長尾智子さんに教わるのは、友人を訪ねたり、みんなで集まるときのための"誰かのための料理"。「持ち寄りの楽しみは工夫すること。コンパクトにまとめて、行き先で盛りつけて食べて、始末よく終わるのが理想」。おいしい時間を共有するためのレシピをご紹介。
甘党が集うなら、秋の果物を詰め込んだデザート、クランブルを持ち寄って。
「クランブルはバターや粉、砂糖を混ぜて作るそぼろ状の生地をフルーツにのせて焼き、クリームを添えて食べるイギリスの素朴なデザート。パーツを仕込んで耐熱の器とともに持参し、その場で焼くと焼き立てを楽しめて盛り上がります」。オーブンから出して粗熱を取り、やや温かさが残るくらいがおいしい。粉は薄力粉のほか、アーモンドパウダーを混ぜたり、全粒粉を少し加えて奥行きのある風味にしても。
「りんごは軽く火を通すとなじみやすく、ぶどうとのバランスもよくなります。あとから甘さの調整ができるよう、控えめの量の砂糖で軽く煮るのがポイント」。クリームも甘みを加えず、仕上げのメープルシロップの量を加減して好みの味に。
「ほかにもバナナ、桃、プラム、柿、いちごなどクランブルに合うフルーツはたくさん。ティータイムの集いに、ぜひお試しを」
材料
りんごとぶどうのクランブル
〈クランブル生地〉
薄力粉
150g
てん菜糖
100g
塩
ひとつまみ
無塩バター
120g
りんご
大1個
ぶどう(巨峰、ピオーネなど)
小1房
レモン
スライス3枚
てん菜糖
小さじ2
くるみ
約50g
サワークリーム
100g
プレーンヨーグルト
100g
メープルシロップ
適宜
〈下準備〉クランブル生地を作る。冷やしておいたバターをさいの目に刻む。ボウルに薄力粉をふるい入れ、てん菜糖と塩を加えて混ぜる。バターを加え、バターに粉をまぶしながらカードで刻むように細かくする。ある程度粉とバターがなじんだら、手でギュッと握るようにしていくつかの塊にし、それをまたカードで大きめの塊になるように切り分ける。保存袋に入れて冷蔵庫へ。
ボウルを重ねた状態のざるにキッチンペーパーを敷き、ヨーグルトを入れて水切りしておく。
りんごを煮る。りんごは4等分して芯を取り、皮を⅓ほど残しながら筋状にむく。ひと切れを横に4〜5等分し、鍋に入れる。レモンのスライスをのせ、てん菜糖を振り、水大さじ2(分量外)を回しかけて中火にかける。蓋をして約3分蒸し煮にし、ざっと混ぜてから火を止めて粗熱を取っておく。
くるみは粗く刻み、170℃のオーブンかトースターで4〜5分焼いて冷ます(フライパンで炒ってもいい)。②で水切りしたヨーグルトにサワークリームを混ぜる。房のままのぶどう、クランブル生地、りんご、くるみ、クリーム、メープルシロップをそれぞれ容器に入れる。クランブル用の耐熱容器も持参する。
〈仕上げ〉耐熱容器にバターか植物油(ともに分量外)を薄く塗り、りんご(レモンははずす)とぶどうをバランスよく詰める。その上にクランブル生地を少し細かくしながらたっぷりとのせ、くるみを少し埋め込むように散らす。オーブンを190℃にセットし、こんがりと焼き色がつくまで30分ほど焼いて出来上がり。器に取り分けてクリームを添え、メープルシロップを適宜、回しかける。
今月のお気に入り
カード
半円形の丸い部分と直線部分を使い分けることで、生地を切り混ぜたりすくい取ったりまとめたりの作業がしやすい便利な道具、カード。「クッキー生地はもちろん、刻んだ野菜をまとめたり、オムレツやパンケーキを作るときのボウルのお掃除にもちょうどいい。使い慣れると重宝するので、手の届くところに置いておくのがおすすめ。
フードコーディネーター。雑誌や書籍で活躍する一方、オリジナルの器やスパイスミックスを扱うオンラインストア、 SOUPsを展開。「クランブルにぴったりな新作の耐熱容器を製作予定。年末の仕上がりを目指して試作中です」