「旅の楽しみのひとつは、知らなかった味に出合うこと」。現地の味を思い出したり、まだ見ぬ土地を想像しながら生まれたレシピが、旅情を刺激する。いつもの食卓で、非日常を味わおう。

【長尾智子の旅する食卓|レシピ】スイスのロシュティ
「旅の楽しみのひとつは、知らなかった味に出合うこと」。現地の味を思い出したり、まだ見ぬ土地を想像しながら生まれたレシピが、旅情を刺激する。いつもの食卓で、非日常を味わおう。
ロシュティとは
ロシュティ(ドイツ語: Rösti, Rööschti)はレシュティ、ロスティなどとも表記される、スイスの伝統料理。発祥はベルンで、主にドイツ語圏で作られる。すりおろすか細切りにしたじゃがいもをパンケーキのように焼いたもので、ベーコンや玉ねぎ、卵などを添えることもある。

ロシュティは、スイスの中でも特にドイツ語圏でなじみのあるじゃがいもが主役の料理。「出合いはスイス在住の友人宅。じゃがいもをすりおろし、塩やナツメグをふって焼くだけのシンプルさに惹かれました。ポイントはすりおろしたじゃがいもを水にさらさずそのまま使うこと。じゃがいものでんぷんを利用すると、よい具合にまとまります」。
一度に全部焼いても、小さめのフライパンで2回に分けて焼いてもよいそう。「焼きたてのカリッとした香ばしさがおいしいので、先に焼いた分が冷めたら食べる前に軽く焼き直しを」。風味づけに欠かせないナツメグは、できればホールを手に入れて。「パウダーのほうが手軽ではあるけれど、ホールをすりおろしたときの香りは格別。仕上がりが格段に変わります」。
ソーセージやレタスのサラダを添えると、スイスの山小屋で味わえるようなプレートに。「朝食や軽めのランチ、お酒を添えればアペロにも。少ない材料で気軽に作れるから、繰り返し試してぜひ得意料理にしてください」
材料&レシピ
スイスのロシュティ
じゃがいも(メークイン、 キタアカリなど)
大3個
ナツメグ
適宜
無塩バター
約大さじ2
ソーセージ
4本
ハードチーズ(パルミジャーノなど)
適宜
プリーツレタス(またはレタス)
適宜
レモン
約1/4個
オリーブオイル
適宜
塩、こしょう
各少々
じゃがいもは皮をむき、チーズおろしなどで粗くおろしてボウルに入れる。ナツメグをおろしながら全体にふり、塩も加えてざっと混ぜる。レタスは冷水に4〜5分浸けてから食べやすくちぎって水気を切り、冷蔵庫に入れておく。
フライパンを弱火にかけ、オリーブオイル大さじ1を温める。①のじゃがいもを全部移し、木べらやフォークで均一になるように広げる。少し火を強め、そのまま4〜5分ほど焼き、上下を返す。いったん平皿やフライパンの蓋にスライドさせて移し、ひっくり返して戻すとやりやすい。形を整え、縁に4カ所ほどバターを散らし、フライパンを少し揺らしてなじませる。
もう片面も同様にしっかり焼き、途中、じゃがいもの周りにソーセージを並べて一緒に焼く。焦げつかないように、弱めの中火程度に加減し、じゃがいもがしっかりと固まって焼けたら火を止める。
焼き上がったロシュティを半分に切り、それぞれ器に盛って③のソーセージを2本ずつのせ、①のレタスを半量ずつ添える。ハードチーズをロシュティにおろしかけ、こしょうをふる。レタスにはレモンを搾って塩を軽くふり、オリーブオイル小さじ1ずつ回しかけて仕上げる。
そら豆はさやをむき、弱火にかけたフライパンに並べ入れ、火を強めて焼き色がつくまで両面を焼く。焼き上がりに塩をふって器に盛り、レモンを添える。ナッツ、飲み物やパンと一緒にピペラードに添える。

ながお ともこ●フードコーディネーター。オンラインストア、SOUPsを展開。「最近新しい道具と出合うことが多くて、お鍋が増えそうな予感。浅くて小さめのお鍋や小ぶりなフライパンがおすすめです」