大切な人と食べたい料理
「旅の楽しみのひとつは、知らなかった味に出合うこと」。現地の味を思い出したり、まだ見ぬ土地を想像しながら生まれたレシピが、旅情を刺激する。いつも食卓で非日常を味わおう。
プレ・ヤッサとは
ヤッサはセネガルの伝統的な郷土料理。肉や魚をレモンやライム、マスタードでマリネし、たっぷりの玉ねぎを使ったヤッサソースで煮込む。プレはフランス語で鶏肉のこと。肉の代わりに鱈やスズキなどの白身魚でもよく作られ、ポワソン(フランス語で魚)・ヤッサと呼ばれる。

プレ(プーレ)はフランス語で鶏肉、ヤッサはセネガルの玉ねぎのソースの名前。
「以前、パリでのこと。セネガルの友達から習ったというこの料理を、なぜかカメルーンの人にご馳走になったという思い出の味です」。ポイントはレモンやライムの酸味、マスタードに鶏肉をしっかりと漬け込むこと。ひと晩漬け込むことで、鶏肉にレモンやライムの爽やかな風味がつく。
「地域や家庭によっていろいろなアレンジがあるようで、鶏肉と玉ねぎをキャラメル状にこんがりさせたり、辛みをきかせたり。今回は私がパリで食べた印象をそのままレシピにしました」。柑橘の酸味やマスタードで、どことなくエキゾチックな風味に。玉ねぎの甘みと風味が溶け込んだおいしい煮汁には、少し硬めにぱらっと炊いた白いご飯がよく合う。
「セネガル料理とはいえ、フランスの煮込みのようだなと思っていたら、どうもフランス統治時代に生まれた様子。自分なりのアレンジを加えて、ぜひ定番のひと皿にしてください」
材料&レシピ
セネガルのプレ・ヤッサ
骨つき鶏もも肉
中3本
玉ねぎ
大2個
レモン
3個
ライム
1個
白ワイン
60㎖
にんにく
1片
グリーンオリーブ
12~16個
マスタードパウダー
大さじ1~1.5
塩
適宜
オリーブオイル
約大さじ2
白米
2カップ
玉ねぎは2等分し、切り口を下にして薄切りする。骨つき鶏もも肉は関節に包丁を入れて2等分し、上もも(大きな部分)の骨の両側を切り離して3等分にする。下もも(細い部分)は片側を切り離して2つに分ける。バットに塩を軽くふり、鶏肉を並べ入れて全体に塩をふる。
白米はとぎ、米と同量の水に加減して、鍋または炊飯器で少し硬めに炊く。にんにくは薄切りして、芯を外しておく。
レモンは切り分けて果汁を搾る。ライムも同様に搾ってレモンの果汁と合わせ、白ワインも加えて混ぜておく。1の鶏肉をいったん取り出し、塩を拭き取って洗ったバットに戻す。鶏肉の上に玉ねぎとにんにくをのせ、全体にマスタードパウダーをふりかける。白ワインと合わせた果汁を上からふりかけ、全体を混ぜ合わせてなじませ、保存袋に入れて半日ほど冷蔵庫で寝かせる。
鍋にオリーブオイルを入れ、弱火にかける。温まってきたらトングで鶏肉を保存袋から取り出して鍋に入れる。中火で、途中上下を返しながら軽く焼き目がつく程度に焼き、残りの玉ねぎとにんにくを漬け汁ごと加える。グリーンオリーブも入れ、焦げつかないように弱めの火加減にし、鶏肉が柔らかくなって骨から離れやすくなるまで、蓋をして40分ほど煮込む。途中で様子を見て、煮汁が少なくなっていたら水を足しながら煮込む。
鶏肉が柔らかく煮えたら、煮汁の味を見て足りなければ塩を少し加えて加減する。ご飯を器に盛り、煮込みをたっぷり盛りつける。

ながお ともこ●フードコーディネーター。オンラインストア、SOUPsを展開。「アトリエの四角いテーブルを替えたくて、ヴィンテージの大きな丸いテーブルを探し中。形が変わると、それだけで食卓を囲む風景も変わりそう」