長尾智子さんに教わるのは、友人を訪ねたり、みんなで集まるときのための"誰かのための料理"。「持ち寄りの楽しみは工夫すること。コンパクトにまとめて、行き先で盛りつけて食べて、始末よく終わるのが理想」。おいしい時間を共有するためのレシピをご紹介。
「タジンは独特な山型をした土鍋の名前が料理名になったもの。素材の水分とスパイスで煮込む北アフリカの定番料理」。タジン鍋でなくても、蒸気が循環する厚手の鍋で十分おいしく作れるそう。
「素材の組み合わせはいろいろあって、プルーンなどのドライフルーツを合わせたり、季節の野菜や豆類を使っても。スパイスはクミンとコリアンダーを中心に、甘い香りが出るシナモンを加えるとエキゾチックな雰囲気が増します。赤唐辛子は強くきかせず、ほどほどに。熟したトマトを入れると酸味が加わって味がまとまります」。最後まで仕上げずに持っていき、その場で煮込むのも出来上がりをシェアできて楽しい。
「野菜はくたくたになっていいので、長めに煮込むこと。パンやサラダ、チーズなども用意して前菜にし、デザートはモロッコ風に、輪切りのオレンジにはちみつとシナモンをかけて。アイスクリームを添えてもおいしい」。肉も野菜もたっぷりの煮込みを大皿に盛れば、それだけで盛り上がること間違いなし。
材料
ラムと夏野菜のタジン風
ラム肩ロース
400~450g
パプリカ(赤・オレンジ)
小各1個
ピーマン
4~5個
ズッキーニ
大1本
トマト
中2個
なす
2本
グリーンオリーブ(大粒)
12個
にんにく
1片
しょうがのすりおろし
大さじ1
レモン
1個
イタリアンパセリ
3〜4本
クミンシード
小さじ2
コリアンダーパウダー
小さじ1 1/2
チリパウダー
小さじ1
シナモンスティック
1本
塩
適宜
オリーブオイル
約大さじ2
〈下準備〉ラム肉は大きければ食べやすく切り分け、軽く塩をふる。パプリカは1個を8~10等分にする。ズッキーニは1.5㎝の輪切りにする。なすは3㎝に切り分け、太ければ縦2等分に。トマトはそれぞれ4等分にする。イタリアンパセリは太い茎の部分を切り落とす。シナモンスティックは小さめに割っておく。にんにくは2等分して芯をはずす。
ラム肉から出た水気を拭き取る。フライパンにオリーブオイル小さじ1/2を温め、ラム肉を焼く。中火にして蓋をし、2〜3分で焼き目がついたら上下を返し、同様に2分ほど焼き、冷まして容器に入れる。
鍋に残りのオリーブオイルとシナモン約⅔量、クミンシード約⅔量、にんにくを入れて中火にかけ、香りが出てきたらパプリカ、ズッキーニ、丸のままのピーマンを入れる。軽く塩をふり、チリパウダー約3⑊4量、しょうがのすりおろしを加えて混ぜ、水気が出ないように強めの火加減で炒め合わせる。途中でなすを加え、蓋をして5分ほど蒸し煮にしたら冷まして容器に入れる。
残りのスパイスを小さな容器に合わせ入れる。水気を切ったグリーンオリーブ、イタリアンパセリ、トマトもそれぞれ容器に入れる。オリーブオイル(分量外)50㎖程度を小さな瓶などに入れる。
〈仕上げ〉食べる30分以上前に、仕上げの煮込みをする。鍋にラム肉を並べ入れ、グリーンオリーブ、③をのせ、野菜の間にトマトをのせて軽く塩をふる。持参したオリーブオイルを適宜回しかけ、蓋をして弱めの火加減で30~40分煮込む。20分ほどで味を見て、足りなければ塩と予備のスパイスをふり、続けて煮込む。鍋底が焦げつきそうなら、50㎖くらい水を加えてもいい。水気が少なく、野菜がしんなりしてなじんだら完成。縦2等分して厚めに切り分けたレモンと、軽く刻んだイタリアンパセリを添え、取り分けて好みでふりかける。
今月のお気に入り
料理の取り分けに使う大きめのスプーン
「アルミのスプーンはタイ土産。すくう部分に深さがあるので汁物や煮物、炒め物とどんなメニューのときにも使えて重宝します。木のスプーンはタジンやクスクス、トマトベースの煮込みなどに合わせて。大きなスプーンが1本あると、いろいろ使い回せて便利さを実感するはず」
フードコーディネーター。自身のオンラインストア、SOUPsでは定番の器のほか、オリジナルのスパイスやティーミックスを展開。「夏のテーマはミントとレッド。爽やかなミント入りのミックスや真っ赤な酸っぱいお茶を調合中」