ニッポンのエンタメ界を牽引し、各方面で引っ張りだこの活躍を見せる佐久間宣行さん。仕事の実績が、必ずしも組織や上司からの評価と同じではない日本社会。佐久間さんはどう考える?
ニッポンのエンタメ界を牽引し、各方面で引っ張りだこの活躍を見せる佐久間宣行さん。仕事の実績が、必ずしも組織や上司からの評価と同じではない日本社会。佐久間さんはどう考える?
今月のお悩み
"世渡り上手な人"のほうが得をする?(31歳・広告代理店)
私の会社は"実力がある人"と"世渡り上手な人"がいたら、後者のほうがおいしい思いをしがち。先頃の人事異動もそうでした。時代の変化の過渡期にある業界で、社員はみんな「変わらないと!」と思っているはずなのですが。組織に染まれる人が出世するのなら、仕事を頑張って実力をつける意味ってどこにあるのでしょうか?
佐久間Pからの回答
行動して、実力を蓄える。選択肢を増やすタイミング
「佐久間さんのもとで働かせてください」というDMは大量に届きますが、ほとんどが口だけ。その中で一人だけテレビの構成作家を目指し、毎月100本近くの企画書を送ってきた大学生がいました。それが一年続き、企画も面白いのでさすがに根負け(笑)。面接して番組に引き入れ、今では僕のYouTubeでも実力を発揮しています。上司との巡り合わせはガチャの側面もありますが、相談者は社内で尊敬できる人を探す努力をしていますか? いい仕事をするチームや人にアプローチしていますか? 悔しいと思うだけでは時間が過ぎていくだけで状況は変わらない。行動する努力もいるのです。
もちろん社内の実情にへこむ気持ちもわかります。ただ、組織の世渡りに軸を置いたり上司の言いなりだったりした人は、いざ出世しても知見や勝負勘が足りず、何もできないことが多い。結果的に狭い組織の中でしか生きられません。変わるべき業界であればあるほど、自分の選択肢を増やす必要があると思います。
たとえばテレビ局。レガシーやリソースは無限にあるのに、考え方は古い人が多い。時流に乗れる賢さとやる気があれば若い人でも活躍できる、実はおいしい業界なんです。若い世代からはよく「テレビ局はもうダメですか!?」と聞かれるけど、僕からすれば業界に自分の命運がかかっていると思っていること自体が疑問。産業としては斜陽かもしれないけれど、その中に将来性がある資源はたくさん。それを見出して活かし、同時に自身の能力を磨いていく。実力さえ蓄えれば、異動を申し出るにしても転職するにしても、生きていきやすいですよね。加えて日本の会社は失敗してもクビにはならないので、新しい挑戦はローリスク。これからの時代はむしろリスクヘッジになる。今こそ踏み出すときだと思います。
今回はいちご豆大福でおなじみの店の「トラさんのバナナ」。個性も味のポテンシャルも高く密かな実力者です。
佐久間Pの今月のおすすめスイーツ:「大角玉屋」のトラさんのバナナ
完熟バナナを、生クリームとクレープ生地ではなく、あっさりとした白餡とふわふわのどら焼き生地で巻いたネオ和菓子。
大角玉屋 東京駅店
住所:東京都千代田区丸の内1の9の1 東京駅八重洲北口 東京ギフトパレット内
TEL:03-6206-3011
営業時間:9時30分~20時30分(土・日曜、祝日9時~) 無休
さくま のぶゆき●TVプロデューサー&ディレクター。『ごきげんになる技術 キャリアも人間関係も好転する、ブレないメンタルの整え方』(集英社)がヒット中。メンタルをすり減らさずに生きるための術を語る!