“アペロ”とは、フランス語のアペリティフ(食前酒)の略で「お茶しない?」「一杯、どう?」というような気分を表す言葉。秋の気配が漂い出した週末のアペロなら、赤ワインに合う、手軽でしゃれた卵料理はいかが? 「シンプルなオムレツも、弱火で火を通したレバーを加えるだけで、秋らしくて赤ワインと相性のいいアペロのひと皿になります」。レバーは下処理が面倒なイメージがあるけれど、新鮮なら、冷水で洗って血の塊を取り除く程度で充分だそう。「レバーを煮る油はオリーブオイルだけだとしつこさが出てしまうので、クセのない他の植物油をベースにするのがおすすめ。卵に使うバターも焦がすと少しくどくなるので、弱めの火加減で、焦げ目をつけない柔らかめのオムレツに仕上げるのがコツです」。ナッツを挟んだドライフルーツを添えると、さらにグラスの進む一品が完成。「合わせたワインはロワールの自然派、クリスチャン・ヴニエの赤。凝縮した果実味やスパイスの香りなどがバランスよく楽しめる、魅力的なワインですよ」
材料(2人分)
- 鶏レバー
- 100〜120g
- 卵
- 3個
- ローリエ
- 2枚
- にんにく
- 1片
- オリーブ油
- 小さじ1
- 植物油(太白ごま油など)
- 約大さじ 4
- 無塩バター
- 小さじ2
- イタリアンパセリ
- 1本
- 塩
- 適宜
- ドライいちじく
- 2個
- くるみ
- 2個
作り方
❶ レバーは小さめに切り分け、ボウルに入れて流水で洗い、水気をしっかり拭き取る。にんにくは皮を取って2等分し、芯をはずす。
❷ フライパンにオリーブ油と植物油、ローリエ、にんにくを入れて弱火にかける。レバーを並べ入れて軽く塩をふり、動かさずに油で煮る。レバーの下の面が白くなってきたら上下を返し、フライパンを傾けながら全体に火が通るように4〜5分煮、火から下ろす。油も一緒にボウルに移しておく。
❸ 卵をボウルに割り入れ、塩少々を加えてよく溶きほぐす。フライパンを弱火にかけてバターを焦がさないように溶かし、溶き卵を流し入れる。まわりが固まってきたら菜箸などで大きく混ぜる。6〜7割固まったら手前にレバーをのせて、フライ返しなどで半分に折って火を止める。
❹ 焼き上がったオムレツを2等分して器に盛り、レバーを煮た油を少しずつ回しかけ、粗く刻んだイタリアンパセリをふる。ドライいちじくに切り込みを入れ、くるみを挟んで添える。
クリスチャン・ヴニエの赤ワイン、“ル・クロ・デ・カルトリー”。「バランスがよくて重すぎず、2日目以降の風味の変化も楽しめます」
PROFILE
ながお ともこ●フードコーディネーター。雑誌や書籍、メニュー開発等で活躍するかたわら、スープをテーマにしたオンラインストア(soup-s.shop/)を展開。連載をまとめたムック、『クロワッサン特別編集 素材の出会いで、季節を味わう。』(マガジンハウス)が9月に発売されたばかり。vegemania.com
SOURCE:SPUR 2020年11月号「長尾智子のお酒と小さなひと皿 金曜日のアペロ No.20」
photography: Masahiro Sambe text: Kaori Okuda