いはレンズ。パンケーキレンズというレンズを使うことで、本体が小型軽量化されています。これまでのVRヘッドセットはお弁当箱をバンドで頭に括り付けてるような形状(笑)でしたが、ゴーグル部分がかなり薄くなっています。

PICO 4とMeta Quest Proの薄さを比較
クッションがおでこにしかないMeta Quest Proの方がゴーグル部分は薄いです

装着感もアップデートされており、ゴムバンドでギュッと頭に固定するのではなく、PICO 4、Meta Quest Proともに、おでこのあたりと後頭部で支えるように固定します。後ろに膨らみがあり、ここはバッテリーが入っているそうなのですが、この設計のお陰で前後の重量バランスが均等になり、重さの割に重量感を感じず、快適に使うことができるのです。以前のVRヘッドセットって前に重心があったので、とにかく首が疲れたものでしたが、これらは斜め上くらいを眺めて使うような感じ。姿勢が猫背になりにくいのもポイント高し。

Meta Quest Proを装着してみたところ
Meta Quest Proを装着してみたところ

Meta Quest Proに関してはゴーグルの下の部分が顔から離れてくれるので、頬に跡が付かないし、ファンデがゴーグルのクッション部分に付く心配もなし。下を見ると適度に自分の手が見えるので、VR特有の閉塞感が苦手な人も使えると思います。

PICO 4を装着してみたところ
PICO 4を装着してみたところ。こちらも鼻のあたりから少しだけ下がのぞけます

で、一番に使ってみたかったのが「immersed」というアプリ。これは自分のPCの画面をそのままVR空間に表示してバーチャル空間で仕事や勉強することができるというもの。

immersedアプリのTOPページ

VR空間で使いたいPCとVRヘッドセットにimmersedアプリを入れて、同じWi-Fiに接続すれば使えるのですが、これがなかなか快適! 複数枚のディスプレイをバーチャル上に配置できるので、例えばワーケーションに行ったときなど、いつもとは違う狭い空間で作業しなければならないときは、むしろコレを使ったほうが作業効率が上がるかも? キーボードやマウスも、もちろんそのまま使えます。

immersedを使ってVR空間に表示したPC画面

とはいえ、やはり今どきの4Kディスプレイと比べると画面のクッキリ感はないので、PCの外部ディスプレイ代わりに常用するのはちょっときびしいかな、というのが正直なところ。でも、気分転換にカフェで仕事してくる、みたいな感覚をVR空間で得られちゃうのは新しいなあ、と思いました。周囲の世界から遮断されて自分の世界に没入できる感じは抜群なので、集中して作業したいときにもぴったり。

また、Meta Quest Proであれば、ハンドトラッキングなどのセンサー類をフル活用して、実際にリアルの世界で使っているキーボード(対応している製品のみ)と自分の手をVR上に表示してくれるのも便利。

VR空間に表示されたキーボードと自分の手
VR空間に表示されたキーボードと自分の手(笑)

VRヘッドセットをしながらキーボードを叩いている姿は傍から見るとどうなんだろうと思いますが、未来感はありますよね(笑)。

Meta Quest Proを装着してPC作業中

まだまだ使いはじめたばかりのPICO 4とMeta Quest Pro。VRヘッドセットを“PCの作業環境として使いたい”というニーズは少数派かもしれませんが、VRゲームやコンテンツを楽しむだけでない活用方法に未来を感じた今日このごろでした。引き続き、色々活用してみたいと思っています。

ちなみに、この原稿はimmersedを使ってVR上で執筆しました(笑)。

市川 渚プロフィール画像
市川 渚

ファッションデザインを学んだのち、海外ラグジュアリーブランドのPRなどを経て、2013年に独立。クリエイティブ・コンサルタントとして国内外の企業、ブランドのプロモーション企画/ディレクションに関わる。
また自身でのクリエイティブ制作にも注力しており、フォトグラファー、動画クリエイター、コラムニスト、モデルとしての一面も併せ持つ。強い服と少し先の未来を垣間見られるデジタルプロダクトが好き。

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